死亡記事No.――

 社内では書きにくいため昼食がてら近くにある大人びた雰囲気漂う珈琲店へ。カウンターでコーヒーとスコーンを頼み、壁端の二人席の腰かけキーボードを叩く。昼時で騒がしいため、イヤホンしながら悲鳴や銃声と落ちつく音を流す。

 手帳を取り出し、人身事故遭遇時に書いたメモを見る。そこには殴り書きだが短文、長文。


 母親を殺されてから妙な癖がついた。


 それは――殺したモノ、殺されたモノ、死んだものをメモ帳に書き出すこと。詳細はパソコンで打ち出し趣味としてSNSで『死亡記事』を書いている。


 XX年○月 蟻 踏む


 XX年○月 蝉 瞑れ、烏の喰われる


 XX年○月 蟻 踏む、たくさん


 XX年○月 鳩 電車衝突、羽散る


 XX年○月 花 花屋が切ってた


 XX年○月 草 踏む


 XX年○月 人

 ニュース 通り魔 多数


 XX年○月 人

 ニュース DV その他多数


 XX年○月 人

 ニュース 自殺 学生 死亡者○人


 XX年○月 人

 電車 自殺 死亡者○人


 XX年○月 人

 事故 行方不明○人 死亡者○人


 XX年○月 人

 道端で血。看板も。 死亡者○人


 XX年○月 人と人

 俺の知り合い 死亡者:二人

 面白そうだから記しておく。


 XX年○月 猫

 轢かれてた。持ち主を探してあげよう。


 XX年○月 人

 糞だのなんだの誰かに怒りぶつけながら叫び自ら落ちてった。服装からして女性だろうがバラバラすぎて年齢は不明。

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