第64話 ホワイトライオン







「ナギ…あんたも懲りまへんな?職員室好き過ぎるんとちゃうか?」


「ああ、そうかもな。金髪が駄目ならって考えた奥の手だったんだけどな…」


「ほんなら銀にすりゃええやろって、ほんまにやってどないするんや?なんや、ナギ、あんたショック受けるようなことあったんか?」


「ウィラ、それは創作だ。ブリーチかけないと一日で白髪なんて無理だ」


「…え、ちゃうんか?うち、知らんかったで?」


「かわいいウィラちゃんがますます賢くなるな。それでさ、銀髪が頭髪規定違反ならさ、先生方でも引っ掛かるだろ?」


「「HAHAHA!」」


「それな。せやけどナギ、あんた天の邪鬼過ぎるんとちゃうか?」


「ああ、昔からだよ…生徒の自由はどこまでなのか、気になるだろ?」


「せやな、うちらわりと自由にやらしてもろてるんやけどな、校則がどこまでええんか気にはなるで?」


「で、金髪から黒に戻すのが面倒だからさ、更に脱色したわけだ」


「ほんでサラサラの艶々、あんたの髪もそうやけど、生命力強すぎるんとちゃいますか?」


「ああ、一度も風邪を引いた事ないぜ?」


「………」


「なんだウィラ、あたしが何とかって言いたいのか?」


「そらあんた、地頭ええけどアホやろ?」


「「HAHAHA!」」


「違いない。そういうお前もどっか抜けてたりするだろ?…部屋にパンツ転がってるし」


「そらうちが完璧超人なわけあるかーい!どこまで行ってもうちは人の子やし、あれこれきっちりやっとったら時間が足りへんやろ?…そらパンツの一つや二つ…って、ちゃうねん、ナギ、それ言うたらあかんねんな」


「「HAHAHA!」」


「全く、うまい具合に凸凹だぜ」


「それな。あんたの身長もそうやけど、このメロンが羨ましすぎるで?…はよ出荷せんかい!」


「露地物メロンの収穫時期だったら、もう終わってるよ?」


「そっかぁ…って、ちゃうわ!」


「「HAHAHA!」」


「ま、話戻るけどさ、あたしはなにも考えず銀髪にした訳じゃないぜ?」


「そらあんた、あとで白髪染めする言い張ってのらりくらりやろ?…ほんで白髪染めやったら教員たちも否定は出来へんやろうし、そら抜け道になるんやと考えたとちゃうか?」


「ご名答、職員室では呆れられたよ…あたしが余計な事言って面倒なことになったけど」


「そらな、うちもあんたと同いでただ黙って聞いてるわけなんてあらへんし、言わんでええこと言うてまうからな?」


「ああ、お前と違ってドイツ語と言う奥の手はないけどな」


「なかなか便利やろ?」


「「HAHAHA!」」


「お前じゃないけどさ、あたしも英語で捲し立てたらさ、離れたところに座っていたうちのブリティッシュがさ、腹を抱えて笑っていたんだぜ?」


「そらそうよ、伊那先生も英語わかるから笑い堪えとるやろし、ブリティッシュは大喜びやったんとちゃうんか?知らんけど」


「「HAHAHA!」」


「ま、クソッタレな説教でなに言われたか忘れたけどさ、頭髪規定を教員側と協議していかねえとな?」


「せやな。うちもナギみたいにちょっぴりおしゃれに染めてみたいわ」


「あたしはそのままのお前も好きだけど、それはそれで楽しみだぜ?」


「…ありがとう。あんた、ナチュラルにうちを口説いてどないするんや?」


「あ?…ああ、意識しちゃうってか?」


「う、うっさいわ!」


「「HAHAHA!」」───。






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