MISSION:73 フレッシュ

 魔物との遭遇もなかなかしないのに、開けた宝箱もショボイのがカナシイな。やっぱりマジックアイテムなんて、そうそう見つかるものじゃないんだねえ。


「だってまだ第2ステージじゃもん」

「第3くらいする~?」

「経験から言えばそのくらいでしょうか」

「うん。ウチも第3にはチョットだけ入れたわ」

≪そういうもんかあ≫


 フーちゃんはダンジョン踏破の経験が、あるっぽいけど知らないみたい。どうせブッパして宝箱とか無視してたんだろうなあ。宝箱にはテンション上がってたのに、細かいことは気にしないから……ね。


 そういえばアーさんのとこは第2ににはあった気がするけど、あそこは魔物が強かったからかな。ステージとか階層が深いとか魔物の強さとかで、アイテムのグレードがルール付けされてても不思議じゃないかなー。


≪でもそうなると、ここの第1ステージはバランスが悪いんだよなあ≫

「モックドレイクじゃもんねえ」

「モックドレイク増えるする、弱い、追い出すするした?」

「繁殖力が高いのでしょうか」


 考えて、相談して、結局はよく分からないままだった。話せるダンマスなら聞けばいいか。悪いヤツだったら奪ってからになると思うけど。


≪あと24体のオーガがいるはずなんだけど、出会わないっ!≫


 部屋に固定の魔物じゃないから、通路をうろついてるオーガ探しに時間が掛かるんだ……。軽で走り回って探すほうがいいかもしれないね。


≪輸送部隊を分散させるよ≫

「分かるした。次、私、番、ね!」

「オッケーじゃ~」

≪えーっと、この宝箱は盾だね。魔力はなし≫

「宝箱の中身も微妙でありますっ!」


 まあまあいい物らしいけど、僕らにとってはいらない物なので分解処理。だって最低ラインが+2のマジックアイテムだもの。+2パンツに負けてちゃあダメさ。


 贅沢パーティな僕たちは、ブツクサ文句を言いながら宝箱の回収とオーガ退治を進めてた。でもさあ、そのぉ、もうメンドクサイ。

 みんなの顔にもメンドクサイって書いてある。


「魔物、宝箱、再利用する。それ、いことぉ」

「確かに。無駄を省くのは素晴らしいことでありますよ!」

「ウチも賛成~」

≪物は言いようダナー≫


 分解処理した宝箱3個、12体のオーガの魔石を獲得したところで、このステージはお開きと相成りました。他のルートも放置の民になるよ。

 ということで第3ステージへ。


≪どうなってんの? コレ≫

<ウーン、たぶん12回のゴーレム戦をクリアしたら、次のステージだと思う>


 第3ステージに着いてみれば、巨大なコロッセオだった。このコロッセオには12個の扉が付いてるってさ。つまり1回コロッセオに到着しただけじゃダメってことみたいだね。他のルートも攻略しないと、クリア条件を満たさないステージっぽい。


「ウッドゴーレム、強いない」

<違うパーティだと最初からになるみたいだ>

「と言いますと?」

<同じパーティだったら途中退場しても、最初からと続きからが選べるよ>


 AWACSエーワックスが言うには、この場所の扉ごとにパーティとして設定されるみたいで、僕でも別の扉から来た場合、別パーティになるってさ。合体したら参加不可能になったそうだし、途中参戦もできないようになってる。


 確認済みのゴーレムは、ウッド、ボーン、マッド、ストーンの4種類。出現数は2体。倒すと次は4体出てきて、それをクリアしたら別種のゴーレム2体になるらしい。


 ってことは他ルートの僕らは、見てるだけになりそうだね。だんだん強いゴーレムになったそうだし、僕の数も本隊以外はそんなに多くないからさ。魔石を食べないなら残機もたいして増えないし。


「普通に攻略しようとしたら、凄く面倒なダンジョンでありますな」

「しかもゴーレムはだいたい魔法耐性、斬撃耐性が高いけんねえ」


 チラッとフーちゃんを見るワワンパァ。


「問題ないある~」


 ないらしい。精霊魔法でもイケるけど、今回は魔法剣を使うみたいでヴァウンって出してた。相変わらずカッチョイイね、フーちゃんのレーザ-ソード。


「それ、どうなってるんです?」

「ンッ、髪、魔力、オーラ、込めるいっぱい、するー」

「え、髪の毛をエンチャントウェポンにしとるん!?」

「それー!」

「杖を使わないのでありますか?」

≪だよね?≫


 ハッ! みたいな顔してるフーちゃん。今気付いたのか。まあ軍服セットの飾りみたいな物だからなあ。魔法の武器でもないし。

 ゴーレムは斬撃耐性高いってことなので、杖でぶん殴ることにしたみたいだよ。


 ワワンパァはガトリングはそのままで、モーニングスターx2にチェンジ。ルァッコルォは徒手空拳で行くみたい。もりりっとバフって殴り飛ばすようだ。


「ウッドは火、ボーンとマッドは殴打が弱点じゃね」

「分かるした」


 ただワワンパァによるとマッド以上のゴーレムは、毒の液体が仕込まれてることが多いらしいよ。壊れた部分から飛び出すので注意が必要だって。マッドは泥だから全身が毒泥ってことかあ。


