第69話 至上最悪の体育祭 後編






「ナギ、これなかなかええアイデアとちゃうか?」


「ああ、確かに。これなら学校行かなくても問題ない」


『そうっすね、これだったら生徒会の仕事も滞らないっす』


「せやな、いつかオンラインで授業をする時代が来るんとちゃうか?」


「ああ、きっとなんでもオンラインで出来てしまうんだろうな」


『そうっかもしれないっすね。生徒会予算が多かった理由も理解できたっす。会長の先見の明っすね』


「なかなかええやろ?パソコン部はんにな、めっちゃ協力してもろたから実現したんやで」


「悪くないな。ま、おかげでさ…家なのにまったりも出来ねえぜ?」


『いや、まったりするのは勝手っすけど、会長と書記長…あんたら二人は謹慎中っすからね?なに二人で楽しそうにしてるんっすか?』


『「「HAHAHA!」」』


「そらあれや、うちとナギ…お向かいさんやし、そう変わらへんやろ?」


『そうっすね、自宅謹慎の意味ないっすね』


「意味ならあるぞ?二人でやれば反省文の効率があがるぜ?」


『書記長、反省文に効率求めてないっすからね?』


『「「HAHAHA!」」』


「せやけどな、うち反省文初めてなんやから…ナギがおって助かったわ」


「そいつはどうも。反省文もささっと終わらせた事だし、次はなんだ?」


『そうっすね、生徒会へのクレームはどうするっすか?』


「そんなん言うてもな、しょーもないアホないちゃもんやったらな、時間の無駄やし無視してもええで?」


「生徒会としては最初からさ、危険な競技だからやめろって反対していたからな」


『まぁそうっすけど、会長と書記長がガチの戦にしたっすからね?』


「あれな、釣り野伏せと包囲殲滅がな、おもろいように決まったんやから…そらうちらの作戦勝ちやろ?」


『包囲殲滅の恐ろしさを垣間見たっす。あれ、ビデオで確認したっすけど…軍隊だったら教本通りっすね』


「ま、あたしらが囮になってさ、本気で戦ったから釣られてくれたよな」


『そうっすね、騎馬の書記長が相手に蹴り入れて崩したっすからね。不意のぶつかり合いって怖いっすね』


『「「HAHAHA!」」』


「うちもなかなかかっこよかったんとちゃうか?」


『会長、横から組み付いて来た男子を投げてたっす…勢いを利用したっすね。相手は落馬判定っすけど、そういう競技っすか?』


「ウィラもさ、武道やってた事が活かされたようだな」


「そらかわええうちやからな、護身術ぐらいやっとかなあかんやろ?」


『会長と書記長で6騎潰したっすからね。そこから背を向けて逃げたら追って来たっすよ』


「釣り野伏せの教科書通りだな。お前の指示通り動いて貰ってさ、後退して頃合いを見て転回…戦闘を避けていた伏兵で囲んで押し潰した」


「騎馬戦はチーム戦やって証明したで」


『会長と書記長…発想が室町時代っすね?』


『「「HAHAHA!」」』


「あとは敵大将に3騎掛かりで突入、体当たり攻撃だ」


「先方は体当たりと見せかけてフェイントや。目の前を横切らせて釘付けにしてな、行き足を止めたところに続けて次が体当たりするやろ?ほんでその次でトドメやったな」


『見事なチームワークだったっす。白組が可哀想でしたっす』


「そう言えばさ、手鏡はどうしたんだ?お前が女子の身嗜みだからって押し通しただろ?」


「あれな、目潰しに使えるんかと思ったんやけどな、それやるんやったら集中運用せなあかんからな…せやから合図にしか使ってへんで?」


『その為だったんすね、ドイツ語の指示もフェイクだったんすか?』


「それな。せやから直前に合図を決めたんやで?」


「おいおい、性格悪いばかりか、用心深いなおい?」


「ナギ、ちゃうやろ?用意周到と言わんかい!?」


『「「HAHAHA!」」』


『ま、騎馬戦も前代未聞の一騎討ち無しで終わったっすからね』


「ああ、戦ってさ、やっぱり速さに勝ることなんてないだろ?」


「せやせや、騎馬戦言うからにはスピード勝負やろ?」


『…いや、会長、書記長…騎馬戦って競技なんっすけど、スポーツっすからね!?誰が戦をしろって言ったんっすか!?』


「そりゃ怪我人出るから戦だろ?」


「せやで?うちらなんも悪いことしてへんで?」


『お前らスポーツマンシップに乗っ取れよ!』


『「「HAHAHA!」」』


「ま、おかげで最後のリレーも勢いに乗れたな」


「せやな、うちら赤組の劇的な逆転勝利やったな」


『そうっすね。白組だけ人数足りなくて200m走、マラソンみたいなリレーでしたっすね。…会長、書記長、いくらなんでもやり過ぎだろ!?』


「ああ、おかげで体育祭終わった瞬間に職員室だぜ?」


「うちら勝利の余韻なんか味わっておらへんで?」


『ええ、私と飯富さんも関係無いのに巻き添えっすよ?』


「ああ、流石にそこは抗議したぜ?」


「せやせや、なんも悪いことしてへんけど、カズサちゃんと飯富さんは関係あらへんからな」


『会長と書記長、いつも職員室でああなんっすね?私らには出来ないっすよ』


「小幡、理不尽な事を言われたらさ、言い返さなきゃ余計に面倒だぜ?」


「せやで。ま、ちゃんと話せばわかってくれるかもしれへんやろ?」


『いや、会長、書記長、先生たちからしたらっすけど…、あんたらが話通じないから始末書と謹慎になったんだろうが!?少しは反省しろよ!?』


『「「HAHAHA!」」』───。





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