第12話 うさぎって可愛いけど、昔から食べられてたらしいね
結局、答えが見つからずじまい。
その程度で終わってしまうものだった。
私には何もすることができなかった。
ただ虚しさだけが私を突き抜けた。ただこの子を守らなければと言う使命感だけがあった。
私の住むところでは狩猟が当たり前だった。
しかし彼の住む所では地位すら見たことない人間なのだろう。
幾千もの肉を切り、骨を断ち屍の上を歩く。
果たしてここまでのことが私の生きた生活の中であっただろうか。
おそらくはないだろう。せいぜいウサギを20匹ほど抑えた時位か。
ウサギは良い。
警戒心は強いがいくらでも数が居るし、娘にも悪影響が無い。
でもそれだけ他には何もないより良い生活をさせるには金がいる。その金を工面する方法も俺にはわからない。
わからないものを探すこと以上に難しいものはない。私は無知だ。
無知だから、娘も救うことができない。助けることもできない。最善の選択を行うことができない。最善がわからなくとも改善することすらできない。目の前にある現実をただ受け入れることしかできないなんて悲しいことなんだ。
だからこそ、目の前の少年は無知を知り己の中から改革を促そうとしている彼は私以上の大人だ。もしくは私以上の子どもである。
無知であることを喜び、葛藤し考え、己の値を定めようとしている。
今まで終了することが当たり前だと思い、それを信じ続けた私とは全くもって対になる存在だ。
これから学ぶことはとても多い。だからこそ、彼に聞こうとして、信頼できる大人として守るべき今の子どもである彼を守りきろう。
それが今できる彼への信頼を得る獲得方法だと信じて。
最強の力はどこにでもある?私は弓矢が1番得意だった。だが、それよりも剣を取り掲なければいけない。
そう。この聖剣の名は、わが国で有名なバルムンクに近いのだろうかドラゴンのように強く、そして使いやすい。
手に馴染むのではなく、体に馴染む、その言葉がぴったり合う剣だ。
神話のドラゴンの鎧を着ているようで菩提樹の端のような弱点は一緒に来た彼のようだった。
彼は私が帰るたびに様々な料理を振る舞ってくれた。
娘が食べられる料理はこんなにもたくさんあることを知った。
鮭をただ焼いただけじゃなくて、土に入れて蒸し焼きにする方法。
食感を変えて調理する方法。
彼には歳がそこまで話せ見ていなければ、娘と結婚して欲しかった。
赤子にも近い娘にそんなこと言わせる気はないけれども。
彼と話せば自然と恋に落ちてくれる。
そんな気がする。
言語が無くとも相手の気持ちを掴むことに長けた彼なら。
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