 安全に進めるなら、僕だけでやるのがいいんだろうけどな。退屈なダンジョン探索だったせいで、みんなやる気十分。たぎっておられる。


≪じゃあさっそくやって行きますか≫


 別パの僕と交代でコロッセオに入場。戦闘開始だ。ゴーレムは総じてHPが高いみたいだね。ガトリングの弾丸にさらされても、ソコソコ耐えてたけど蹂躙って感じだよ。強いて問題を挙げるなら、魔石も破壊しちゃってることかな。ションボリーヌ。


 そしてストーンゴーレム。ここからが本番ってことだ。通常弾だと弾かれてる。


「硬いなるしたー」

≪破損させてみる。毒液が出るか試しておこうよ≫

「了解したであります」

「凍結弾をセットしちょこう」


 ワワンパァはゴーレムの足元を凍らせて、移動疎外を狙うみたい。僕は徹甲弾を射出して様子見する。スライム状の僕から、ミサイルが飛んで行くのはカッコ悪いだろうなあ。


≪FOX3!≫


 狙いは僕も足。鈍重な見た目とは違って、ゴーレムって思ったよりも速いんだよね。やっぱ、サイズが大きいからかな。1歩が大きいというか。ズンズン近寄ってくるよ。


「毒液が出てますな。それがしの攻撃は内部破壊に切り替えましょう」

「私もー」

「ウチぁヒットアンドアウェイじゃ!」

≪僕は分解しちゃえば問題なし。当然味覚はカットしていくのだ。絶対苦いっ≫


 4体のストーンゴーレムが登場。1対1でも余裕があるのでそれぞれ対応する。


 フーちゃんはゴーレムの足元に穴を開け、腰まで埋めた。動けないゴーレムの脳天をエンチャントしたロッドでコツンと叩く。成す術もなく崩れるゴーレム。危なげもなく完勝だね。


 ワワンパァの攻撃は派手だったよ。凍結弾をガトリングガンでばら撒いて、ゴーレムを固めたあと、ジェットパックを吹かして頭上に急接近。すれ違いざまに回転しながら、2本のモーニングスターを叩きつけて破壊してた。


 ルァッコルォは一番最初に倒したよ。スッと近づいて、手のひらでゴーレムの胸をトンってしたら、壊れた。

 発勁じゃんっ! 漫画で見たことあるヤツ! カーッチョイー!


 僕は得に見せ場もなく終了。だってくっ付いて分解するだけですもの。プロの仕事ってヤツさ。何気なくやってみせるのがプロなのさ。わざと激しく戦闘しないと見せ場なんて作れないンダヨ。フーンだ。

 そして僕だけは魔石もキッチリ回収するっ。


≪魔石残して倒すの難しい?≫

「ゴーレムのは諦めるんが普通じゃね。刃物が通り辛いけん」


 なるほどね。こりゃあゴーレム全部もらいたいけど、くれないよなあ。みんなバトル大好き女子だし。


「8番クリアですな」

「ン。どんどん、来いある」

≪どんだけウッキウキなんだよ~≫


 ゴーレムの登場口が9番になった時、腐臭がコロッセオを支配する。


「ウワッ、フレッシュゴーレムじゃ! 趣味悪いっ」

「ムゥ……捕らわれ、精霊、気配ある。開放する!」


 死体の肉で作られた、継ぎはぎだらけのゴーレムが現れた。歩くたびに腐汁が飛び散って気色悪いよ。


「魔石、壊すない、する。お願い」

「分っちょる」

「悪の魔術師は根絶やしにせねばなりませぬ!」


 どうやら精霊を魔石に閉じ込めて、動かしてるゴーレムみたい。随分とヒドイことをするヤツがいるみたいだ。

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次回≪MISSION:74 呪詛≫に、ヘッドオン!

素材 他ルートは未換算

モックドレイク31体

 皮、魔石x31 爪x18x31 牙平均55本x31

オーガ18体 魔石x18 角x36

ゴブリン級の魔石x42

オーク級の魔石x31

ウッドゴーレム 魔石x14

ボーンゴーレム 魔石x14

マッドゴーレム 魔石x14

ストーンゴーレム 魔石x5

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