死亡記事No.X1 笹野 美愛

 画面に語りかける。


「こんにちは。君のは飽きないね。素晴らしいよ、今日も男と遊んでるのかい。物好きだね」


 SNSで動物や虫以外、人間の訃報を書き始めたのは数ヵ月前。ちょうど嫁と浮気相手が死んだとき。俺は手を真っ赤にしながらコレを打ち込み、落ち着いて見返すと一気に引き込まれた。経済や国際と日常を書くよりも楽しく異常な達成感と満足感。だが、そう感じたのは嫁だけ。浮気相手の男のは何も感じなかった。



死亡記事オビチュアリー@訃報】

『名前:笹野ささの 美愛みえ

 性別:女性

 歳:32

 身長:158

 体重:不明(興味ない)

 職業:事務職

 住所:○○――

 実家:○○県――

 電話番号:――

 関係:元嫁

 死因:浮気していた男からのDV、焼死。

(追記:その他)

 たまたま開いていた写真の展覧会で時々見かけていた。その時は仕事帰りか、フラれたか覚えてないがクラシックカメラで撮った俺の『コスモス』の写真が綺麗だったらしい。一部だが売っていた小さな写真を買ってくれ、それをきっかけに付き合い結婚したが俺がそっけなかったか。毎日、男とつるんでは家に連れ込む。死ぬ数日前に嫁に黒い影が見えた。過去に親を殺されてから〔黒い〕のが見える。軽く警告したが気持ち悪いと聞いてくれず、帰宅時にはもう死んでいた。

 写真ずっとリビングに飾ってあった。男だけじゃ寂しかろうと彼女と男を抱き合わせた形で火を放つ。皮膚が爛れる姿は綺麗だった。今も男と遊んでいるのだろう。

 ※文章下、燃える彼女の写真』


 ○月○日更投稿:返信コメント

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【名無し@決めんの面倒】

『やだ、不吉。っか、詳しすぎね?』

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【神っち@同僚神】

『お初~♪ なにこれぇー死んでるノゥ? ヤバッオモロ。でも怖いからフォローしないお(σ*´∀`)』

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【トレイ@自警団】

『へぇ……面白い人ですね。私も似たような趣味を持っています。訳ありでフォロー出来ませんが、更新されたら伺いますね』

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