第66話 決戦!体育祭前夜
◇
「おいおい、大将、しっかりしろよ?」
「そらうちやって人の子や、戦いを前にして不安にもなるやろ?」
「ああ、それで今日はいつも以上に甘えん坊さんって訳か」
「せやで?練習の成果も問題あらへんし、本番は派手にやったるで」
「ははっ、練習ではボロ負けだったけどな?…で、あたしらが爪を隠した能ある鷹と気付かぬまま、勝利を確信して油断を誘ったんだよな…ウィラ、本戦はやっちまっていいんだよな?」
「ふっふっふっ、ルール的に問題あらへんで?…うちもな、猫被るの疲れたで?」
「「HAHAHA!」」
「さて、後ろはちょっとバランス悪いけど、小幡(166cm)と飯富(169cm)さんがしっかり支えてくれるし、あとはあたしを上手く使いこなしな?」
「いや、あんたがデカ過ぎるんやけどな、この牛久大仏」
「お前が上に乗る方がおかしいけどな?」
「「HAHAHA!」」
「せやけどアンバランス言うてもな、チャリオットみたいなもんやで?」
「ああ、確かにそうかもな。で、この前後のバランス、高低差も上手く利用するんだろ?」
「せやせや、護身術も応用出来るで」
「それは楽しみだ」
「ふふっ、ナギがおるんやったらな、うちはどこまでもやったるで?…ぶっつけやけど乗り崩し、投げ技、女子の身嗜み用の小道具もあるんや…うちを囮にしてな、釣り野伏からの包囲殲滅を狙ったるわ」
「ああ、性格悪くてたまらねえな?あたしも大将を守らないといけないからな。足払い、頭突き、前蹴りぐらいはイレギュラーだろ?」
「あんたやる気やな、せやけど血の気が多すぎるんとちゃいますか?」
「おいおい、練習ではわざと負けてやったんだぜ?…ルールの範囲内で借りを返すに決まってるだろ?」
「せやな、うちらが本戦で大暴れしてな、騎馬戦の危険性をその身でわからせなあかんねんな」
「ああ、本当に怪我しねえとわからないmother f**kersにわからせてやらねえとな?」
「「HAHAHA!」」
「ほんまに明日が楽しみやで」
「そのわりに震えているけど?」
「ちゃ、ちゃうねん!…これはあれや、武者震いや!武者震いがするのう!」
「武者震いね、それで入場曲は『風林火山』、壮大だな」
「せやで、226もええかなと思ったんやけどな、それやったらうちら賊軍になってまうからな。ほんならな、なんでか知らんけど、うちら武田の武将っぽい苗字、名前が多いからな、ぴったりとちゃうか?」
「確かに、あたしも香坂だからな。小幡に飯富さん、武田24将かよ?」
「「HAHAHA!」」
「せやせや、ほんま頼りになるで」
「おう、任せろよ…さ、今は存分に甘えな?」
「…うん、ナギのチョモランマに押し潰されへんか心配やで?」
「抱き枕のおかげで不戦勝?あれだけ盤外戦で啖呵きっといて、それじゃ締まらねえだろ?末代までの恥だぜ?」
「「HAHAHA!」」
「せやな、せやからうちはナギに全て賭けるんや…ふっふっふっ…zzz…」
「おいおい、お疲れ様…明日は頑張ろうな…おやすみ」───。
◇
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