第17話 今時ご近所付き合いとかそういうのねよなぁ、そもそも町内会すら設置してない地域も多々あるって言う現状ですよねー

 つかまっていた人たちのその他諸々処理はやってくれるらしいので、一旦住所と電話番号を聞きつけ別れた。

 俺はその時にそれとなく聞いてみたんだけど、なんでノラさんにスマホ持たせてないのって言ったら。

 自分も使い方がわからないそう。

 というか、家族全員使えないから持たせても意味がないだろって言う意味合いで買ってないらしい。


 とりあえず買っといてくださいと言っておいた。

 通訳変わりに俺を呼ばれるのはほんとに迷惑だから。


 帰ってベッドで横になるとコンビニ行ってきただけなのにどうしたのって言う位疲れた顔をしていると親から言われ、異世界に行っていたときと同じひどい顔をしていたことに気づく。


 親に心配されるはずだ。

 人を殺したような顔してるんだから。

 もしくは、人が死んだのを見たときか。


 どちらにせよ、一般人の捨てるような顔じゃない。

 異世界から帰ってきたばかりの時はこんな顔しなかったのに悪いことをした。

 親に心配かけさせるような子供、じゃぁまだまだ大人とは言えないなぁ。

 ノラさんのことほんとに言えないよ。

 勇者のおっさんまじで大人だけど、意思の強さ、きちんとノラさんに引き継がれている。


「ちょっとあんた聞いたよ。

 女の子泣かせたんだって。

 しかも、絶世の美女を!」


 おかんから苦情が来た。

 昨今、ご近所付き合いが少ない中、おかんの地域ネットワークは昭和のご近所、付き合い並みのネットワークを構築している。

 地域限定の完璧なホームページが作れるにはやばい人だ。

 要は上を取ったりする新聞部クラスかな。

 小学校の行事から、近隣の大学もの行事まで全てを網羅する。


 地域社会のドンとは、まさにこのこと。

 俺の住んでいる地域のチリ一つ残さず把握するおかんにバレることを完全に忘れていた。

 俺の采配ミスだ。

 これでは、俺は生活が完全に異世界に染まってしまうのではと思いつつ。

 匂いにつられて言ったのだから、変わりないかと悩む一方だった。


「わかったよ。とりあえず謝るから今は勘弁してくれ。」


「あんた昨日イヤホンが壊れたからって人に当たるんじゃないよ。」


「あ、そういえばイヤホン壊れてたんだっけ。」


 異世界に入る前にちょうどイヤホンが壊れて寝る前の習慣だった。音楽鑑賞ができなくなっていることに気づく。

 転校生の件もあったから、頭からすっかり抜け落ちていた。


「イヤホンのことを忘れて、そこまで怒るなんて珍しいわね。

 明日はきちんと謝るのよ!」


「あいよー。」


 何とかごまかせたようで何よりだ。

 その後、それとなくスマホでイヤホンがないか調べている。

 調べても財布と見合ったものかどれもしっくりこない。


「やっぱりいいどこのメーカーの高いよなぁ。」


 日本製でも海外製でも特にこだわりは無いけれども、どうせ聞くならいい音質がいいと福沢諭吉を5枚叩いている。


 ヘッドホンの方が1万円台ものでも音質は良いのでそっちに帰るか悩む。


「まぁしゃーなし、帰りに家電量販店で買ってくか。」


 行ってから決めるっていうのもアリだろ。

 邪魔されないことを前提になるが。


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