第86話 心を込めたプレゼントを







「ナギ! うちもようやっと16になったで!」


「Happy bーday willa. Thanks for being my friend(おたおめウィラ。友達でいてくれてありがとう)」


「Ich danke dir!(ありがとうございます!)」


「ダンケシェーン以外もあるのか、一つ勉強になったぜ?」


「そらそうよ。誕生日の英語スラング、bーdayって言うんやな? うち、知らんかったで?」


「ああ、それよりもウィラ、プレゼントだ」


「Danke! ナギ、こんなでっかい箱用意してくれるのはええんやけど、ちょっと大げさ過ぎるんとちゃいますか? いや、嬉しいんやけどな?」


「この箱用意するの大変だったんだぜ?」


「そらな、潜入ミッションも出来そうな大きさやで?」


「ああ、入ってみたけど意外と落ち着くぜ?」


「いや、入ったんかい!」


「「HAHAHA!」」


「あたしでも入れるか気になるだろ?」


「そらわかるで? せやけど牛久大仏でお胸がチョモランマなあんたもあれやな、まだまだお子ちゃま心には抗えんのやな?」


「ああ、元服するような時代じゃねえし、まだまだ teen age なんだから子供扱いだろ?」


「せやな、うちら制服着んかったらJK扱いされへんけどな?」


「きっと制服趣味の需要を満たせ、って神からのお告げだな?」


「無神論者の危険人物がなに言うとるんや?」


「人を大仏呼ばわりしているお前が何言ってんたよ? この、ペテン師」


「そらうちはこんなかわええんやから神の遣いやろ?」


「そうだな、ところで明日はイブだけど彼氏は?」


「…おらんで? そんなん都合のええ神様と男なんておるわけあらへんで?」


「今からでも祈っておけば?」


「ほんなら目の前の牛久大仏に祈っとくで?」


「「HAHAHA!」」


「ま、お前が祈ったところで面白い絵面ってだけだな」


「一生のお願いを何回使えるんやろな?」


「一生で何回目のお願いになるのやら? いっそ輪廻転生に期待すればいいんじゃない?」


「せやな、輪廻転生してもナギがおらんとうちな、寂しくて泣いてまうから探したるで?」


「…お前ならやりかねないな」


「「HAHAHA!」」


「それよかな、プレゼント開けるで?」


「おう、開封の儀の始まりだ」


「ほんなら遠慮なく………って、なんやこれ?! ナギ、あんたなにやっとるんや! 真っ白な人の上半身が入っとるで!?…って、なんや、マネキンやったか。ナギ、うちを驚かせてどないするつもりや? ほんまにびっくらこいたわ…で、誰をやったんや?」


「ウィラ、落ち着け。それはトルソーだ」


「いや、これ暗いとこやったらうち、悲鳴あげてまうわ!」


「ああ、サプライズ成功かな?」


「そらナギ、うちがかわええ悲鳴あげたらな、なんちゅうかホラー映画やで?」


「ちょっと赤く塗っておけばよかったな…」


「そこまでせんでええわ!」


「「HAHAHA!」」


「ま、折角お前の服を仕立てたんだ。トルソーに着せた方が雰囲気が出るだろ?」


「せやな、ナギ…ありがとうな」


「ああ、気に入ってくれればいいんだけど」


「当たり前やろ? ナギが仕立てた服なんやから当然着るに決まっとるがな?」


「早速着てみる?」


「お、かわええうちが着たら眩しすぎるんとちゃいますか?」


「ああ、きっとよく似合うはずだからさ、早く着てくれると嬉しいぜ?」


「まあまあ、そう急かさんでもちゃんと着るから…ところでナギぃ?」


「おう、どうした?」


「…うちのサイズ、いつ測ったんや?」


「………さ、早く着てくれ。少しは成長しているかもしれねえからさ、微調整もしないとな」


「ナギ、話逸らさんといてな? 目ぇ逸らしたらあかんで?」


「…ま、乙女の秘密って事さ?」


「それ言うたらうちの知的好奇心が疼いてまうやろ? ナギ、いつか暴いたるで?」


「おいおい、あたしはツタンカーメンか?」


「そらあかんな」


「「HAHAHA!」」───。





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