第69話 至上最悪の体育祭 後編
◇
「ナギ、これなかなかええアイデアとちゃうか?」
「ああ、確かに。これなら学校行かなくても問題ない」
『そうっすね、これだったら生徒会の仕事も滞らないっす』
「せやな、いつかオンラインで授業をする時代が来るんとちゃうか?」
「ああ、きっとなんでもオンラインで出来てしまうんだろうな」
『そうっかもしれないっすね。生徒会予算が多かった理由も理解できたっす。会長の先見の明っすね』
「なかなかええやろ?パソコン部はんにな、めっちゃ協力してもろたから実現したんやで」
「悪くないな。ま、おかげでさ…家なのにまったりも出来ねえぜ?」
『いや、まったりするのは勝手っすけど、会長と書記長…あんたら二人は謹慎中っすからね?なに二人で楽しそうにしてるんっすか?』
『「「HAHAHA!」」』
「そらあれや、うちとナギ…お向かいさんやし、そう変わらへんやろ?」
『そうっすね、自宅謹慎の意味ないっすね』
「意味ならあるぞ?二人でやれば反省文の効率があがるぜ?」
『書記長、反省文に効率求めてないっすからね?』
『「「HAHAHA!」」』
「せやけどな、うち反省文初めてなんやから…ナギがおって助かったわ」
「そいつはどうも。反省文もささっと終わらせた事だし、次はなんだ?」
『そうっすね、生徒会へのクレームはどうするっすか?』
「そんなん言うてもな、しょーもないアホないちゃもんやったらな、時間の無駄やし無視してもええで?」
「生徒会としては最初からさ、危険な競技だからやめろって反対していたからな」
『まぁそうっすけど、会長と書記長がガチの戦にしたっすからね?』
「あれな、釣り野伏せと包囲殲滅がな、おもろいように決まったんやから…そらうちらの作戦勝ちやろ?」
『包囲殲滅の恐ろしさを垣間見たっす。あれ、ビデオで確認したっすけど…軍隊だったら教本通りっすね』
「ま、あたしらが囮になってさ、本気で戦ったから釣られてくれたよな」
『そうっすね、騎馬の書記長が相手に蹴り入れて崩したっすからね。不意のぶつかり合いって怖いっすね』
『「「HAHAHA!」」』
「うちもなかなかかっこよかったんとちゃうか?」
『会長、横から組み付いて来た男子を投げてたっす…勢いを利用したっすね。相手は落馬判定っすけど、そういう競技っすか?』
「ウィラもさ、武道やってた事が活かされたようだな」
「そらかわええうちやからな、護身術ぐらいやっとかなあかんやろ?」
『会長と書記長で6騎潰したっすからね。そこから背を向けて逃げたら追って来たっすよ』
「釣り野伏せの教科書通りだな。お前の指示通り動いて貰ってさ、後退して頃合いを見て転回…戦闘を避けていた伏兵で囲んで押し潰した」
「騎馬戦はチーム戦やって証明したで」
『会長と書記長…発想が室町時代っすね?』
『「「HAHAHA!」」』
「あとは敵大将に3騎掛かりで突入、体当たり攻撃だ」
「先方は体当たりと見せかけてフェイントや。目の前を横切らせて釘付けにしてな、行き足を止めたところに続けて次が体当たりするやろ?ほんでその次でトドメやったな」
『見事なチームワークだったっす。白組が可哀想でしたっす』
「そう言えばさ、手鏡はどうしたんだ?お前が女子の身嗜みだからって押し通しただろ?」
「あれな、目潰しに使えるんかと思ったんやけどな、それやるんやったら集中運用せなあかんからな…せやから合図にしか使ってへんで?」
『その為だったんすね、ドイツ語の指示もフェイクだったんすか?』
「それな。せやから直前に合図を決めたんやで?」
「おいおい、性格悪いばかりか、用心深いなおい?」
「ナギ、ちゃうやろ?用意周到と言わんかい!?」
『「「HAHAHA!」」』
『ま、騎馬戦も前代未聞の一騎討ち無しで終わったっすからね』
「ああ、戦ってさ、やっぱり速さに勝ることなんてないだろ?」
「せやせや、騎馬戦言うからにはスピード勝負やろ?」
『…いや、会長、書記長…騎馬戦って競技なんっすけど、スポーツっすからね!?誰が戦をしろって言ったんっすか!?』
「そりゃ怪我人出るから戦だろ?」
「せやで?うちらなんも悪いことしてへんで?」
『お前らスポーツマンシップに乗っ取れよ!』
『「「HAHAHA!」」』
「ま、おかげで最後のリレーも勢いに乗れたな」
「せやな、うちら赤組の劇的な逆転勝利やったな」
『そうっすね。白組だけ人数足りなくて200m走、マラソンみたいなリレーでしたっすね。…会長、書記長、いくらなんでもやり過ぎだろ!?』
「ああ、おかげで体育祭終わった瞬間に職員室だぜ?」
「うちら勝利の余韻なんか味わっておらへんで?」
『ええ、私と飯富さんも関係無いのに巻き添えっすよ?』
「ああ、流石にそこは抗議したぜ?」
「せやせや、なんも悪いことしてへんけど、カズサちゃんと飯富さんは関係あらへんからな」
『会長と書記長、いつも職員室でああなんっすね?私らには出来ないっすよ』
「小幡、理不尽な事を言われたらさ、言い返さなきゃ余計に面倒だぜ?」
「せやで。ま、ちゃんと話せばわかってくれるかもしれへんやろ?」
『いや、会長、書記長、先生たちからしたらっすけど…、あんたらが話通じないから始末書と謹慎になったんだろうが!?少しは反省しろよ!?』
『「「HAHAHA!」」』───。
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます