MISSION:112 +3セイバー
ネーネさん率いるエルフの戦士団に虹の忘郷関連は取られたので、僕らはユッグベイン退治部隊として動くことが決まった。
なので緑化はもうちょっと後。
≪ワワンパァんちに帰るだけだし、特に準備は必要ないかなー?≫
「ないじゃろ」「ないあるする」
「素晴らしいマジックアイテムを思い付きましたら、作って届けて欲しいのであります!」
≪そんなのそうそう思いつかないよ!≫
あ、フーちゃん用の近接武器を作ったほうがいいのでは?
魔力剣じゃマジックブレイクの付与効果で、髪の毛に戻っちゃうじゃん。魔力が全部消えるわけじゃないそうだけど、強度がガタ落ちするだろうしさ。
≪明日の出発までにフーちゃんの武器作るよ≫
「さっそく思いついちょるが」
「さすがですなー」
「剣! 剣、
≪オッケー≫
フーちゃんは軍服だし、サーベルかな。軽いほうがいいんだし、翼を象った飾りをくっ付けよう。手を守るところ、
素材は豪華にオリハルコンとミスリルの超合金で。
≪盛り上がってきましたっ≫
「あ、始まるした。みょーんみょーん」
翼が付いてるってことは攻撃回数も増加させたいな。当たった瞬間に衝撃が出るようにすればいいかな? いや、でもそれだと相手の動きも衝撃で変わるから、使い辛くなっちゃうかも。
「こりゃあもうお任せのヤツじゃね」
「ネーネ様、ご飯に致しましょう」
ンー……軽い剣だと与ダメも減りそうだしなあ。電撃付与は定番と言えば定番だけど……ンンン~。あ、おっ? 重力制御なんてどうだろうか。フーちゃんは筋力ないしさ。
「え? でもポーちゃんが」
「こうなる、動くない、なるする。聞く耳、ないなるする」
重力制御が付いてれば、つばぜり合いのときに負けないでしょ。マジックブレイクも、フーちゃんの剣技なら使えるだろうし、これも付けようか。
電撃付与みたいなのは、フーちゃんが精霊でカバーできるし付けなくていいか。
サーベルの剣身は直刀タイプにしたほうがいいね。今までも曲刀は使ってないし。
おっし、決まった。
+3セイバー・オブ・グラビティコントロール&マジックブレイクだ。
重力制御と魔力分解が付与された魔法のサーベル。
アルカンシェルを作ったときの余り、ヤミちゃんの鱗も拝借。モックドレイクの革で鞘を作ろう。
「ポーちゃん、終わるした?」
≪ん? ああ、丁度できたー! 見て、カッコイイでしょ≫
「「おおー」」
「ポーちゃん、ありがとうした~!」
「これもゲームの知識というやつでしゅかあ」
≪ですです≫
「剣で戦う時代じゃないとゴエモンから聞いてましゅが、不思議な世界でしゅねえ」
じゃあ油断しないようにね、ってネーネさんに送り出される僕ら。
アレッ?
ナンデ?
「もう出んとウチのダンジョンに着くんが夜になるけん」
「ほぼ1日経ってるでありますよ、ポーちゃん」
「耳ない、なるした」
アレェ?
知らない間に今日が明日になってたとわっ。
≪さすがファンタジーな世の中≫
「熱中し過ぎでありますよ」
そうだったかあ。疲労は感じないけど、念のために怠けてた僕と交代して移動しよう。基本的に表面辺りの僕が働いて、中心に向かって怠け度が高くなってるのですよ。動く必要がないからね。
「剣、訓練、パァちゃんち、明日するー」
「5時間くらい運んでもらわといけんしね」
「フーちゃん、お願いするであります」
「うん。まかちょけする」
≪では、対ユッグベイン特戦隊はっしーん!≫
パンツァーポーは休憩島上空に停泊中なので、ワワンパァんちまではかなり時間が掛かるから、フーちゃんの負担も大きい。
空中要塞が自由に使えて、速度が上がればいいんだけどねえ。
それまではフーちゃんに頼む感じだ。僕が運ぶという手段を取るには、魔石の消費量がスゴイことになるしなあ。
「訓練なるする」
魔力を増やして攻撃偽装の魔力飛ばしを、充実させたいみたいだ。隠蔽修行、どんだけ嫌いなのさ。
そういえば隠蔽で思い出したけど、世界樹の隠蔽ってどれだけパワーを使ってるんだろうね。空中要塞の隠蔽でもソコソコ必要なのにさ。浮遊石反応は世界樹からはなかったから、それ以上のパワーが世界樹にはありそうだよ。
見ることができる場所だと、ただの巨大な壁っていうくらいの巨樹なのにさ、見えなくしてんだもの。基礎DP凄そう。
…………枯れたり倒れたりしませんように。
地球の巨樹伝説も実はダンジョン産だったりしてー。切り株みたいな山ああるからね。ユグドラシルは実在した説も各地にあるから、ワンチャン、アリです!
日本にも何本か伝説があったはずだから、日本の世界樹ダンジョンのお陰で異世界転生とか転移してるんじゃないかっていう仮説を、今思いついたっ!
「いっぱい、世界樹、あるするー?」
「じゃけえポーちゃんの世界は魔力が枯渇しちょるんかも?」
「あぁ、それで生命力も魔力も……カワイソウであります」
地球人の虚弱体質は世界樹のせいらしい。
ウキウキするユグドラシル伝説のはずが、カナシイ伝説に塗り替えられてしまったところでワワンパァダンジョンに到着した。
フーちゃんがビューンって飛んで行って、ワワンパァに抱き着いてる。
「ただいま、するしたっ!」
「おっと、お帰りー。ご飯? お風呂? それとも訓練にする?」
≪新妻っぽく≫
「お帰りなさい。ご飯にする? お風呂にする? それとも、く・ん・れ・ん?」
≪通じるのかあ!≫
「「ポーちゃんのせいじゃろ!」」
なぜだ! 生とドール、ダブルで責められた。
「余計、事柄、ポーちゃん、よくするしてる」
「ですなあ。いらんことしい、ってことでありますよ」
「「じゃけどたまに、それが好転する切っ掛けになっちょるんよねえ」」
そんなことあったかなあ、って思ったら伝わったみたいで教えてくれた。フィギュアと衣装のお陰で資金が潤沢ということを。
しかも新発売のニャムちゃんシリーズも好評発売中らしい。
失敗してハマってんのに、別になんともありませんが? みたいな顔してるネコっぽいシリーズ。好評なんだったら、僕を騙したことは許してあげよう。
父親の宰相閣下にプレゼントするくらいでね!
それがイヤだったら「な」が「にゃ」になってくれたらいいよー。
「それ、置くするして、訓練、明日する。今日、お風呂、ご飯、ヤミちゃんなでるする」
「それがし、お風呂はダンジョン入口の神殿温泉にしたいであります!」
≪自然の露天風呂ばっかだったもんねー≫
「「お風呂の前にダンジョンと契約しちょってー」」
ハッ、そうだった。すっかり忘れてました。フーちゃんとルァッコルォも、忘れてたのを誤魔化す微笑みを浮かべてるな。
この世界ではトップクラスのフライトだけど、5時間はやっぱり長いんです。
「「ウチぁみんなのこと、知っちょるけんね!」」
「バレる、した~」
「お詫びに、パァちゃんをピカピカに磨き上げちゃうであります」
「私、参加する!」
≪ソレ、絶対やりたいだけじゃん≫
「バレるした~」
1ヶ月ぶりの帰還だし、帰った瞬間にハグしてたしね。分かりやすい仲良しさんだったよ。仲間同士で羨ましがることはあっても、嫉妬で嫌がらせなんてしない良い子戦隊なんだー。
「「ドールのほうはメンテするけえ」」
「えー!?」
って文句を言うフーちゃん。でも機種変するから今のボディは素材行きだってさ。じゃあ洗っても意味ないね。新型機は竜鱗を練り込んだものを使ってるそうだ。もうできてるから、中身を交換するだけで終わるみたい。
「「メンテドールで作業するけえ、お風呂出る頃にゃあ終わっちょる」」
「ではパァちゃん本体を集中して磨きましょう」
ワワンパァに逃げ場はないようだ。
いや、別に拒否してるわけじゃないけど。なんとなーく捕まってる感があるだけでさ。
でも公衆浴場で見た光景は──
「アハハッ、ヒィィッ、ダメじゃってぇぇ、あはははっ、う、ッヒャヒヒ、許チてぇぇっ!」
≪ちょ、やりすぎやりすぎ!≫
「ダイジョブする、キレイするする~」
「それがしのマッサージは父様に好評でありますので!」
「私、同じあるするっ!」
「ダメダメダメぇえェッ、コチョバイぃイいィけんんっ、ダメじゃってばアっ」
──まるで罰ゲームのようだったんじゃぁ。
それとも
フーちゃんのナニかで、ワワンパァってば身動きすら許されてないよ?
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次回≪MISSION:113 計画≫に、ヘッドオン!
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