Gh*おまけ

「まさか、こうなるとは予想外でした。やれやれ、嵌められましたか」


 真っ暗な部屋のパソコン画面に映るはバラバラにされ、綺麗に解体された女性の鍋。死亡記事を書いた男を裏に誘った彼は何かを恐れるようにキーボードを叩く。

 システムに入り込み、データを破壊しようとウイルスを流し込むも塞き止められ、逆にデータを壊され、自分よりも劣っていると思っていたが間違っていた。パソコンの配線を引き抜き、震えるスマホを手に取る。


【死亡記事@記者】

『無駄ですよ、トレイさん』

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【■■■@Gh】

『?』

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【死亡記事@記者】

『何を恐れてるんですか?

 人を殺すの楽しいのに』

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【■■■@Gh】

『エラー 半角文字入力不可』

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【■■■――】

『私はこのゲームから外れることを条件にやった。でも、あの人は逃がすつもりは無かったんですね。証拠隠滅ですか』

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【死亡記事@記者】

『あぁ、主催者死亡時の応急措置ですよね。今、神っちさんから聞きましたよ。主催者探しで俺がなるとは――表は飽きてたのでちょうどよかった。

 貴方の居場所教えたので報告が楽しみです。あの写真を見て誉めて欲しかった。唯一貴方を信用していたのに残念。裏切り者だったんですね、貴方』


 彼は人の気配を感じ、席を立つ。部屋を飛び出し、薄汚れたマンションの廊下へと出るとエレベーターから男が一人出てくる。


「みーいっけ。オビオビ、殺していいよね」


 見慣れた男 川上に彼はスマホでマンションの警報システムに侵入。各部屋の火災報知器を鳴らした。慌てふためく住人の波に溶け込むように階段を掛け降り、自転車を死ぬ気で飛ばす。


「だから、怪しいと思ったんですよ。あの男が易々と見逃すはずないですもんね。とある家族を殺し、その子供を生かし暮らしてるんですから」


 ここ数日。表裏関係なく殺しが続きゲームに身の危険を感じ、どうにか崩せないか。最悪な終わりを迎えぬよう影でやっていたが主催者の目につき脅迫。そして、生かされる。今となっては狙われる身。殺し専門が“殺しで映えのある写真を撮る”とあったが、ゲームのルールがいつの間にか崩壊していた。


「あの子なら……助けてくれますかね。確か、お兄さん居ましたし。電話、してみますか」


 公園で自転車を停め、暗闇を照らすスマホの光。電話を掛けようと電話帳を開くも一歩早く知り合いから電話が来る。


『トレイ、お願い。友達を助けて。このままじゃ殺されちゃう。仲間の武器俺持ってるから○日の○時に店に来て絶対だよ』


 ぶつり、と切れ。何事、とかけ直すも掛からず。気になりつつも“あの子”に電話。


「あ、すみません。貴女のハッキングを即座にボコボコにした者ですが……ゲームやってますよね。生きたければ私と組みなさい。多分、このままでは――死にますよ・・・・・


                【完】

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死亡記事 無名乃(活動停止) @yagen-h

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