8月

最も過酷な8月がやって参りました。


 何が過酷なのかと言えば、もちろんその暑さですが、それを増幅させる一番厄介な作業が待ち構えているからです。


 農家をやっていて一番過酷な作業は何か、と尋ねられたら間違いなく自分はこう答える。


 『夏場の草むしり』だと。


 7月末から8月にかけての雑草の伸び方は、異常なほどに早い。梅雨によって畑に水が入り、梅雨明けと同時に太陽が照り付けて、雑草の育成を助長させる。特にイネ科の雑草の伸び方は尋常でない。


 1週間も放っておけば、すぐに生えてきて、あっという間に畑を埋めてしまう。これを上手く処理しなくては、秋や冬に収穫する分の白ねぎが草に呑まれて、発育不良となる。


 ちょっとでも雨が降れば、さらに伸びが加速して、手が付けられないことにもなる。機械や除草剤がなければ、間違いなくお手上げとなろう。


 暑い上に、延々と生えてくる雑草。エンドレス草むしり!


 無論、その合間にいつもの作業が入る。収穫、出荷、畝上げ、植え付け、さらには病害虫対策の農薬散布。ここが1年で最大の正念場だ。


暑さにへばる白ねぎも多いが、それでも腐らずに残るものも多い。腐る前に収穫する。GWの時とは違う駆り立てられる忙しさがあるのだ。


 そして、この時期もまた、6月のトンネルねぎ同様、値段が高騰しやすいのだ。白ねぎが夏バテして、出荷量が落ちてくるのもお盆前後で、ここを上手く切り抜けれるかどうかで、年間の売り上げにも響いてくる。


 あとはひたすら、台風が直撃しないことを祈り、今日も草をむしる8月の炎天下。


 皆さんも一度体験してみるといい。無限湧きする雑魚ラッシュの恐ろしさを。


            ~ 9月に続く ~

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