きれいなものは

鈴音

少女のたからもの

晴れた空、青い草原、私は今、裸足で緑の海を駆け回っている。


何かあったわけじゃあない。けど、ただ走って、笑って、空を見上げる。私はそれがとっても楽しかった。


はたはたと足を撫でるスカートの感触も、ときおり目や口にいたずらする髪も愛おしくて、ただほおに吹き抜けた風がとってもとっても大切な宝物に思えた。


ふと立ち止まって、柔らかい草の匂いと、きらきら光る太陽の光を浴びて、ぐっと伸びをして、私は来た道を振り返った。もちろん、そこには何も無い。これから行先にも、何も無い。


だけど、嬉しかった。私はまだまだ走れる。静かだけど、ぐっと抱きしめてくれる自然と生きれる。


私は、にっこり笑って、また駆け出した

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きれいなものは 鈴音 @mesolem

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