第75話 ちょいワルおやじ(27)







「おーいウィラ、生きてるかぁ?」


「…あかん、なんか産まれるんとちゃうか?」


「お前らよく食いきったな? ご丁寧にスープまで完飮とは恐れ入ったよ」


「おう、宇宙人とでも呼んでくれ?」


「「HAHAHA!」」


「あかん、うちも笑いたいんやけど…今笑ってもうたらほんまにあかんわ…」


「しばらく食休み、落ち着くまで車に乗らない方が良さそうだな」


「ああ、リバースcard発動!激流SO!になりかねない」


「「HAHAHA!」」


「あんたら、うちを弄るのも大概にしぃ?」


「ごめんって。そうならない為にさ、あたしの膝枕で寛いでいるんだろ?」


「すまん、ノイマン。ま、お前らといるとさ、先生も学生時代を思い出してさ」


「せやな、うちら仲良し三人組とちゃうか?…一人おっさんおるんやけど」


「確かに、あたしらの一回り上だもんな…うん、おっさんだ」


「おいおい、俺はまだ27だぜ?…お前らさ、俺をおっさん呼ばわりするのはやめてくれよな?」


「せやな、四捨五入でアラサーやな」


「ああ、女子高生を連れ回すちょいワル親父だ」


「よーし、お前らは歩いて帰るんだってな?」


「「「HAHAHA!」」」


「伊那先生、流石に冗談やからな?…おっさんやけど」


「おいおい、いたいけな女子高生二人を置き去りにして心が痛まないのか?」


「お前ら、体育祭でなにやったか忘れたか?あぁん? おまけに今日は、体育祭実行委員長と他数名、どのように連行してさ、詰めたんだっけ? 答えてみろよ、いたいけな女子高生のお二人さん?」


「「「HAHAHA!」」」


「いや、あれはほんまにごめんなさい…せやけどうちらの言い分もわかるやろ?」


「伊那先生に迷惑かけたのは謝るよ。だけどさ、あたしらは泣き寝入りするなんてごめんだぜ?」


「ああ、わかっているさ。俺の責任でお前らの面倒を最後まで見るからさ、そりゃ覚悟の上だろ?」


「ふふっ、伊那先生ありがとう。ほんま、伊那先生にいつも助けてもらってばっかやで」


「本当、話のわかる先生でありがたいよ」


「ああ、お前ら相手にさ、まともに話が通じるのは俺だけだからな?」


「「「HAHAHA!」」」


「いや、そらちゃうねん」


「おいおい、都合が悪くなったらよ、いつもドイツ語で捲し立てるのは誰だ?うん?」


「「「HAHAHA!」」」


「あたしはちゃんとわかる言葉だろ?」


「You`re a fine one to talk(お前が言うな)」


「Throw up one's hands(こりゃお手上げだ)」


「「「HAHAHA!」」」


「そう言えば伊那先生、なんで英語出来るのに国語の教師やっとるんや?」


「ああ、それあたしも気になっていたんだよな」


「後で車の中でゆっくり話すよ。ノイマン、お前はもう大丈夫か?」


「うちだいぶ楽になったで?ナギの膝枕な、ゴリラゴリラゲリンベイでちょっと固いけど、なかなかええで?」


「おう、そんなにお気に入りならお前の頭を挟んでやろうか?ほれ…」


「ちょっ、痛たたたた!?あんたな、ムキムキゴリマッチョの太ももで挟んだらあかんやろ!?ナギ、折れてまう!あとパンツ丸見えや!先生のおかずが増えてまうで!?」


「ああ、見えそうで見えない角度で想像力が掻き立てられるよ。それよりもノイマン、お前の方こそスカート押さえろよ?」


「ほらよ、あまりあたしを怒らせない方がいいぜ?」


「そんなん言うてな、ほんまはもっとじゃれつきたいんとちゃうか?」


「ああ、だが外ではやめとこうぜ」


「せやな、あ、先生…うちのパンツ見てもうたな?…た、高いで?」


「そうだな、ところで昨日のビデオ通話はどう説明するんだい?」


「「「HAHAHA!」」」


「あれは…伊那先生さ、言うのが遅いんだよ?」


「先生だけあって狡猾なおっさんやで?」


「おう、ごちそうさま?」


「「「HAHAHA!」」」───。





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