第2話 ある火災

 ミナカワは、シャワーを浴びた後、切り倒された丸太のように、無気力に自分のベッドに倒れこんだ。

 今日は、大学の講義とバイトを両方こなし、疲れていた。

 とにかく眠い、しかしそれと同時に腹も減っている。何か食べるか。

 小さくうなり声をあげながら、全身に力を入れ、上体を起こした。ベッドの上で座りながら、カサイのことを考えた。

 カサイとミナカワは、同じサークルに所属している。今日の講義は、カサイも共に受けているのだが、今日彼は欠席していた。

 講義が終わった後、駐輪場に向かう途中で、同じサークルの知り合いと会った。彼は開口一番、カサイのこと聞いたかと言ってきた。

 彼が言うには、カサイは昨日交通事故にあったらしい。ただ、事故にあった場所が病院の前だったので、すぐに担ぎ込まれたという。大学の近くにあるので、ミナカワはその病院を知っていた。

 時間に追われていたミナカワは、そこで話を切り上げて彼と別れ、原付に乗ってバイト先へと走ったのだった。

 カサイに連絡して、返信が来たら見舞いにでも行こうか、と考えながら立ち上がった。そして冷凍庫から出した冷凍食品を電子レンジに入れ、スイッチを押す。

 冷凍食品が回り始める。携帯を見ると、同じ大学の友人から連絡が来ている。

 火事が起きているらしい。しかも、場所は病院…。

 唖然とした。

 カサイが担ぎ込まれたという病院だ。

 ミナカワは、電子レンジの横で立ち尽くした。

 明日はこの話題で大学内が盛り上がるだろうというくだらない考えが、頭の中をくるくるまわっていた。

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