MISSION:74 呪詛

≪僕がやるのがベストだよね≫

「ダイジョブ?」

≪平気だよー≫

「ポーちゃんは心もツヨツヨでありますな!」


 腐った死肉に潜り込まなくちゃいけないんだけど……他のみんなじゃ削り取っていかないと、だし。僕ならピンポイントで魔石を取り出せるからね。


≪僕にまかちょーけー≫

「ほんなら任せる。ゴーレムの動きぃ阻害しちょくわ」

「サポートいたします」

「ポーちゃん、魔石、場所、分かるする?」

≪ダイジョブ。マジック・ディテクションで分かってるよ≫


 幸いといっていいか分かんないけど、ストーンと比べてフレッシュゴーレムは硬くなさそうだから平気だと思う。少し多めのミサイルで突っ込んで、魔石を確保しよう。


≪4TSSMx2発射っ≫


 地対地ミッソーを4本ずつ、それぞれのゴーレムに向けて放つ。みんなからの援護でゴーレムは動けなくなっているので、正確に狙えるよ。

 うん、マッドゴーレムと強さの差もないね。ストーンゴーレムのほうが断然強かった。


≪確保!≫

「ポーちゃん、大丈夫でありますか?」

≪え、なにが?≫

「おー、効く、ないしてるする~」

「フレッシュゴーレムの呪詛は、かなり強力なはずなんじゃけど……」

≪呪いとか初耳ぃ!≫

「いや、海底遺跡でアンチカースの説明したじゃろうに」


 エェ、そうだったっけ……? 覚えてないヨ? ふ、浮遊石のことしか覚えてないカナ?

 まあ、特になにごともなく終わったので、いいってことにしよう。続いて出現した4体のほうも、サクッと処理して魔石をゲットした。


「呪詛、侵す、してるする」

「フーちゃんでしたら、なんとかできるのでは?」


 悲しそうに首を横に振るフーちゃん。解呪はできないみたい。呪い自体が珍しいうえに、かなり強く呪われてるらしい。どうしたらいいのか分からないってさ。

 大人のエルフなら知ってるかもだって。じゃあナターリャさんに聞いてみよう。冒険者ギルドのマスターだし。向こうの僕に即連絡。


「次、来るで!」

「相談、あとする!」


 そして現れたのは、滑らかな光沢を放つ銀色のゴーレム! 造形もしっかりしてて、まるで巨人の戦士みたいだ。


≪シルバーゴーレム? お高いっ!?≫

「やりましたな! やりましたな!」

「アイアンゴーレムじゃ。弱点はなし!」

≪なんだあ、銀かと思ったのに違うんだ……≫


 ションボリする僕とルァッコルォ。4mくらいあるから銀がたっぷり手に入るって思っちゃった。


「あ、魔法、武器持つしてる」

「ありゃあ持って帰ろうや」

「儲かるする、ヤツするー」


 両手持ちのゴツイ剣。人間サイズじゃないから、そのままじゃ使えないだろうけどね。


≪僕にやらせてよ。強そうだから魔石壊したくない≫

「魔石壊すない、戦いする!」

「じゃね」「ですです」

≪え~、絶対だよ?≫


 軽SUV部隊を待機させて、魔石を確保してもらおう。念のために待機させてたんだけど正解だったかもだよ。


 アイアンゴーレムは見るからに硬そうなので、SUVからもミサイルを大盤振る舞い。ワワンパァもガトリングガンで乱射してるから、厚めの弾幕が張られてる。


「火遁、ほむらのししむら」


 そんな中、接近戦を仕掛けるフーちゃんとルァッコルォは、いつの間にか剣を装備してた。内部破壊だと魔石を壊しちゃうからかな。ふたりはアイアンゴーレムの腕や足を、もいじゃうつもりのようだね。


