普通記事No.xxx  炎上

 トレイとはそのまま別れ、窓ガラスから外を眺めると交差点で騒ぎが収まりつつも警察やパトカーと携帯状態。慌てざわつく感じが面白くなり、写真を撮って表SNSで呟く。



死亡記事オビチュアリー@ノーマル】

『信号機故障について。

 ○○都○○区の交差点にて信号が青に関わらず突然赤へ変わる事態が発生。歩行者の死亡報告はないが、付近にて玉突き事故が多数。怪我人多数、渋滞発生と急ぎの方はご注意を』

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 コメント返信

【神っち@つらたん(´;ω;`)】

『だぉだぉ……。つらたん、フラれた。事故? しらなーい(´-ω-`)今、そんな気分じゃないお』


〔個人メッセージ〕

【神っち@つらたん(´;ω;`)】

『さーくーやぁーテメェなにしてんだよ。はぁ? ふざけんなバカッこの■■■■■ピー。今何処だ。糞■■ピー。そこデパートだよな?』


 上川の怒りコメントに目を向けていると記事にコメント。


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【トレイ@自警団】

『おや、これは誰がやったんでしょう』

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死亡記事オビチュアリー@ノーマル】

『誰ですかね』

 └〔個人メッセージ〕

   【■■■@Gh】

   『I don't remember:-)

   (記憶にないですね)』


 上川の場所をGPSで確認すると三分ほど離れた場所から近寄ってくるアイコン。これはマズイと俺はその場から逃げることにした。エレベーター、エスカレーターではなく階段。人通りの多い駅方面の出口ではなく、薄暗い出口。スマホを確認しながら早足で行くとアイコンがデパートを通り越し離れていく。


 ――ん。


 不思議に思い立ち止まると突然、スマホが震えた。


〔個人メッセージ〕

【神っち@つらたん(´;ω;`)】

『つらたん、つらたん、つらたん、つらたん、つらたん、つらたん、つらたんたん麺

 つらたん、つらたん、つらたん、つらたん、つらたん、つらたん麺、うっうっー♪』



 気が狂ったようなバカなメッセージに言葉が出ない。また、震える。



【神っち@ヽ(♯`Д´)ノコリャーッ】

『俺サー。スマホとタブレット持ってんの。小春ちゃんとご飯してるときコッソリ鞄にいれてさぁ。小春ちゃん、ゲキカワ(*ノωノ)くまたん入ってたぉ~』


 気づいたときには遅かった。ドンッと背中に強い衝撃。のし掛かるように前に押される。背後から伸びた手が逃げないようグッと強く胸ぐらを掴む。


「なるほどね。俺が見てたGPSは小春さんの鞄に忍ばせたスマホ。チミはタブレットで俺を追跡してきたのか。アホにしては珍しいですね」


 そう冷たく誉めるとパッと勢いよく上川が顔を出す。子犬のように笑顔で口を開く。


「夕飯奢れ、この野郎」


 閉じると同時に冷たい目で俺を見る。

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