MISSION:72 理不尽
3人がお風呂に入ってる間に、ゴブリンサイズの魔石を数えておこう。ルァッコルォのジェットパックに魔石補給しておいたほうがいいと思うしさ。
まだ他のルートの僕とは合流してないんだけどね。
僕ら以外は第2ステージに進んだそうだ。コッチもご飯食べ終わったら次のステージに侵入しよう。
≪ゴブリン級の魔石は42個。オーク級のは31個。皮とかは分解処理してるよ。たいした金額にならなかったしさ≫
「ンー」
≪他の場所はエアタンカーいないから、魔石も食べてる可能性あるけど≫
「ポーちゃん増えるし、
「モックドレイクだけでも結構稼げそうであります」
≪残してる魔物はワイバーン、モックドレイク、オーガ、それから動くデッカイ木。トレント?≫
「正解。それ、トレント。オイシイ、ない魔物する」
「ほうじゃね。魔石もオークくらいじゃわ」
「材木も不要ですし」
≪じゃあトレントは処理するってことで連絡しておくよ≫
トレントって微妙なんだ。動く巨木なんだからオイシそうなのにねえ。地面から栄養補給するから、魔石のサイズが小さくて平気ってことなのかなあ。
っていうか……芸人的オイシイの使い方が通じてることに、今気付いたんだけど。
ルァッコルォのふんわり予知能力で、僕が言っちゃってたんだろうな。そしてルァッコルォが「オイシイ匂いがするであります」って言い始めたのか。なんか余計なことをしてしまった気分。
そんな気分をフーちゃんのステーキ音頭が吹き飛ばしてくれた。
水気も吹き飛ばしてた。
「手ぬぐいを持って来ておりませんでしたね」
「失敗じゃったわ」
「普通、ダンジョン、お風呂入るない。ポーちゃん変あるする」
≪女の子がキチャナイの嫌だっ!≫
「そりゃあ分かるんじゃけど……」
僕らのパーティは強いんだから、普通なんてぶっ飛ばしちゃえばいいのだ。っていう理論で押し通した。
「お待たせいたしました~。モックドレイクのステーキです」
「欲張りセットじゃね」
「わぁい! 最高あるするぅ」
分厚いステーキって、見るだけでも幸せな気分になるよね。
「硬いする……」
「美味しくないであります……」
落差!
匂いは美味しそうだけど、硬くてゴムを噛んでるみたいだそうだ。焼く前にちゃんと叩いてたのに、それでも硬いと……。
≪肉ブロックは処分します≫
「お願いします!」
「不要する! 許すないっ!」
「荒ぶっちょるなぁ」
残ったソースと肉汁をパンに付けて、簡単なお昼ご飯になりましたとさ。このままARABURIシステムが起動していると、攻撃率に30%のバフがあっても思考と防御に40%ずつデバフが掛かっちゃうので、虎の子のマンゴーシャーベットを召し上がっていただこう。
1番美味しい種の周りだけを使った贅沢シャーベットだよ。
祓い給へ、鎮め給へ、清め給へ~。
「これ、スキ~」
「美味しいですな!」
効果はバツグンだった。
≪それでは食後の運動のお時間でーす≫
第2ステージへ向かいましょう。第2への入り口は判明してるので、さっさと飛んで行く。山頂を越えて反対側の麓にある湖の中心に、扉だけ設置されてた。大型も通行可能なサイズだ。
支柱に取り付けられてるオーブが淡く光ってて魔法の扉って感じだよ。
ちなみにボスがいない不親切設計。ボスはいるよね? 必要じゃんね!?
なにやってんだよーダンマスッ!
