第88話 Happy new year





「ようウィラ…Happy new year!」


『…ナギぃ! Frohes neues jahr!』


「おい、日本語!」


『あんたもやろ!』


『「HAHAHA!」』


「ウィラ、お前と出会えていい一年になったぜ? 今年もよろしくな」


『ナギ、そらうちもや。あんたに出会えて楽しい一年やったからな、今年もよろしくたのんます』


「それで、早速だがもう年賀状が届いているぜ?…えっと、お前が書いたのは…」


『ナギ、あんたせっかち過ぎるんとちゃうか? うち、実家に着いてから書いたんやし、届いても三が日やで?』


「あ、そっか、お前の事だからもう済ませたと思ったぜ?」


『それもええんやけど、せっかくやしな、うちの実家の方から送るのもええかな?…と思ったんや。そらいつもと違う消印もええやろ?』


「確かにそうだ。もっとも、いつもだったら向かいだからさ、消印するまでも、手紙でやり取りするまでもないからな」


『せやせや、そら配達の人にわざわざ手間かけさせるのもあれやしな』


「ま、今度から年賀状ならお前の実家に送るようにするよ」


『ふっふっふっ、そらうちも嬉しいのもそうなんやけど、家族が喜ぶからたのんますわ』


「ウィラは新しい土地で頑張っているし、いっぱい友達が出来たってなればさ、そりゃ家族が喜ぶだろうな?」


『そらそうよ、うちの妹ちゃんが心配し過ぎてな、なんかおかんみたいになっとったけどな、ちゃんとナギっちゅうおかんがおるから安心しぃと言っといたで?』


「ああ、部屋の片付けが出来ないし、敵を作りまくるし、うるさくて我が儘で性格が悪いからな?」


『せやせや…って、なんでやねん!?』


『「HAHAHA!」』


「いや、何一つ間違ってねえだろ?」


『そらそうやけど、我が儘で性格が悪いのは余計やで? この、牛久大仏! チョモランマ!』


「おい、ペテン師が何を言ってるんだか?」


『ペは余計やで? そらうちかわええんやからな。ナギ、ほんでな、年賀状書いとる時なんやけど、うちの家族、みんな腹抱えて笑っとったで?』


「ああ、確かにそりゃそうだろうな…既に届いている年賀状もさ、妙に震えたような筆跡だし、なんなら書き直しだらけのものもあるな?」


『そらな、【メゾン サルゴ・リラチンパージー】やろ? いや、サルゴリラチンパージーってなんやねん!? ボギー大佐か!? そんなん笑うに決まっとるやろ!』


『「HAHAHA!」』


「そりゃ通りがかりの小中学生の笑い声が絶えないからな?」


『そらうちも所見で撃沈してもうたからな?』


「ああ、そりゃあたしも最初は目を疑ったよ…」


『せやな、あんたにはぴったりやろ? サルゴリラチンパージー』


「お前が言うなよな? サルゴリラチンパージー」


『「HAHAHA!」』


『変な名前やけど、中々住み心地がええからな。それにナギおるし』


「そういうお前は、【緑一荘】だろ? あたしは絶対対面に振り込まねえからな?」


『麻雀か!!』


「ツモ! 緑一色、四暗刻単騎、トリプル役満!」


『うち飛びやん!』


『「HAHAHA!」』


「ま、飛び級してもおかしくないような奴とさ、あたしは友達になったもんだからな」


『ふっふっふっ、うちもナギに出会えたから学園生活を楽しめてるんや。ほんまに感謝しとるで』


「ありがとう、それじゃ…今年もよろしく」


『こちらこそよろしくな。ほんじゃあれや、また【メゾン サルゴ・リラチンパージー】でな』


「ぶっ! 不意打ちぃ!」


『「HAHAHA!」』───。








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