第84話 魔法のコート
◇
「ナギ、そのトレンチコート、めっちゃシュッとしててええな!」
「ああ、マリーンの払い下げだよ」
「海兵隊か、ナギにお似合いやで? ほんでな、身体のラインが浮き出てエロすぎるんとちゃいますか?」
「そこがトレンチのおしゃれポイントだろ?」
「せやな。なんかあれやな、トレンチコートって言うたら…ゾンビゲームのクリーチャーにごっついのおったやろ?」
「おいおい、あたしは暴君かよ?」
「いや、そらあんた、Tyrran(暴君)やろ? 何回始末書を書いたんや? 言うてみ?」
「ああ、お前が言うな?」
「「HAHAHA!」」
「ま、そらええねん…ナギ、あんたのおかげで反省文なんか楽々やねんで?」
「そうだな。ま、あたしがダッフル似合わねえからさ、トレンチコートをチョイスしたわけさ…あ、校則なんてつまらねえ事を言うなよ?」
「そらな、牛久大仏でチョモランマなあんたが指定のPコート、またはダッフルコートしか選べん言うたらな、サイズがあらへんとちゃいますか?」
「そうそう、色指定があるのもキツイぜ? ネイビーカラーのPコートならさ、ブレザーと合うから良いけど、ダッフルはフードが邪魔だ…なにより、胸がキツイ」
「出荷せい!」
「「HAHAHA!」」
「そう言うわけにはいかねえんだよ? ところでウィラ」
「なんや? 今日のうちはPコートやで? めっちゃ似合っててかわええやろ?」
「ああ、世界で一番似合っているぜ? …ところで、色指定はどうしたんだ?」
「そら Grau(灰色)やで?」
「そうだな、グレーだね? ところで校則は?」
「それ言わんといてな」
「「HAHAHA!」」
「服装規定を一個一個直さなきゃいけねえし、本当面倒だよな」
「いっそ一からでもええんやけど、かえって時間かかってまうしな…」
「そういえばウィラ、Pコートも…ってことは他も持ってるのか?」
「せやで? ちょっとええダッフルコートもあるで?」
「生地が厚くてずっしりしてる奴か?」
「せやせや、あれもかわええうちにめっちゃ似合うんやで?」
「ああ、そうだろうな。フードを被ったら魔術師みたいだぜ?」
「そんなにうちを褒めてもな、ナギ、ほんならあんたに魔法かけたろか?」
「それはどんな魔法なんだい?」
「そら決まっとるやろ? 恋の魔法や! ナギ、あんたが伊那先生とな、もっと仲良くなれる魔法かけたるで?」
「ああ、そりゃ付き合ってデートしてさ、手を繋いだり、ハグしたり、KISSやf**kしてえのは山々だけどさ…出来れば遅効性にしてくれよ?」
「あー、こら煩悩にまみれてますな? そんなん言われてもな、そらうちはなんも保証出来へんわ…ナギやし」
「おい、どういう事だよ? この、ペテン師!」
「そんなん未来の事なんかわからへんやろ? それとな、ペテン師ちゃうわ!」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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