第76話 プロレタリア図書室






「三枝、スターリンはどこに行ったんだ?」


「スターリン?…ああ、吉府 鉄男(ヨシフ テツオ)司書先生ですか?」


「ぶふっ!…あかん、それいつ聞いてもツボやわ。あかん、鉄の男やからってな、シュターリンはあかんやろ…ぶっ、HAHAHA!」


「ああ、ご丁寧にヨシフだからな?」


「「HAHAHA!」」


「会長、書記長、図書室では静かに?」


「書記長?…芳子ちゃん、それ言うたらあかんやろ?…ぶふっ!」


「あたしと並べばさ、ヨシフ・スターリン書記長だな?」


「「「HAHAHA!」」」


「ちょっと、図書室では…ふふっ…くくく…」


「芳子ちゃん、あんたも静かに言うてなに笑とんねん?」


「「「HAHAHA!」」」


「あはは!…いや、違うんですよ。吉府司書先生をスターリンって言い始めたの、書記長ですからね?」


「うちも言われるまで気付かんかったで?ナギ、あんたがシュターリン言うてからあかんくなったんやで?」


「あ?そうだけどさ、顔が岡〇真澄に似ていてさ、あのふで髭とオールバックで吉府 鉄男だろ?…どう考えてもスターリンの生まれ変わりだろ?」


「有名人過ぎますからね、世界史の教科書レベルで?」


「「「HAHAHA!」」」


「あかん、うち…シュターリン先生見たら笑ってまう自信しかあらへんで?」


「シベリアで木を数える仕事を紹介してくれそうだ」


「空気が綺麗ですし、読書に最適ですよ?」


「「「HAHAHA!」」」


「そんなんええねん。ほんでな、シュターリン先生は司書の仕事ほっぽりだしてどこ行っとんねん?」


「普段ならさ、あの厳めしい顔に笑みを浮かべて見守ってくれるって言うのにな?おかげで今日は粛清されなくて済みそうだ」


「「「HAHAHA!」」」


「図書室では静かにして欲しいですけど…今は誰もいませんので忘れてください。スターリンですけど…」


「あんたもなにシュターリン言うとんねん」


「ついにミーム化したな」


「まあまあ、スターリンですけど、裏地学年主任のところに行ったきり戻ってないですね」


「うらじ学年主任?誰やそれ?」


「裏地 伶仁(ウラジ レイニン)、お前が体育祭の借り物競争でさ、あいつのヅラをかっぱらっただろ?」


「あ!それな!あん時バレバレのヅラしとったんが学年主任やったんか?うち、必死に逃げ回っていたから一々覚えとらんで?」


「「「HAHAHA!」」」


「いや、会長…あれは傑作でしたよ?スターリンが大喜びでしたからね。会長のリクエストだったら、好きなだけ応えろって言ってましたよ?」


「よかったな、レーニン像を倒して」


「グッバイ、レーニン!やな」


「「「HAHAHA!」」」


「スターリンとレーニン、いつも何かと張り合ってますからね?」


「裏地学年主任もレーニン呼ばわりかよ?ウラジミール・レーニン呼ばわりされて当然だろうけどさ」


「うちらからしたら平和なもんやろ?一周回って仲良すぎるんとちゃうか?」


「共産性の違いはあっても、大人としての協調性はありますからね…会長と書記長と違って?」


「うっせーよ、釈迦にも説法だろ?」


「あれや、うちら釈迦に説教されるんとちゃうか?」


「「「HAHAHA!」」」───。




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