第97話 ひな祭り







「ナギナギナギ!」


「ウィラ、朝からうるさい」


「そらうちはな、ナギの作るおいしいご飯を毎日のように食べるやろ? グルメになるやろ? そらな、味にもうるさくなるで?」


「ああ、そいつはどうも……って、そうじゃねーよ!」


「「HAHAHA!」」


「ナギ、今日はなんの日かわかる?」


「もちろんわかるさ?…今日誕生日の人はおめでとうって事だろ?」


「せやで、今から誕生日祝いに行くで!…って、誰の誕生日やねん!? それとちゃうわ!」


「「HAHAHA!」」


「わかったわかった、今度はちゃんと当ててやろうじゃねえか」


「ボケ倒したらあかんで?」


「お前が言うな……今日はひな祭りだろ?」


「せやで、うちらの祭りやで」


「和洋折衷過ぎるな、全く」


「そらお祭り大好きな国やからな、なんでもありやで?」


「確かにそうだ。けどさ、あたしらがおひな様ね…」


「ちょっと育ちすぎかもしれへんな? うち、女子にしては身長高いし、ナギはあれや、牛久大仏やし」


「お互い雛人形が似合わねえな、ウルトラ怪獣の方がお似合いだぜ?」


「せやな、うちらにはお似合い……って、誰が怪獣やねん?」


「そりゃそうだろ? 我が儘でうるさいし、生徒会長の権力を盾に暴れまわるし……ああ、やっぱり怪獣だったな」


「あんたが言うな! この、宇宙怪獣!」


「参ったね、こりゃ光の巨人を連れてこないとな」


「ほんなら伊那先生に変身してもろたらええやろ?」


「あ、それは勘弁してくれ」


「「HAHAHA!」」


「やっぱ先生にはかないまへんな。そらそうとナギ、あんたはチビッ子の時な、怪獣の人形で遊んでおったんか?」


「ああ、一応女の子らしく、バービーやシルバニアなファミリーと一緒にして遊んだぜ?」


「意外と女の子らしかったわ。そらそうとバービーやったら等身合いそうやし、怪獣と戦えるかもしれへんな……いや、なんで戦うねん! はよ光の巨人を呼ばんか!」


「「HAHAHA!」」


「もちろん光の巨人達もいるぜ? ま、最終的にはみんな仲良く楽しくって訳さ」


「平和でええな、ファンタジックな異世界ものみたいや」


「種族関係なく、平和な日常を送るなんて言うのも楽しそうだ。そのうちそう言った作品が溢れかえるかもな」


「そらおもろそうやな」


「ま、未来のことはさておき、ひな祭りの話に戻るけどさ…こっちとそっちでさ、食べるものって違うのか?」


「ああ~、あれや、ちらし寿司やろ、それとひなあられと桜餅はこっちとちゃうな。ちらし寿司はあんま海鮮のせへんし、ひなあられは醤油味やし、桜餅は道明寺粉やからな」


「こっちと大分違うようだ。今日はそうだな、ちらし寿司でも作るか」


「ええね、東西の食べ比べしたらおもろいんとちゃうか?」


「それは面白そうだ。とりあえず今日の夕食は決まり……蛤のお吸い物もいるな」


「せやな、将来ええ男と……」


「蛤だけにそう言った願いもあるよな。しかし、我が儘でうるさくて、じゃじゃ馬なでっかいおひな様の将来の伴侶ね……まずは彼氏の一人でも作ってから言えよ?」


「うっさいわ!」


「「HAHAHA!」」───。







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