MISSION:81 新たな仲間

 ヘー氏の城はダンジョン産じゃないので、邪人が勝手に増改築したんだろうね。地下へ降りる隠し階段を、ワワンパァが発見したよ。魔法的な要素があったら、マジック・ディテクションで発見可能なんだけどな。


 ゴソゴソ漁ってたら銀色のヤツの記述を見つけた。


≪チラホラ出てくる白銀のきみってのが銀コケシってことだよね。強かったみたいだし、邪人のボスなのかって思ったけど……≫


 尊敬してるような記述もあれば、邪魔だってのも書いてある。


「邪人、別、悪意、存在する?」

「分からんねぇ。ユッグベインじゃない野良の邪人とか?」

「しかも結構昔の話みたいですし、確認のしようがありませんな」


 エルフもドワーフもニンジャも知らない存在なら、僕はもうサッパリワカランでございますよ。


 しかし……ヘー氏が狂ったのは銀コケシのせいっぽいな。11賢人分の魂をヘー氏の魔石に詰め込んだみたいだ。銀コケシがいた時は制御可能だったみたいだけど、いなくなったら制御不能になって、邪人は殺されていったみたい。

 制御するための技術を構築する必要性ありと資料があるね。


「それがあの肉塊なんか」

「ご存知で?」

≪チヒのダンジョンマスターが肉塊で操られてたんだ≫

「魂制御『そったら自分のも制御すんべ? まだ生ぎてるだべか?』するー?」

≪ウワァ……銀コケシみたいなキモイのが生き残ってたらイヤだなあ≫


 どうなのか謎だけど、気を付けるように全僕に通達しておいた。

 銀コケシ、魂使い、剣士、邪人と協力体制を結んでる場合あり。って。


「このダンジョンとヘーさんがチグハグだったのは、12人分の魂をひとりで受け持ってたからなんですな。可哀そうであります」


 言われてみれば確かに。死肉のゴーレムで精霊を呪ったかと思えば、精霊の泉なんて清浄な場所を維持してたり。魔法使いっぽかったけど剣士だったりとか。

 夜しか開かなくて、第1ステージが高難易度って言うのは……もしかしたら人を入れないための処置だったのかもしれない。


 彼は……たったひとりで今まで戦ってたのかもしれない。


≪やりきれない思いは、銀コケシが生きてたらソイツにぶつけて、ヘー氏の無念も一緒に晴らそーっと≫


 せめて名前を覚えておいてあげたかったけど……ヘー氏としか記憶にない……なんか色々ゴメェン……。


「もー、ポーちゃん。へ、ヘ、ヘウェウェーウェルする」

「フーちゃん、言えちょらんのよ」

「でもそんな感じの名前であります」

≪言えないんだったら文字書いてよ。フーちゃんしか覚えてなさそうだし≫

「「エ、エヘェ」」


 ヘレウェーエル。12賢人のひとり、メイガスのヘレウェーエル。オッケー、覚えたよ!

 ってことで分解開始。邪人の痕跡はこの世から消しまーす。


≪邪人って悪意を振りまくくせに、なんか几帳面なんだよなあ。ちゃんと資料作ったり連絡が密だったりさ≫

「厄介ある」

「秩序のある悪は面倒でありますよ」

「ウチぁのんびり平和に、物作りがしたいわ」


 のんびりできないけどね。もう夜だし。結局今日は、お宝探しと邪人関連で終わってしまったなあ。

 明日はフレッシュゴーレム工場潰しと、城のダンジョン化になりそうかな? ゴーレム工場は生産停止にして、死肉も処理してあるけど、なんか気持ち悪いしね。

 フーちゃんは精霊の泉の様子を見に行くそうだよ。


 そんなこんなで数日間、ダンジョンの小規模改造と、泉に行って魔石の解呪状況を確認する感じで過ごした。


 動かない理由としては、本拠地からの荷物が届くまで待っているからなのでーす。


 今回の戦闘のこともあって、各ダンジョンにワワンパァドールを配置することにしたんだって。メンテナンス用だから、簡単ワワンパァって感じのドールがやって来た。しかも大型機の構想を練ってるそうだ。


 なんか100均に売ってる、一番単純なデッサン人形っぽい。とはいっても、メンテナンス用なので動きは滑らかだし、指もちゃんとあるよ。足はないけど。下半身は車だった。真横にも移動可能なタイプの車だ。


「「さっそくメンテナンス始めるわ」」


 千切れた反省から、ダミーコアの場所を変えることにしたみたい。

 胸に2個、腹に1個、両足に1個ずつから、頭1、胴体4にするってさ。それなら足が取れても、パワーダウンしないよーって。


「ブキミでありますぅ」

「パァちゃん、カワイイ、ない……ない……」

「「こっちのウチぁメンテナンスロボじゃけぇ、これでえの!」」

<ちなみにロボっていうのは僕の世界の、機械で動く生き物の動きを模倣するものだね>


 そしてこのワワンパァロボは、不評です。指がコキッって上側に折れ曲がって、中から小道具を出す。そんなギミック付きだっていうのにさ。


 ちなみにタオルも届いたよ~。これでお風呂も安心。各々好きなタイミングで入れるね。フーちゃん頼りじゃなくなったから。

 別々に入ることはなさそうだけど。


「パァちゃん増える。でもうれしい、ないする、コレェ!」

「なんだか悲しい気持ちになり申した……」


 まあねえ。顔なんて目と口用の穴が3個開いてるだけだし、髪の毛もないしね。のっぺらぼうに、穴付けただけなような感じ?


