第79話 帰国子女







「あーむっ、ふっふっふっ…ナギ!」


「おう、なんだ? お前といると飯時が賑やかで最高だよ」


「そらそうやろ? あんたの作るご飯が美味しすぎるんやからな。ほんまここ選んでよかったわ」


「ああ、あたしもそう思うよ。お前がなんでこっちに来たか…本当気になるよ」


「それな、地元の進学校行ってもええかな?…って思ってたんやけどな、そんなんやってもおもろないやん?」


「そうだな、お前は本来飛び級してもおかしくないし、進学校側がもて余すかもな」


「せやせや、真面目ちゃんぶってるのとつるんでもおもろないし、脚の引っ張り合いや陰口なんか言うてな、そんなんしょーもなさ過ぎるやろ? うちな、かわええし才能に恵まれておるんやから妬まれる一方やで?」


「ああ、かわいいウィラを独り占め出来て最高だぜ?」


「ふっふっふっ、ナギ…面と向かって言われたらな、照れてまうやろ?誉め殺しも大概にしぃ? それにな、うちワガママやけどええんか?」


「ワガママねえ…それは遠慮しとく」


「なんでや!そこは遠慮せんでもええやろ!」


「「HAHAHA!」」


「で、お前は地元の進学校を蹴ってさ、どうしてここに来たんだよ?」


「そらな、さっき言うたこともあるんやけどな、そんなんやったら環境変えてみたいやろ?」


「ああ、わかる。他にもあるんだろ?」


「せやで? そら東下りしてみたいやろ?知らんとこ住んでみたくてワクワクするやろ!?…それにな、そんなんやったら妹ちゃんがうちと比べられる事なんてあらへんやろ?めっちゃ気楽になるんとちゃうか?」


「なるほどね、お前の好奇心と妹想いなところが伝わってくるぜ?」


「せやろせやろ? たまたまこっちの方に家族旅行で来てな、そんとき暇やったから学校見学したんや…なかなかおもろそうやったから、うちはここに決めたんや」


「凄い行動力とフィーリングだ。一般入試か?」


「せやで!うちの学力的に余裕やったわ」


「そんなお前に助けられているって訳だ。あたしが学年平均より上なのは笑えるぜ?」


「そらあんたの地頭が優秀やからやで? 身体能力はあれやし、家庭科もそうやけど、あんたは英語完璧過ぎるやろ?どこで習ったんや?」


「ああ、ステイツだよ」


「なに嘘言うてんねん? そらあんたは完璧なアメリカ英語やし、日本語があれや、敬語出来てへんし習ってるか怪しいもんやからな? ほんであんたな、ほんまの出身地はどこや?」


「…オレゴン!」


「いや、嘘はええから…って、ホンマかいな!?」


「おいおい、言ってなかったっけ?」


「いや、うちなんも聞いてへんわ!」


「生まれたのは向こうなんだよ。それでこっち来たのはさ、今から10年近く前だったかな?…ま、お前の言うとおり、敬語はまだ習ってなくてさ?」


「あんたが英語やなくて、敬語が完璧やったら…きっしょ!?」


「「HAHAHA!」」


「だろ? ま、ここに入ったのも面接でさ、英語が通じたからなんだ。ウィラ、あたしはこんな図体でさ、敬語なんかも出来ないからさ、誤解をされるのが当たり前だったんだよ」


「そんなんでよう推薦して貰えたな?」


「ああ、あたしを推薦したの…英語の外人講師だぜ?」


「「HAHAHA!」」


「普通やったらありえへんやろ!そらあんたを図るスケールなんかな、海を越えなきゃあかんし、わからへんからな」


「…で、面接の雲行きが怪しくなってさ、英語で悪態をついてたら…」


「あー、なんか読めたで?」


「そう言うこと、伊那先生だったって訳さ?」


「そら…あんたが惚れてまう訳やな?」


「うっせーよ!」


「「HAHAHA!」」───。





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