第2ステージは迷宮タイプだった。他ルートの第2はジャングルだったり峡谷だったりするみたいだね。これは合流するのもっと先っぽいな。
<ここはオーガ、オーク、若干強いゴブリンで構成されてたよ。オーガだけは残してる。宝箱は全部未開封>
「宝箱~」
「お宝ですか。ウフフ、マジックアイテムならいいのですが」
「残念じゃったね、ルーちゃん。マジックアイテムは基本的に、王様とかにあげちょるんよぉ」
ガァァァァンって顔してるルァッコルォ。普通はそうなるかあ。
≪僕らはダンジョンをもらうからね≫
「そ、そうでありましたな。普通の冒険者とは規模が違い過ぎて、いまだ慣れませぬよ」
僕らはマップを見ながら効率よく宝箱を回収しに行こう。
エアタンカーにはある程度の大きさで入って来てもらってから、軽SUVになってもらう。迷宮型の場合は飛んで探索するの難しいし。
でもよく分かんないなあ。なんで魔物がランクダウンしてんだろうか。オーガよりモックドレイクのほうが強いだろうにねえ。
ワワンパァに聞いたら、進化狙いなんじゃないかって言われた。
≪なるほど。そういえばチョット強いゴブリンいたらしいしなー≫
「オーガ、強い、願うする~」
「長距離射撃はなさそうじゃし、ガトリングにチェンジするわ」
「それがしもキャノン砲を外してダガー2本追加するであります」
ルァッコルォはジェットパックの使用も迷ってたけど、ワワンパァから迷宮型でも使えるほうがいいと言われ、練習するようだね。
屋外じゃないから不自由な飛行になると思うけど。まあ運動神経いいから、すぐに慣れちゃいそうではある。
「えっとぉ、無理であります!」
無理でした。両手でジェットパックを操作してるので、当然ながら武器を持つことは不可能だったよ。ちょっと考えたら分かることだったのになあ。そういえばモックドレイク戦の時、ジェットパックは使ってなかったな。
製作段階は遠距離攻撃のことしか考えてなかったからね。
≪ゴメン、僕が気付かなきゃダメなヤツだったよ≫
ジェットパックなんて地球の技術だしさ。
「ポーちゃん、戦闘ないする世界、出身する」
「じゃよね。むしろウチらが気付くべきじゃったわ」
「では全員ポンコツであった。ということでー」
≪本拠地に帰ったら改造しよう。スロットルも左手で操作する?≫
操縦桿で動きを制御、親指でボタンポチーしたらキャノン砲発射でしょ。そうなると、今のバイクのスロットルみたいなのじゃあ難しそうだよね。
車のアクセルみたいに足? でもそれじゃあ飛んでない時が邪魔だし誤爆しそう。
ボタンを操縦桿の握りの所に4つ設置して、それぞれに出力を割り当てておくとか? 押したら設定したパワーで推進力を出す、みたいな感じだと操作しやすいかもだし。
ONとOFFはボタンを押すたびに切り替わるようにしたら、押しっぱなしじゃなくても飛行できるよね。1から2番へのパワー切替なんかも、自動で1番をOFFにすればルァッコルォの処理も減るでしょう。
もしくは噛む力でスロットル操作?
「噛むのはなしでありますな。戦況報告もできませんし」
「ほんじゃあ操縦桿にボタン付ける方向で。4つ同時押しならアフターバーナーにしようや!」
「おー、カッコイイなるする!」
≪ナイスゥ、ワワンパァ!≫
右手のスロットルは残す方向で改装することになった。遠距離射撃時は細かい調整できるほうが、ルァッコルォ的には好みらしいので。
「ム、敵を検知しました。右の通路に数6」
おー、敵がやっと出てきた。ルァッコルォの報告を聞き、即座に戦闘態勢を取る。
≪棍棒2、剣3、短槍1。全員皮鎧で槍以外は円い盾を持ってるよ≫
群れで行動しないオーガがパーティを組んでるというのは、ダンジョンならではってことだそうだ。AWACSの報告だとオークやゴブの、リーダー的なポジにオーガがいたんだって。
≪オーガだけ残したら、オーガだけでパーティ結成するんだなあ≫
「変なこと、普通するない」
「ですね。ポーちゃんがオカシイのです」
「ダンジョンマスターの立場で見たら舐めくさっちょるけんねえ」
≪オイシイ魔物だけ残したら、なんか叱られてしまった件≫
じゃあ次からは全部僕がもらっちゃうよって言ったら、ソレはソレで許されなかったんだ~。
理不尽。
理不尽ついでに圧倒的な火力のガトリングガンで、ワワンパァがオーガパーティを殲滅したよ。
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次回≪MISSION:73 フレッシュ≫に、ヘッドオン!
素材 他ルートは未換算
モックドレイク31体
皮、魔石x31 爪x18x31 牙平均55本x31
オーガ6体 魔石x6 角x12
ゴブリン級の魔石x42
オーク級の魔石x31
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