第96話 JK二人は成長期
◇
「……ウィラ、どうやらあたしらは太った訳じゃねえようだ」
「せやな、お湯入れて3分経ったんやろな」
「おいおい、カップラーメンか?」
「カップのケツネやったら5分必要とちゃうか?」
「そうだな、伸び伸びと学園ライフを満喫してたら、身長まで伸び伸びってか?」
「せやな、うちらはちゃんとコシあるからなんも心配あらへんで」
「ああ、そうだな。それでお前はどうだった?」
「うちか? 172cmになっとったわ。あれか、最近姿勢がようなったって家族に言われたんやけど、それもあるんやないか?」
「なるほどね、確かに前より姿勢がよくなっている気がする。なんだ、いつも胸張っているからか?」
「せやな、うち結構身長のこと、気にしとったんやけど……ま、そんなん気にしてもしゃーないし、ほんなら胸張って堂々とした方がええやろ?」
「ああ、確かにその通りだ。それで、どうしてそんな心境に至ったんだ?」
「そんなん気にしたところでしょーもないやろ? ほんなら牛久大仏と並んでみぃ? そげなしょーもない悩みなんかな、そらどうでもよくなるわ」
「なるほどな、あたしと並べばそんな小さな悩みは関係ねえって訳だ。あたしは191cmだったよ、もう考えるのは辞めた」
「デカっ!?」
「「HAHAHA!」」
「全く、将来スーパーモデルで稼ごうか迷うぜ?」
「そらええな。ナギやったらいけるんとちゃうか? めっちゃ美人やし、チョモランマやし、脚めっちゃ長いし……ちょびっとやけどな、羨ましいわ。うちにほんの少しでええんや、お福分けしてもバチあたらんやろ?」
「ああ、身長だったら分けてやりたいぜ?」
「あ、そら遠慮しとくわ」
「なんでだよ!?」
「「HAHAHA!」」
「そらうちはうちやし、よそはよそや。それにあれや、ナギみたいにやたらと頭ぶつけるのも嫌やからな」
「ああ、そうだな……ま、成長しちまった以上はさ、ギフトだと思ってありがたくいただいておくよ」
「ええ心掛けや。あ、そういやナギと一緒に写っとる写真あるやろ?」
「ああ、いっぱいあるな。家族や地元の友達にでも見せたのか?」
「せやで、みんなめっちゃ驚いとったわ。そら海外のスーパーモデルのオフショットみたいやって言うてたぐらいやし」
「それは光栄だ。だけどよ、お前絶対に牛久大仏とか、宇宙怪獣とか吹き込んだんじゃねえのか?」
「……あ、バレてもうたわ」
「今すぐ防衛隊と光の巨人を呼びな?」
「「HAHAHA!」」
「そんなんおらへんけどな、うちらからしたらナギ、あんたはスーパーヒーローやで?」
「海の向こうではスーパーヒーローヒロインって言うんだぜ?」
「ほぇ~、また一つ勉強になったわ。ほんであんたのおかげっちゅうか、うちの姿勢もようなったし、同いなことで悩んどった妹ちゃんもな、うちみたいに堂々と胸張って明るくなったんや。せやからな、ナギと仲良くなれてほんまに感謝しとるんやで?」
「そいつはどうも、あたしを見ればそんな悩みがぶっ飛ぶって訳か」
「せやせや、おちょくり過ぎたら月まで飛ばされてまうんやけどな?」
「ああ、宇宙の旅へのカウントダウンでもするか?」
「あ、そら遠慮しときますわ」
「「HAHAHA!」」───。
◇
───香坂 渚沙(コウサカ ナギサ)16歳。
身長187cm → 191cm
───ウィラ・フォン=ノイマン 16歳。
身長168cm → 172cm
傍若無人なリトル・ビッチの二人は、態度のデカさと共に成長を遂げたのであった───。
◇
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