第66話 決戦!体育祭前夜



「おいおい、大将、しっかりしろよ?」


「そらうちやって人の子や、戦いを前にして不安にもなるやろ?」


「ああ、それで今日はいつも以上に甘えん坊さんって訳か」


「せやで?練習の成果も問題あらへんし、本番は派手にやったるで」


「ははっ、練習ではボロ負けだったけどな?…で、あたしらが爪を隠した能ある鷹と気付かぬまま、勝利を確信して油断を誘ったんだよな…ウィラ、本戦はやっちまっていいんだよな?」


「ふっふっふっ、ルール的に問題あらへんで?…うちもな、猫被るの疲れたで?」


「「HAHAHA!」」


「さて、後ろはちょっとバランス悪いけど、小幡(166cm)と飯富(169cm)さんがしっかり支えてくれるし、あとはあたしを上手く使いこなしな?」


「いや、あんたがデカ過ぎるんやけどな、この牛久大仏」


「お前が上に乗る方がおかしいけどな?」


「「HAHAHA!」」


「せやけどアンバランス言うてもな、チャリオットみたいなもんやで?」


「ああ、確かにそうかもな。で、この前後のバランス、高低差も上手く利用するんだろ?」


「せやせや、護身術も応用出来るで」


「それは楽しみだ」


「ふふっ、ナギがおるんやったらな、うちはどこまでもやったるで?…ぶっつけやけど乗り崩し、投げ技、女子の身嗜み用の小道具もあるんや…うちを囮にしてな、釣り野伏からの包囲殲滅を狙ったるわ」


「ああ、性格悪くてたまらねえな?あたしも大将を守らないといけないからな。足払い、頭突き、前蹴りぐらいはイレギュラーだろ?」


「あんたやる気やな、せやけど血の気が多すぎるんとちゃいますか?」


「おいおい、練習ではわざと負けてやったんだぜ?…ルールの範囲内で借りを返すに決まってるだろ?」


「せやな、うちらが本戦で大暴れしてな、騎馬戦の危険性をその身でわからせなあかんねんな」


「ああ、本当に怪我しねえとわからないmother f**kersにわからせてやらねえとな?」


「「HAHAHA!」」


「ほんまに明日が楽しみやで」


「そのわりに震えているけど?」


「ちゃ、ちゃうねん!…これはあれや、武者震いや!武者震いがするのう!」


「武者震いね、それで入場曲は『風林火山』、壮大だな」


「せやで、226もええかなと思ったんやけどな、それやったらうちら賊軍になってまうからな。ほんならな、なんでか知らんけど、うちら武田の武将っぽい苗字、名前が多いからな、ぴったりとちゃうか?」


「確かに、あたしも香坂だからな。小幡に飯富さん、武田24将かよ?」


「「HAHAHA!」」


「せやせや、ほんま頼りになるで」


「おう、任せろよ…さ、今は存分に甘えな?」


「…うん、ナギのチョモランマに押し潰されへんか心配やで?」


「抱き枕のおかげで不戦勝?あれだけ盤外戦で啖呵きっといて、それじゃ締まらねえだろ?末代までの恥だぜ?」


「「HAHAHA!」」


「せやな、せやからうちはナギに全て賭けるんや…ふっふっふっ…zzz…」


「おいおい、お疲れ様…明日は頑張ろうな…おやすみ」───。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る