第6話 極限状態から戻った日常ってさぁ、なんでもありがたみを感じちゃうから離れるのが正解だと思う

「sorry.」


「.......」


 やる気はありません。

 日常生活に戻ったばかりの今、異世界との生活の齟齬を理解する必要がある。

 今の状態では通訳は行えるけど、余計な感情を持ちやすい。

 なんなら彼女は女性だし変な気を持つかもしれない。

 自分がどの行動を起こすか定まっていない以上、同世代、俺から見れば後輩のような子を預かることなんてしたくない。


 人を支えるというのは、それだけ根気のいることだ。

 途中で投げ出してはいけない。


 異世界では自分独りで生きていく基盤を作るだけで精一杯だった男に余裕がある筈が無い。

 日本に来てまだ一日も経っていない。

 まだ自分の感情の制御が不安定になっている。

 クラスの勉強をやっているだけで涙が出そうになったほどだ。


 他にも蛇口を捻れば安全な水が出る。

 空気を入れたければ換気扇を回せばいい。

 着るモノがダメになれば買えばいい。


 当たり前と呼べることだが異世界では全くもって異なる。


 水が飲みたければ、安全になるように煮沸する。

 異世界の水は全て生水。

 井戸水ですら線虫やスライム状のモンスターが潜んでいる可能性なんて充分にあった。

 それらに対する耐性、抗体、免疫のない状態で口にするのは恐怖でしかない。

 もし、それらが体内に入ったら、最悪の事態として身体の内側から食われ死ぬ。

 

 空気を入れたければ、モンスターが開けられないように重く固く閉ざされた窓を滑車を用いて開けなければならない。

 窓を開けなければ薪で火を焚いているため窒息する可能性がある。

 煙突すらモンスターの侵入を防ぐために幾栄も金網が張り巡らされた通気性の悪い煙突だ。

 窓を開けなければ窒息死する。


 着るモノは化学繊維などという虫に食われたりしない類ではない。

 着ればそれだけダメになり、耐久性は皆無。

 靴もすぐにダメになる。

 服屋や靴屋は戦闘に関わるモノが優先され、一般市民が自分のあるもので合わせるのが基本。

 修理も自分でやるのだが、これが慣れていないと自分の手が血だらけになり、医者にかかる始末。


 そのストレスから解放された感覚のせいで、今は全能感に包まれているのだ。

 全能感というのが良くない。


 自分が偉いと勘違いしそうになるから怖い。

 大して偉くもないのにイキッている系男子のような人には成りたくない。

 もっとわかりやすく言うと迷惑系動画投稿者のような人間に成る可能性があるということ。

 ニュアンス都合上異なるが迷惑をかける点は変わりないと思うので、現実と異世界との齟齬を確実なものにしておかないと俺の将来がマジで終わる5秒前になりかねない。


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メイン小説

換金スキルとショップスキルでバグ技現代無双〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~


酔っぱらってダンジョン行ってたらお姉さん持ち帰りしてて朝チュンしてた件~スキル乳化の美肌ボディエステは女性冒険者を虜にする~


こちら二つもよろしければ拝読ください。


スライム道

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