第72話 放課後ゴリラゴリラ
◇
───キーンコーンカーンコーン。
｢相変わらずうっさいわ、もうちょっと何とかならへんかこれ？うちが難聴になったらどないすんねん？｣
───キーンコーンカーンコーン。
｢ああ、おかげであたしはいつも叩き起こされるって訳だ｣
───キーンコーンカーンコーン。
｢あれやな、あんたみたいなんがおるからとちゃうか？うちにはええ迷惑やで？｣
───キーンコーンカーンコーン。
｢そうかもな、ならいっそメタリカに変えてもらうか？｣
｢それな、あんたがノリノリになるだけやろ？｣
｢ああ、To include everyone Tuck you in, warm wishin Keep you free from sin｣
｢｢千代田生命いこう～！｣｣
｢｢HAHAHA！｣｣
｢今から行くのは三年の教室だけどな？｣
｢せやな、バケツリレー！水寄越せ！｣
｢｢HAHAHA！｣｣
｢寄越してもらうのは領収書だけどな｣
｢実行委員長、ちゃんと持っとるんかいな？｣
｢さあな、とりあえずカチ込みと行こうぜ？｣
｢せやな…ほんならいくで…まいど！生徒会や！！体育祭実行委員長はおるか！？｣
｢おい、てめぇのとこの帳簿で話がある！いいから面貸しな？｣
｢隠れとらんではよ出てきぃ！？うちは話がしたいだけや？ほんならはよせんかい！このアホんだらボケ！！｣
｢おい早くしろ！あたしらは気が短けえんだよ！！｣
「おい、うるせえな生徒会コンビ…体育祭は終わっただろ？今更何の用だよ？」
｢あんた、これ見て何もわからへんか？…この諭吉はん四枚分の抜けはなんや？｣
｢いいから付いてきな？詳しい話は生徒会室でしようぜ？｣
「な、何のことだ？俺は何も…」
｢しらばっくれるつもりかコラ！？あんたな、不正会計の疑惑かかっておる言うのに呑気過ぎるんとちゃいますか？｣
｢こっちで調べはついている…観念しな？…おっ、逃げようとしても無駄だぜ？ほらよっ！｣
「いででででで！わかった！わかったから！」
｢ナギに関節決められてもうたら逃げられへんで？ あんたな、ナギのチョモランマ楽しんでる場合とちゃうで？折られたくないんやったらはよ観念しぃ？｣
｢ああ、そういやこいつ…ウィラの事を侮辱していたよな？…折る？｣
「いだだだ！すいませんすいません！勘弁してください！アッー！…」
｢うちの事をナチ言うたのは許さへんけど、そんなんどうでもええねん…ナギ、連行や｣
｢はいよ、ほらさっさと歩け？｣
「わかったわかった！歩きにくいから離してくれ！」
｢そらあかんで？…あんた、そない言うて逃げはるつもりやろ？｣
｢だろうな、なら良い方法があるよ…ほらっ、いったん離してやるよ｣
「はぁ…はぁ…助かった…って、うわっ？なんだ！？」
｢ナギ！ナイスやで！？それあれか？プロレス技か？｣
｢ああ、アルゼンチンバックブリーカーって技だ。よし、このまま運ぶか…おい、暴れるなよ？暴れたら頭から落とすからな？｣
「わ、わかった…」
｢最初から大人しくしとったらな、こうはならへんかったやろ？｣
｢まあ良いさ、とりあえず生徒会室まで運ぶぞ｣
｢あんた牛久大仏どころか、ほんまゴリラゴリラゲリンベイやな？｣
｢お前が言うな、このゴリラゴリラゴリラ？｣
｢｢HAHAHA！｣｣
｢ほんじゃ三年C組の皆さん、うちら生徒会と、体育祭実行委員長のアホんだらがお騒がせしてもうてすんませんでした。ほな、うちらは消えるから引き続き放課後を楽しく過ごしてな！｣
｢よし、さっさと行こうか…あっ｣
「いでぇ！おい！何ぶつけているんだよ！？」
｢うっせーな、もう一発ぶつければ静かになるか？｣
｢そらええけど、そうならんかったら余計にやかましいとちゃうか？｣
「おい、お前ら、せめて丁寧に…って、柱！ぶつかるぶつかる！」
｢うるせぇよ、そんなに柱が嫌ならさ、窓からの景色でも眺めるか？｣
「やめろ！って、いてえ！わかった！絶対に逃げないから下ろしてくれ！頼む！」
｢何言うとるんや？手錠も首輪もリードもあらへんし、そもそもあんたを信用しろ言うても無理やで？ そんなん言うんやったらな、不正会計疑惑を晴らしてからにしぃ？｣
｢そう言うことだ、潔く諦めな？｣
｢クソっ！このクソビッチが！…いでぇ！｣───。
◇
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