MISSION:80 銀のコケシ

 翌朝。

 ご飯を食べた僕たちは、追加の呪いの魔石をもってドーナツ島に向かう。テキパキ行動しよう。やることがいっぱいだからね。


 南と東の王様へ報告。

 ワワンパァの修理、近接武器新調。+3武器が必要だったからね。

 それからルァッコルォのジェットパックを、近接攻撃可能にするための改装。


 あとはこのダンジョンを、一般クラスの冒険者でも探索可能にしたり、素材を獲得するためのステージを作ったり。まあこれはベルガム城にいる王様と協議する必要があるけど。


≪実はさ、ベルガムのラマザン王が会いたいって言ってきてるんだよねー≫

「パァちゃん、治すする、必要あるする」

「ダンジョンの再構築もあって忙しいんじゃけど?」

「分かれて行動しますか?」

≪うーん、会いたいのは多分ワワンパァじゃない? ダンジョンのこともあるし≫

「ならば陛下には待っていただきましょう!」

えんかねえ」

「仕方ないあるする。パァちゃん中身、零れる困るある」

「ですよねえ。半分のパァちゃんは痛々しいのであります」

「痛ぁはないんじゃけどね。痛覚なんて設定しちゃあおらんし」


 まさかの王様後回し作戦が決定した瞬間である。いいのかな? ホントに? 別大陸の王様だよ? 馴染みなんて、ほぼほぼないよ。コッチの王様の所にいる僕も、ほとんど連絡用って感じで話さないしさ。


 実際のところ、ワワンパァが半分になってるのは不便だし、そのまま半ワワンパァの姿で王様の所に行くっていうのも、確かに微妙な気がするので連絡を入れておいた。


≪10日後でいいか? って。それくらいなら大丈夫だよね≫

「ほうじゃね。それならひと通り処理は終わるじゃろ」

「さすが陛下。話が分かるお方でありますな!」

「ルーちゃん、自慢げ~ぷぷぷ」

「エヘェ、獣人族希望の星です。それがしには不可能な──」


 内政できるのがスゴイってルァッコルォは熱弁してるけど……ソレ、ルァッコルォができないだけなんじゃあ? だって族長とかしっかり者だったし、王様と普通に難しいこと話してたよ?


 ほら、政治家の話ってさあ、日本語で話してても日本語で話せボケェ! って言いたくなるじゃん。分かんない話を分かんないように話すからダメなんだよね。バーカバーカ!

 悪の組織が世界征服を企むのって、そういうのがキッカケだったりするんじゃないのかなー、っていう世界の真理に気付いたタイミングでドーナツ島に到着した。


「えー!? 昨日と違うのですが!」

≪ホントだ! 祠みたいになってるし花とか飾られてるよっ?≫


 僕らは海の満ち引きとかで、魔石が流されないようにしただけなのにね。フーちゃんとワワンパァに伝えたら、フーちゃんが精霊さんがイイ感じに改造したって教えてくれた。


≪センスなし男だったかあ≫

「つまりそれがしはセンスなし女子という……」

『精霊さんはふたりの心意気に打たれたんだべ。ありがとうって言ってるだよ』


 今日また来るって伝えてたから、頑張って仕上げたそうだ。


「ゴメンなんじゃけど、さらに8個あるけえそれもお願いするわ」

「パァちゃん、違うする。ヘー、悪、変わるした悪い」


 名前はもう忘れちゃったけど、ダンジョンマスターのヘレなんちゃら。ストームジャイアントは本来、世界の守り手のはずだそう。なのに悪落ちしちゃってたし、やってたことがヒドかったもんね。精霊を魔石に込めて呪うとかスゴイ悪辣。


 そんなことを話しつつ精霊の泉に、魔石を浸けてる僕。そしたら精霊から話を聞かされてるっぽいフーちゃん。ビックリしたり、悔しそうにしたり、怒ったりしてる。


 フーちゃんは改めて決意の表情を浮かべた。


「いかがいたしたでありますか?」

「邪人、仕業! また!」

「またなん? アイツらぁっ」


 どうやら悪落ちしたのは邪人が関係してたようだ。フーちゃんが共通語だと説明できないとのことで、まず僕が聞いて翻訳する。


 要約すると、ここはストームジャイアントの12賢人が運営してたダンジョンであるということ。そして邪人が攻め込んできた。ストームジャイアントは強いので、問題ないはずだったんだけど、銀色の怪人みたいなのが参戦してきた途端、形勢が逆転してしまったらしい。


