第97話 ひな祭り
◇
「ナギナギナギ!」
「ウィラ、朝からうるさい」
「そらうちはな、ナギの作るおいしいご飯を毎日のように食べるやろ? グルメになるやろ? そらな、味にもうるさくなるで?」
「ああ、そいつはどうも……って、そうじゃねーよ!」
「「HAHAHA!」」
「ナギ、今日はなんの日かわかる?」
「もちろんわかるさ?…今日誕生日の人はおめでとうって事だろ?」
「せやで、今から誕生日祝いに行くで!…って、誰の誕生日やねん!? それとちゃうわ!」
「「HAHAHA!」」
「わかったわかった、今度はちゃんと当ててやろうじゃねえか」
「ボケ倒したらあかんで?」
「お前が言うな……今日はひな祭りだろ?」
「せやで、うちらの祭りやで」
「和洋折衷過ぎるな、全く」
「そらお祭り大好きな国やからな、なんでもありやで?」
「確かにそうだ。けどさ、あたしらがおひな様ね…」
「ちょっと育ちすぎかもしれへんな? うち、女子にしては身長高いし、ナギはあれや、牛久大仏やし」
「お互い雛人形が似合わねえな、ウルトラ怪獣の方がお似合いだぜ?」
「せやな、うちらにはお似合い……って、誰が怪獣やねん?」
「そりゃそうだろ? 我が儘でうるさいし、生徒会長の権力を盾に暴れまわるし……ああ、やっぱり怪獣だったな」
「あんたが言うな! この、宇宙怪獣!」
「参ったね、こりゃ光の巨人を連れてこないとな」
「ほんなら伊那先生に変身してもろたらええやろ?」
「あ、それは勘弁してくれ」
「「HAHAHA!」」
「やっぱ先生にはかないまへんな。そらそうとナギ、あんたはチビッ子の時な、怪獣の人形で遊んでおったんか?」
「ああ、一応女の子らしく、バービーやシルバニアなファミリーと一緒にして遊んだぜ?」
「意外と女の子らしかったわ。そらそうとバービーやったら等身合いそうやし、怪獣と戦えるかもしれへんな……いや、なんで戦うねん! はよ光の巨人を呼ばんか!」
「「HAHAHA!」」
「もちろん光の巨人達もいるぜ? ま、最終的にはみんな仲良く楽しくって訳さ」
「平和でええな、ファンタジックな異世界ものみたいや」
「種族関係なく、平和な日常を送るなんて言うのも楽しそうだ。そのうちそう言った作品が溢れかえるかもな」
「そらおもろそうやな」
「ま、未来のことはさておき、ひな祭りの話に戻るけどさ…こっちとそっちでさ、食べるものって違うのか?」
「ああ~、あれや、ちらし寿司やろ、それとひなあられと桜餅はこっちとちゃうな。ちらし寿司はあんま海鮮のせへんし、ひなあられは醤油味やし、桜餅は道明寺粉やからな」
「こっちと大分違うようだ。今日はそうだな、ちらし寿司でも作るか」
「ええね、東西の食べ比べしたらおもろいんとちゃうか?」
「それは面白そうだ。とりあえず今日の夕食は決まり……蛤のお吸い物もいるな」
「せやな、将来ええ男と……」
「蛤だけにそう言った願いもあるよな。しかし、我が儘でうるさくて、じゃじゃ馬なでっかいおひな様の将来の伴侶ね……まずは彼氏の一人でも作ってから言えよ?」
「うっさいわ!」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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