≪大型徹甲弾斉射!≫


 僕はAWACSエーワックス、軽SUV、全部合わせてミサイルブッパ。素材になりそうだけど、鉄は重いだろうし気にせず分解力MAXで攻撃する。

 魔石がある胸の辺りにくっ付いて、ゴーレムを分解していくよ。硬いからミサイルが刺さらなかったんだ。


 フーちゃんとルァッコルォも、1撃では切り落とすことができないみたいで、何度か斬撃を繰り返してる。

 フーちゃんなんて、ドラゴンの首もスパッと切ってたのにな。アイアンゴーレムには魔法的な強度もあるし、芯まで鋼鉄っていうのが原因なんだろうか。


 僕の分解も肉とは比べ物にならないくらい遅いね。僕をはがそうとしてるけど、フーちゃんとルァッコルォが邪魔をしてくれてる。

 もう1体のほうが攻撃を仕掛けようとするものの、当然ワワンパァがそれを許すはずもない。凍結弾で足と地面を凍らせて、移動阻害の攻撃をしているよ。


≪僕のほうは大丈夫だからワワンパァのほうに!≫

「まかちょけぇ!」「了解であります」


 僕、つかまれても困らないしね。


「アイアンゴーレム、ぶち高い思うちょったけどこれが原因なんかぁ? +2の武器じゃ全然効かんわ!」


 イラってしたんだろうね……。


「イラフティーバじゃあ!」

「うひゃあっ!?」


 必殺の太陽光線であるイラフティーバをブッパするワワンパァ。イラッてしたら放つからイラフティーバなのかもしれない。

 魔石は無事のようだ。セフセフ。


 ルァッコルォは初めて見たからビビり散らかしたっぽい。キャップから出てる耳が「ぺしょぉ」ってなってる。音は出ない攻撃なのにね。


「ああっ、パァちゃんズルイする!」

「あ、いや、ダ、ダイジョブじゃろ? まだ動いちょるし……」


 バシューって排熱しながら言い訳するワワンパァ。確かにまだ動いてるな。顔とか関係ないじゃんかもう。

 だって肩から上がなくなってんだよ?


≪どこのなにで敵を認識してるんだろう≫


 とりあえず僕が群がって魔石をもぎ取った。


≪というか、次の4体の時に出せばいいのに≫

「ちょっと失敗しただけじゃもん。まだ2発出せるんじゃもん」

「それはダンジョンマスター戦に残しておきましょう」

「ウッ」

「ボス戦、寂しいなるした、よ?」

「アッ、う、うん」


 そういえばあったなー、そういう事。巨大クワガタ戦の時、フーちゃんは魔力不足だったねえ。

 なのでアイアンゴーレム4体戦は、省エネ作戦に変更。


 まずフーちゃんが落とし穴にゴーレムを、肩くらいまで落として固定。その後、ワワンパァが凍結弾で周囲をさらに凍結させることで、抜け出せなくすることにしたよ。


 あとは僕が魔石を取ってしまえば任務完了だ。


 もう夕方になってきたので、アイアンゴーレム戦が終わったらご飯かな。第4ステージへの侵入は明日にしたほうがいいね。

 なーんて終わったあとのことを考えながら処理してたんだけど──


「ゴーレム、出るする」

「凄いパワーじゃ!」

「足は切り離すでありますっ。火遁、まとい──白炎びゃくえん!」


 ──考えが甘かったみたい。ルァッコルォの奥義も発動だね。一言で表すならスーパー獣人だっ! 淡く発光する陽炎が彼女を覆って、明らかに戦闘力アップな雰囲気。


「ルーちゃん、カッコイイなるしたっ!」

「ウチもそれになりたい!!」

≪瞳の色も黒からオレンジになってるじゃん! 芯からファイヤー!? パワァァーッ!!≫

「そ、そんなのいいので、ポーちゃんは早く魔石を取ってくだされ!」


 お任せあれ。マルチタスクの達人とは僕のことぉっ! キッチリと魔石もスーパールァッコルォも処理するであります!

 あらゆる角度からルァッコルォを見て、すかさず本拠地にいるワワンパァ本体と僕に情報を渡しちゃうよ。


 ワワンパァはオーラ用の半透明素材を、どうしたらいいのか迷ってるみたいで、ブツクサ言いながらアイアンゴーレムの足を斧で叩いて、転倒させまくってる。


≪心ここにあらずは危ないよ、ワワンパァ≫

「ハッ……フィギュアのことはあとじゃね」

「フフフ、それがしがカッコイイ所を見せるので、パァちゃんはごゆっくり!」

「ン。パァちゃん、割り当て、もらうする~」


 アイアンゴーレムが強敵とはいえ、厄介なのが硬いってくらいだ。動きも常識の範囲で速い程度。チョビっとだけ時間を掛ければ、僕らにとっては特に問題はなしだったよ。

 でも冒険者のクラス的には、ダブルスターは必須なんじゃないかなーって思う。+3以上の武器が必要らしいしね。


 討伐完了デース。コロッセオの仕掛けが起動して、壁に大きなドアが現れた。これが第4ステージへの入り口だと思う。


 それよりもさ、ワイバーンとかモックドレイクよりも大きい魔石だったよ。ストーンゴーレムのは劣化竜たちと同じくらいだったから、モックドレイク狩ったほうが他の素材も取れるし儲かりそう。だけどアイアンゴーレムだったら、魔石目当てで狩りまくってもいいね。


 全部が全部魔法の武器を持ってるかは分かんないけどさ。

 どこにいるのかも分かんないけど。

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次回≪MISSION:75 精霊の泉≫に、ヘッドオン!

素材 他ルートは未換算

モックドレイク31体

 皮、魔石x31 爪x18x31 牙平均55本x31

オーガ18体 魔石x18 角x36

ゴブリン級の魔石x42

オーク級の魔石x31

ウッドゴーレム 魔石x14

ボーンゴーレム 魔石x14

マッドゴーレム 魔石x14

ストーンゴーレム 魔石x5

フレッシュゴーレム 魔石x6(呪われた精霊入り)

アイアンゴーレム 魔石x6


※4TSSM:4ターゲット・サーフェス・トゥ・サーフェス・ミサイル。4タゲ地対地

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