第65話 盤外戦







「よう、大将になった気分はどうだ?」


「せやな、今日うちは寿司でも食べたい気分やで?」


「おいおい、大将のお前が握るんだぜ?」


「そら遠慮しとくわ、うちが握ってもおにぎりにしかならへんで?」


「「HAHAHA!」」


「ま、寿司は今度食べに行くとしてさ、あたしらは体育祭実行委員に対して宣戦布告をしただろ?…さて、お前は自らの意思で赤組の総長となった訳だ」


「ナギナギ!」


「なんだ?」


「いや、宣戦布告したのはええんや」


「ああ、散々煽って盤外戦を始めたばかりか、予算まで削ったからな?これで赤組負けたらあたしらに来期はねえぜ?」


「せやな。ってちゃうちゃう、そんなんどうでもええねん。ナギ、総長ってなんや?それ言うたらうちやのうて、あんたの事とちゃうか?この元ヤン!」


「…あ、ごめん。昔の癖でつい…って、こまけぇよ!」


「「HAHAHA!」」


「ナギは騎手になれへんからな、騎馬戦で総長って訳にはいかへんやろ?」


「ああ、女子には無理だ」


「男子でも無理やろ!この牛久大仏!」


「「HAHAHA!」」


「ま、女子で高身長扱いのお前を騎乗させるならさ、とりあえずあたしがいるから問題ない」


「せやせや、あんたがおらんかったらscheisse(クソッタレ)な伝統行事が続いたんやろな」


「おいおい、血の気が多いねえ?…でさ、本気で潰す気なのか?」


「せやで。うちに勝算あるんやから宣戦布告したんやで? あんなんキンタ〇置き忘れたノータリンのアホんだらをいてもうたるわ!」


「ああ、最高だぜ。隅っこで縮こまっている体育祭実行委員がよ、あたしらにガン飛ばしてくるぐらいにね?」


「「HAHAHA!」」


「ナギ、ガン飛ばされた言うてな、今殴り込んだらあかんからな?」


「おいおい、あたしは更生したんだぜ?…だから心配すんなって」


「いや、あんたのことやからうちは心配やで?」


「お前が言うな」


「「HAHAHA!」」


「おーい生徒会!生意気言ってられるのも今のうちだぞ!このナチス女とデカブツゴリラ女!」


「おい、あんたら今何て言うたんや?…もう一度言うてみ?」

「おいごら!!てめえいまウィラを侮辱しただろおい!?舐めてんじゃねえぞごらぁ!!てめえ病院送りで済むと思っとるんかワレ!!」


「ちょっとナギナギナギ!」

「あ"!?なんだよウィラ?おい、あたしはキレちまったぜ?お前を侮辱するあいつら、ただで済ます気はねえぞ?おいごらぁ!!てめえ今すぐ土下座しろや!!あ"!?今すぐやれ!!焼きいれるだけで済ましてやるぞおい!!」

「ナギ落ち着いて!うちの事はええから落ち着いて!頼むから!お願いや!」


「………わりぃ、ちょっとカッとなっちまった…ごめん…」


「ええんや、ええんや…ありがとな…」


「はーい!映画研究会です!…迫真の演技でしたね!…台本通り!いやっ、台本以上の出来ですよ!………あーっ!?お食事中の皆さんすいません!これ、演技ですから!演技ですから先生方を呼ばなくて結構ですから!」


「おいおい、どういうことだよ?」


「そらうちが後で説明するからな、今は堪忍してや?」


「はいはい、体育祭実行委員さん達もお疲れ様です!…さ、大仏さん、いったん落ち着きましょう?…うまく誤魔化しときますから?」


「…とんだ三文芝居だな?…助かった、ありがとう」


「いえいえ、生徒会長、書記長にはお世話になっていますから…うまくやってくれると我々も助かります」


「ほんまありがとな、うちらもちょっぴりやり過ぎてもうたわ…」


「ああ、これだけで終わらなそうだな…映研、先日の政見放送ばかりかまた世話になったな」


「いいんですよ、あなた達を追ってれば最高の映画が作れそうですからね?…本当、いい映像が取れました」


「あんたらちゃっかりしとりますな?」


「ドキュメンタリーかよ、なんなら新聞部とも連携しているんだろ?…学祭の発表、楽しみにしているぜ?」


「「「HAHAHA!」」」


「はあー…肝が冷えたで?」


「おいおい、そういうお前も血の気が多いだろ?」


「あんたにはかなわへんけどな?」


「ああ、でも…ありがとう、ウィラ」


「ええんやで、あいつらとは騎馬戦で白黒付けましょか」


「そうだな、あたしらを怒らせた分の代償は覚悟してもらわないとね?」


「…ほんま体育祭どうなってまうんやろ?」


「お前が言うな」


「「HAHAHA!」」───。






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