MISSION:79 ドーナツ

「ウーン、ジャイアントの城はいちいち不便じゃねえ」

「全てが大きすぎるでありますからな」

≪人間には攻略しずらいから、このままでいい気もしない?≫

「ああ、ほうかあ。住むわけじゃないけんね。とりあえずウチらが休憩できる場所を、作りゃあえんか」

「それがしは食事の準備をいたします。さすがにお腹が空き申した」

≪オッケー。じゃあ僕はふたりの手伝いだね≫


 僕はワワンパァの足になって移動とダンジョン調整の手伝い。この城もダンジョン化させるってさ。

 ルァッコルォのほうはエアタンカーから食器や調理器具になってもらうよ。

 フーちゃんのこともエアタンカーに任せればダイジョブ。

 温度調節ができるので、美味しいご飯と心地良い眠りを提供いたしましょー。


 僕、たいしてやることなくない? 手伝い隊x2と見守り隊x1。ダンジョンのことはワワンパァがやるし、料理もほとんどルァッコルォだしさ。ションボリしてたらナターリャさんの返事が来た。


 解呪に必要な時間は、呪いの強度次第だから不明。解呪方法を詳しくって問いに対しては、置いておくだけでいいそうだ。水場なら浸けておくほうが効果が高いかも、っていうはっきりしない回答だった。


 長い時間生きてるエルフの知識でも、謎ってあるもんなんだなあ。


≪ワワンパァ、ナターリャさんから返事が来たから、精霊の泉を見つけて欲しい≫

「今探しちょるよ。えっとねえ……あった! このステージの孤島の1つじゃ」

≪オッケー。ん? 今ここにいる僕塊ぼっかいは支店長に任命されてないけど、タブレットの表示が見える≫

「特にルール付けしとらんけえかねえ。ポーちゃん全員見れるように、なっちょるんじゃない? ウチもよう分からん」


 ワワンパァが分かんないんだったら、僕じゃあなおさら分かんないことだね。コロッセオではドアの出入りで分けられてたし、なにか判別する方法とかがあるのかもしれないなあ。


 見せてもらったマップに従って、精霊の泉へ向かおう。場所は第3ステージへの通路とは、城をはさんで反対方向の場所へ同距離くらいだね。

 あそこと同じく、崖が海の浸食で洞窟になった場所みたい。しかも、さらに清浄な場所ってことだよねえ。


 精霊が好むマナが満ちてる所らしいし。

 ルァッコルォにも出掛けることを伝えたら、食事の下ごしらえが丁度終わったみたいで、一緒に行くことになった。


≪じゃあ僕とルァッコルォで行ってくるー≫

「うん。ウチぁ休憩所作りょうくわ」


 ヨロ~ンって声をかけて出発。早いほうがいいだろうし。フーちゃんも行きたがるかもしれないけど、このまま休んでてもらおう。弱った身体に呪いの影響が出たらマッズイしさ。


「お待たせしました。準備完了です」


 飛んで行くし、魔物がいたら戦闘になる可能性もあるので、ルァッコルォには一応武装してもらう。AWACSエーワックスを3分の1程度連れて行こう。狩りが目的じゃないから、素材をいっぱい取ることもないしさ。残りは城上空で警戒してもらう。


≪ねえねえルァッコルォ、りカグツチまた見たい! 尋常じゃないカッコよさで、僕の残機が減ったよ? アレ≫

「ほほぉ、お気に召されましたかポーちゃん」

≪召したっ! 想像だけど、成りアマテラスのとかもありそう≫


 日本神話から取ったスーパーカッチョイイ技。イザナミとかさ! ルァッコルォにはさ、変身ヒロイン的な良さが、これでもかってくらいあるんだ。


「おー、ご存知ですか! ふっふっふ、それがしの神威かむい成りはあと2つ残しておりますよ」

≪カ・ム・イ・ナ、ルルルルィィーッ! そんなの絶対テンション上がるヤツじゃんッ≫


 なるほどなるほど、アレは神威成りっていう技で、属性別にモードチェンジするってことだよね?


「そういえばご先祖様もこの技を完成させた時は、かなりの上機嫌であったとか言い伝えが残っておりますな」

≪あー、そうなるかも。物語で出てくるようなワックワクな技だもん。自分で使えるとか……夢物語だよ≫

「その内に見せることもあるでしょうな。楽しみにして下され」


 今はみせてくれないらしい。アマテラスなのかも教えてくれないらしい。クヌゥ、イジワルちゃんめぇ。


≪イザナミ? イザナギ?≫

「ハテ? なんのことでありましょうや?」

≪クソゥッ≫


 火遁でカグツチならアマテラスは無いとみるべきか。風遁土遁じゃなさそうだもん……タケミカヅチ? あ、クサナギの線もあるのか。土遁は想像できないや。

 うーん、しつこく聞く前に目的地に到着した。

 今からは大事なお仕事の時間です。


「不思議な形の島であります」

≪うん。なんかドーナツみたいだね≫

「おー、確かに!」


 崖の部分が生地で、植物に覆われてる上部は抹茶クリーム。花とか果物のカラフルな部分がさ、チョコのフリカケみたいに見えるよ。


≪海がエメラルドグリーンだし、崖に当たった波が泡立ってるから、メロンソーダに浮かべたドーナツみたい≫

「ポーちゃんのせいで美しいというよりも、美味しそうに見えてきたではありませんか!」

≪帰ったら作ればいいよー。さ、行こう≫


 たぶんだけど中央の穴の開いた所だろうね。海水が溜まってるのか、水場になってるよ。うーん、僕にマナの違いが分かるかなあ。


「温泉であります」

≪ということはドーナツの穴の部分は、吹き出した跡なのかもね≫


 温度は低いみたいでお風呂には使えないそうだ。海水も流れ込んでるしね。着地してみると、東西を分断するように洞窟になってたよ。

 マナの違いも分かる。


≪爽やかというか清々しいというか≫

「清らかであります」

≪さっそく魔石を浸けておこうよ≫

「はい。少々場所をお借りいたします、精霊さん」


 流れちゃわないように大き目の石を拾ってきて、温泉の中に囲いを作る。


「精霊さんもお手伝いしてくれるのでしょうかね」

≪そこまでは聞いてないや。フーちゃんなら分かると思うけど、明日以降かなあ≫

「ええ、呪いの影響があるやもしれませんからね」


 精霊が好む場所ってことだから、いると思う。見えないけど。でも明日にでもまた来るよってルァッコルォに言ってもらった。

 だってメッセージウィンドウの文字じゃ伝わらないかもだし。


「日も落ち始めましたし、帰ってドーナツを作りましょう」

≪了解~≫


 夜間飛行はレーダーないので危険です。


「只今帰りました」≪ただいまー≫

「「おかえりー」」


 フーちゃんが起きてら。動けるくらいにはなったみたいだね。ルァッコルォはドーナツを作りに行ったので、精霊の泉のことは僕が報告しておいた。


「そのことなんじゃけど、追加で8個見つかったけえ明日にでも泉に持って行こうや」

「私、行くできるする、明日」

≪アイアイー≫


 フーちゃんの話では、解呪の手伝いができる精霊が、いるかもしれないってことだった。もしそうなら呪いの除去が少し早まるかもね。


≪キレイで美味しそうな場所だったから、精霊もいっぱいいるはずっ。※あくまで個人の感想です≫

「なんねえそりゃ」

≪僕の世界の責任逃れ、その1≫

「ズルい世界ある~」

≪※ただしイケメンに限るとか、※秘書のやったこと、とかもあるよ!≫

「笑かそうとしてるでありますか?」


 マジなんだよね。って言いながらのご飯タイム。パエリアとサイコロステーキとポトフ。そしてデザートのドーナツ。

 ゴージャスだね!


≪そうそう、こんな感じの島だったよ≫

「生クリームの場所は緑ですけどね」

「ルーちゃんは器用じゃねえ」

「美味する、絶対っ」

「召し上がれ~」


 元気に見せてるけど、ルァッコルォも疲れてる。足が少しプルルッってしてたしさ。ワワンパァだってドールが千切れたし精神的にも疲れてるはず。


≪片付けはやっとくから、みんなは休んでね≫

「お言葉に甘えます」

「分かるしたー」

「ウチぁ平気じゃけど?」

≪いや、多分ダンジョン手に入れたからテンションが上がってるだけで、絶対キてるよ≫


 納得いってなさそうなワワンパァだったけど、お風呂で活動停止してた。ゆっくり休んで下さいな。プレッシャーは相当あったはずだし。個人的には過去いちの敵だと思う。


 ずっと魔法妨害する羽目になったし……。なのに魔力関係なく必殺の嵐を出せるとかズルイ。


 でも手に入ったストームジャイアントの魔石も過去いちぃ! フラムブチョーの魔石より小さいんだけど、パワーは断然上だったよ。内包されたエネルギーは、魔石のサイズじゃないんだなあ。

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次回≪MISSION:80 銀のコケシ≫に、ヘッドオン!

素材 他ルートも換算済み

モックドレイク43体

 魔石x43 皮&竜鱗x31 爪x18x31 牙平均55本x31

ワイバーンの魔石x18

オーガ26体 魔石x26 角x36

ロック鳥 魔石x21

ゴブリン級の魔石x125

オーク級の魔石x102

ウッドゴーレム 魔石x13

ボーンゴーレム 魔石x13

マッドゴーレム 魔石x13

ストーンゴーレム 魔石x12

フレッシュゴーレム 魔石x13(呪われた精霊入り 解呪中)+8

アイアンゴーレム 魔石x12 +2ツーハンデッドソードx6

ストームジャイアントの魔石x1

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