「「分かっちょったけど不評じゃあ」」

≪作業に特化した機能美を理解するには、素養が必要なのだッ!≫

<しかりしかり! まあソレは置いといてさ、ルァッコルォには新型の説明するから、飛べる場所にいこう>

「了解であります」

「見るする~」


 新型ジェットパックは、ダミーコアを3つに増加したらしい。お陰でキャノン砲の弾丸もすぐに装填されるようになったよ。しかもボタンポチーすることで、属性弾にチェンジも可能。雷撃弾と凍結弾だって。

 ここのダンジョンが増える予定だったので、大幅強化したってさ。


 では僕は予定通り装備品の作成に取り掛かりますか。ワワンパァの武器と、ルァッコルォのバフ装備。それから対呪いの装備を生身のふたり分。もう相談してるから、ダンジョン機能で組み上げるだけなんだー。


 まずはヒーリングポーションだね。今までは怪我なんてしなかったけど、今回は危なかったし。ただ、お高いんだよね。チマチマ追加していく方向ですな。ポ-ションでも高いから、マジックアイテムとなると伝説級になっちゃう。しかも傷の治りはそんなでもないんだってさ。ゲームの初級回復魔法くらいなのかもね。


 なのでポーションため込んでおくことになったんだ。回復魔法が使える人も、ほとんどいないそうだよ。なんでも結構なレア度らしく研究も進んでないみたいだ。だから病気や毒のほうを研究するってことなんだろうなあ。


 次にブレスレット・オブ・アンチカースを2個作る。銀色の腕輪にRPGに出てくるような、ルーン文字(無意味)をデザインして完成です。


 それからルァッコルォ用の体力アップの腕輪。ブレスレット・オブ・ヘルスも同デザインで作成。ただ、色はゴールドでございます。これでルァッコルォも足プルを防げるでしょう。


 最後にワワンパァの武器だ。

 持ち替えるのが手間だし、隙ができるので、1つの斧に3種の攻撃を持たせた物になるよ。半円の刃、反対側にハンマー、突けば槍って感じ。スラッシング、ブラジョニング、ピアッシングだね。


 特殊効果は鋭利付与と雷撃付与。特殊効果はお高いので、それぞれに1つずつ付けることになったんだ。

 +3バトルアックス・オブ・キーンエッジと、+3バトルアックス・オブ・ショックの2本がワワンパァの新装備だ。

 刃のほうには、世界樹をイメージしたフッサフサの大樹をデザインした。ハンマーのほうは絡み合う蔦と葉っぱだよ。カッチョイクなったぜ。


「おぉ、えねえ。ポーちゃんのセンス好きじゃわー」

≪アレ? もう治ったの?≫

「いやいや、もう夜じゃけえね? 晩ご飯くらいは一緒に食べようや」

≪時を飛ばす能力者がいたかぁ~≫

「おらんわ! そんなんっ」


 いないならセフセフだね。勝てそうにないからさ。とか思ってたら、僕はワワンパァにコロコロ転がされて食卓に連れて行かれた。なお、運び屋の僕はメンテロボを届けに海底神殿へ向かったそうだ。とっくに。


「ポーちゃん遅いでありますよ!」

「お肉、待つしてるするッ!」

≪ゴメンゴメン、装備作るの楽しくて全然気付かなかったんだー≫

「ほんじゃ、食べようや~」


 今日のDPご飯はハンバーグとミネストローネでした。んんまぁい。食べる必要はないんだけどね。僕もワワンパァも。でも楽しい食事は歓迎です。


「呪い、明日終わるする~」

「おーかったねえ」

「このダンジョンに平和が訪れましたな!」

≪思ってたより早かったね! 年単位で時間が必要かと思ってたよ≫

「みんな、お陰、言うしてた」


 なにかをしたってこともない気がするんだけどな? 心意気的な? そんな感じで解呪が早くなったのかなあ。

 よく分かんないけど、治るんだったらいことだね。明日はみんなで精霊の泉にお出掛けしましょう。


≪お弁当持ってピクニックかな≫

「それ、いこと~」

「では腕によりを掛けますかなっ」

「ほんじゃあウチぁプレゼント用意しよーっと」

≪え、と、僕はー僕はー、花火になろーっと!≫


 翌朝、僕らはいそいそと準備を進めて、ウッキウキで泉に向かった。


≪見ただけじゃ分かんないなあ。もう治った?≫

「まだ。あと少しある」

≪みんなは呪いの気配というか、そんなのを感じるの?≫

「分かるで」

「それがしもですー」


 他の魔石との違いなんてサッパリだなあ。ひょっとしてレイス時代の僕って、かなりの長期間だったりしたんだろうか? 死霊とか悪霊に馴染んでんの? 僕?


 なんか、チョット、ヤダネ。そのせいで呪い耐性あるんだとしても、ヤダネェ。


≪治った?≫

「「「まだ」」」

≪まだかあ≫

「落ち着きんさいや、ポーちゃん」


 そんなこと言ったってさ、治った瞬間に花火打ち上げたいじゃんかあ!


「ンッ、治るした!」

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次回≪MISSION:82 精霊の力≫に、ヘッドオン!

素材 他ルートも換算済み

モックドレイク43体

 魔石x43 皮&竜鱗x31 爪x18x31 牙平均55本x31

ワイバーンの魔石x18

オーガ26体 魔石x26 角x36

ロック鳥 魔石x21

ゴブリン級の魔石x125

オーク級の魔石x102

ウッドゴーレム 魔石x13

ボーンゴーレム 魔石x13

マッドゴーレム 魔石x13

ストーンゴーレム 魔石x12

フレッシュゴーレム 魔石x21(呪われた精霊入り 解呪中)

アイアンゴーレム 魔石x12

ストームジャイアントの魔石x1


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