 精霊が絵を描いてくれたよ。コケシに鶏ガラの足で作ったような、細い手足が付いてて剣を持ってる……ね。そして銀色ってことだね? あ、ありがとね? 小っちゃい子が描いた絵みたいだから、色だけ参考にしておこう。


 まあとにかく、ソイツが物凄く強かったみたいで、ヘー以外は皆殺しにされたみたい。それから段々とヘーが変になっていったんだって。邪人と協力してたそうだし。


 でも銀色がいなくなって少し経つと、今度は邪人を殺し始めたヘー。その邪人の死体を使って呪いの魔石を作り始めたそうだ。精霊たちはヘーと友達だから、なんとかしたかったらしいんだけど……どうにもならないまま捕まって、呪われてしまう精霊もいたということだそうだ。


≪ウーン……銀色がストームジャイアントを洗脳したってことかなあ≫

「邪人は強ぅなると銀色になるんか?」

「過去には5本角が確認されていますが、銀色というのは聞いたことがありません」

「私、見るない、する。4本角まで」

≪結構昔の話っぽいし、今も銀色がいるのか分かんないね≫

「邪人、寿命、分かるないする」


 しかし……倒しちゃったのマズかったかな。だって洗脳されてたんだったら、なにか手段があったかもしれないしさ。そんなことを伝えたら、長期間オカシナ状態だったみたいだし、回復は絶望的だって教わった。


≪ウウゥ……モヤモヤする!≫

「ポーちゃん、邪人が起こした事件を解決してスッキリすることは、そうそうないのでありますよ。精霊さんだけでも救えるのが不幸中の幸いです」

「うん。邪人がおったんなら、城のどこかに施設が残っちょるかもしれんね」

「ンッ。調べるする。精霊さん、呪い魔石よろしくするー!」


 マナをこの場所にもっと集めたらなお良しってことだそうで、コアルームに戻ったらさっそく設定をいじろうってなったよ。邪人の施設も発見したら破壊だね。そのあとに城をダンジョン化させるってさ。

 そうじゃないと城の修復が手作業になるしね。


≪ま、みんなはまだ万全じゃないんだし、邪人施設の探索なんか僕に任せておきたまえよ≫

「ポーちゃんひとり、お宝探索するつもりある!」

「ズルイであります! ズルイであります!」

「そりゃあ賛成できん意見じゃ!」

≪なぜバレたっ!? ってそんな訳ないじゃんかー!≫


 チラッとも浮かばなかったかと言えば、そんなことはないんだけど。実際にコロッセオではボッチ探検しちゃったし。

 でもラストステージくらいはみんなで探すよぉー。


≪お宝の場所は目星がついてるけどね。未開封さ≫

「ほんなら許しちゃる~」

「許すちゃる~」

「可愛らしいでありますな! ちゃるっアハハハハ」


 個人的には、ちょる・・・も捨てがたいよ。


≪宝箱の中身はどんなマジックアイテムなのかっ。それでは開封してみましょう、オーーープンッ!≫

「おぷーんっ!」

「ルーちゃん、違うする。おーっぷん」

「ふたりとも違うわ。おーぷんじゃし」

≪ワワンパァが正解。中身はねえ、腕輪でしたー≫


 邪人の痕跡を探しつつ見つけ出した魔法のお宝総数は──なんと25個。さらに金貨が小山を作るほど出てきたし、宝石も有難味のなくなる量があったよ。金銀財宝ってヤツだね。


≪チェェ、虹の忘郷クラスの浮遊石を期待してたんだけどなあ。城が雲の上に建ってるんだから、もしかしてって思ってたのに≫

「無茶、それ」

「ポーちゃんは贅沢すぎじゃ。お宝がこんなに見つかっちょるのに」

「でも……王たちに献上するのですよねぇ……」


 もったいないなーって顔してるルァッコルォ。どうせ使い道ないんだからいいのさ。精々ダンジョンのお宝に再利用するくらいなんだし。

 そんなお宝は王族に渡して、便宜を図ってもらえばイインダヨー。


 楽器x3。古代のハープみたいなの。手で持つタイプのヤツ。U字の上側に横棒が付いてて上下に弦が張ってある。効果は分からないってさ。装備品じゃないから鑑定できないそうだ。


 スクロールx5。クリエイトクラウドx3、ストレンジデッキx1、パーマネントx1。雲を作って、床にして、永続化させるためのセットっぽい。


 ワンドx3。ファイアブリッドx1、エアロボムx1、クリエイトウォーターx1。ワンドは魔法が込めてあって、使用回数を消費しきると壊れるんだって。だいたい20~35発は使えるそうだ。


 +2ロングソードx2。特殊効果なし。


 +2ハンマーx2。どちらも神聖系の効果あり。ディバインハンマーっていうカッチョイイ名前。


 ロッドx1。インクリース・オブ・ショック。これは雷撃系の効果を増大させるいもの。


 リングx4。はい、お馴染みの毒耐性。


 アミュレットx1。はいはい、お馴染みお馴染みの毒耐性。


 ブレスレットx2。これはチョット欲しいものかなあ。どちらもブレスレット・オブ・パワー。筋力増加だね。パワァァァッ! ルァッコルォに装備させたら火遁がさらにパワーアップだしさ。って言ったら2個装備しても、効果が重複しちゃうから意味ないそうだ。


 アンクレットx2。アンクレット・オブ・アンチファイアと、アンチスラッシング。火耐性アップと斬撃耐性アップのアンクレット。


≪生身のフーちゃんとルァッコルォには、耐性アップの装備が欲しいよね≫

「私、いるない。精霊さん守り硬いする~」

「それがしは陛下と相談しますかな」

「もらえたらえねえ」

≪とりあえず、お宝だけ先行して届けておくね≫


 僕らが攻略したんだから、権利を主張したって問題ないんだけどね。ワワンパァがダンジョンマスターなうえ、装備品のスペシャリストだから好みの装備を作れちゃうんだよなー。


 耐性系はまだ作ったことないけど。ピンポイントだからムズイよね。魔法なら対応できるけど、マジックアイテムじゃあ相手の攻撃方法とか属性が、たまたま同じないと効果的ではないし。かといって全耐性分作って装備するとかは現実的じゃないし。


 今回のストームジャイアントみたいに強い敵だったら、アンチスラッシュを装備してても無駄な威力の攻撃力だろうしぃ。ムツカシーネー。


「見つけた。ここじゃ」


 おっと、ワワンパァが邪人のカラクリを暴いたようですな。

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次回≪MISSION:81 新たな仲間≫に、ヘッドオン!

素材 他ルートも換算済み

モックドレイク43体

 魔石x43 皮&竜鱗x31 爪x18x31 牙平均55本x31

ワイバーンの魔石x18

オーガ26体 魔石x26 角x36

ロック鳥 魔石x21

ゴブリン級の魔石x125

オーク級の魔石x102

ウッドゴーレム 魔石x13

ボーンゴーレム 魔石x13

マッドゴーレム 魔石x13

ストーンゴーレム 魔石x12

フレッシュゴーレム 魔石x21(呪われた精霊入り 解呪中)

アイアンゴーレム 魔石x12 +2ツーハンデッドソードx6

ストームジャイアントの魔石x1


お宝

金貨、宝石、装飾品など金銀財宝山盛り


ハープx3(効果不明)


スクロール

クリエイトクラウドx3(雲生成)

ストレンジデッキx1(奇妙な床作り)

パーマネントx1(永続化)


ワンド

ファイアブリッドワンド(32)

エアロボムワンド(28)

クリエイトウォーターワンド(35)


+2ロングソードx2(特殊効果なし)


+2ディバインハンマーx2(神聖属性付与)


インクリース・オブ・ショックロッド(雷撃系効果アップ)


リング・オブ・アンチポイズンx4(毒耐性)


アミュレット・オブ・アンチポイズン(毒耐性)


ブレスレット・オブ・パワーx2(筋力アップ)


アンクレット・オブ・アンチファイア(火耐性アップ)

アンクレット・オブ・アンチスラッシング(斬撃耐性アップ)

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