元手の資金は300万から!

 さて、農業を始めるにあたって、重要なのは“技術”と“資本”と述べましたが、今回は資本、すなわち金銭についてお話ししましょう。


 農業を始めるにあたって、最低限必要な元手金はいくらになるのか。手がける作物にもよるでしょうが、自分の場合は“最低300万円”と“軽トラの所持”が求められました。


 新規就農者には数多くの補助金制度がありますし、融資も受けやすくなっています。計画さえしっかりしていれば、資金繰りにそこまで苦労はしなくても、一端の農家になることも可能です。


 自分の場合は計画上は余裕で行けるはずだったのですが、“役所側の大ポカ”のためにかなり危うい状態となりましたが持ち直すことができました。


 この“やらかし”については後々、話すとしましょう。びっくりするくらいのバカバカしい話ですよ。受けた被害は甚大でしたが。


 それはさておき、この300万円以上の資金というものは、ある種の足切りだと考えています。


 農家を始めるということは、“事業”を新たに興すことと同義です。つまり、会社を一つ作るということなのです。


 そう考えると、初期の資本が300万というのは決して高くはないということです。


 むしろ、「300万も揃えれない奴が、農家始めますなんぞおこがましい」という、斡旋側の言葉が聞こえてくるような感じでした。


 自分の場合は京都に住んでいたころの家を売却して資金には余裕があったので、初期資本は600万で始めましたけどね。


 資本金の他に、軽トラの所持も求められたのも、当然と言えば当然でした。


 使ったことのある方ならば分かるでしょうが、軽トラの利便性は恐ろしく高く、常にこれを乗り回しているくらいです。


 田舎暮らしでありながらマイカーに乗らない日はあっても、軽トラに乗らない日はない。これくらいの使用頻度です。絶対にいります。


 つまり、“金”と“足”があって、ようやくスタートラインに立てる権利が付与されるというわけです。これがないとお話しにならないレベルですね。


 まあ、親方農家での実地研修中に挫折する人もいますし、親方とそりの合わない研修生がいたりと、何かと問題はありますけどね。


 白ねぎは設備投資が少ないので、この程度の資金で済みます。しかし、大規模な温室が必要なイチゴだとか、厩舎が必要な畜産系は、とんでもない金額になりますので、どこかのおさがりを見つけるか、斡旋してもらうのがよいでしょう。


 農家になろうかと考えている方は、まずどの作物を育てるのか、それにはどのくらいの資金がいるのか、どの程度の補助を受けられるのか、それらをきっちり計算してから行動に移してください。


 資金ショートでおじゃんになったら、それこそ人生詰みますぞ。


 金は天下の回り物と言いますが、それは回せる金を持っている人間だけが吐ける言葉です。回せる金がない人間の所には、絶対に金は回ってこないのが、資本主義社会ですからね。


 そのことはしっかりと認識して、資本金はしっかりと確保しましょう。


 “生産者としての自負”と“経営者と言う自覚”、この二つが揃って、初めて農家足り得るというのが、私の持論です。



          ~ 次話に続く ~

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