第65話 盤外戦
◇
「よう、大将になった気分はどうだ?」
「せやな、今日うちは寿司でも食べたい気分やで?」
「おいおい、大将のお前が握るんだぜ?」
「そら遠慮しとくわ、うちが握ってもおにぎりにしかならへんで?」
「「HAHAHA!」」
「ま、寿司は今度食べに行くとしてさ、あたしらは体育祭実行委員に対して宣戦布告をしただろ?…さて、お前は自らの意思で赤組の総長となった訳だ」
「ナギナギ!」
「なんだ?」
「いや、宣戦布告したのはええんや」
「ああ、散々煽って盤外戦を始めたばかりか、予算まで削ったからな?これで赤組負けたらあたしらに来期はねえぜ?」
「せやな。ってちゃうちゃう、そんなんどうでもええねん。ナギ、総長ってなんや?それ言うたらうちやのうて、あんたの事とちゃうか?この元ヤン!」
「…あ、ごめん。昔の癖でつい…って、こまけぇよ!」
「「HAHAHA!」」
「ナギは騎手になれへんからな、騎馬戦で総長って訳にはいかへんやろ?」
「ああ、女子には無理だ」
「男子でも無理やろ!この牛久大仏!」
「「HAHAHA!」」
「ま、女子で高身長扱いのお前を騎乗させるならさ、とりあえずあたしがいるから問題ない」
「せやせや、あんたがおらんかったらscheisse(クソッタレ)な伝統行事が続いたんやろな」
「おいおい、血の気が多いねえ?…でさ、本気で潰す気なのか?」
「せやで。うちに勝算あるんやから宣戦布告したんやで? あんなんキンタ〇置き忘れたノータリンのアホんだらをいてもうたるわ!」
「ああ、最高だぜ。隅っこで縮こまっている体育祭実行委員がよ、あたしらにガン飛ばしてくるぐらいにね?」
「「HAHAHA!」」
「ナギ、ガン飛ばされた言うてな、今殴り込んだらあかんからな?」
「おいおい、あたしは更生したんだぜ?…だから心配すんなって」
「いや、あんたのことやからうちは心配やで?」
「お前が言うな」
「「HAHAHA!」」
「おーい生徒会!生意気言ってられるのも今のうちだぞ!このナチス女とデカブツゴリラ女!」
「おい、あんたら今何て言うたんや?…もう一度言うてみ?」
「おいごら!!てめえいまウィラを侮辱しただろおい!?舐めてんじゃねえぞごらぁ!!てめえ病院送りで済むと思っとるんかワレ!!」
「ちょっとナギナギナギ!」
「あ"!?なんだよウィラ?おい、あたしはキレちまったぜ?お前を侮辱するあいつら、ただで済ます気はねえぞ?おいごらぁ!!てめえ今すぐ土下座しろや!!あ"!?今すぐやれ!!焼きいれるだけで済ましてやるぞおい!!」
「ナギ落ち着いて!うちの事はええから落ち着いて!頼むから!お願いや!」
「………わりぃ、ちょっとカッとなっちまった…ごめん…」
「ええんや、ええんや…ありがとな…」
「はーい!映画研究会です!…迫真の演技でしたね!…台本通り!いやっ、台本以上の出来ですよ!………あーっ!?お食事中の皆さんすいません!これ、演技ですから!演技ですから先生方を呼ばなくて結構ですから!」
「おいおい、どういうことだよ?」
「そらうちが後で説明するからな、今は堪忍してや?」
「はいはい、体育祭実行委員さん達もお疲れ様です!…さ、大仏さん、いったん落ち着きましょう?…うまく誤魔化しときますから?」
「…とんだ三文芝居だな?…助かった、ありがとう」
「いえいえ、生徒会長、書記長にはお世話になっていますから…うまくやってくれると我々も助かります」
「ほんまありがとな、うちらもちょっぴりやり過ぎてもうたわ…」
「ああ、これだけで終わらなそうだな…映研、先日の政見放送ばかりかまた世話になったな」
「いいんですよ、あなた達を追ってれば最高の映画が作れそうですからね?…本当、いい映像が取れました」
「あんたらちゃっかりしとりますな?」
「ドキュメンタリーかよ、なんなら新聞部とも連携しているんだろ?…学祭の発表、楽しみにしているぜ?」
「「「HAHAHA!」」」
「はあー…肝が冷えたで?」
「おいおい、そういうお前も血の気が多いだろ?」
「あんたにはかなわへんけどな?」
「ああ、でも…ありがとう、ウィラ」
「ええんやで、あいつらとは騎馬戦で白黒付けましょか」
「そうだな、あたしらを怒らせた分の代償は覚悟してもらわないとね?」
「…ほんま体育祭どうなってまうんやろ?」
「お前が言うな」
「「HAHAHA!」」───。
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます