第62話 金髪よ、さらば…
◇
「ナギ、あんた相変わらずの人気者やな?」
「ああ、職員室からのラブコールが絶えねえんだよ、これがね?」
「「HAHAHA!」」
「あんたの王子様には会えたんかい?」
「おい、ちげーから!そんなんじゃねーよ!?」
「そんなん言うときながら、あんた満更でもなさそうな顔しとるで?」
「う、うっせーよ!…ま、説教されてるあたしの事をフォローしてくれてはいたさ…」
「ふっふっふっ、伊那先生、あんたにめっぽう優しすぎるんとちゃいますか?」
「…かもな。おっ、メールだ…おいおい、あいつ律儀過ぎるだろ?」
「なんや、あんたの王子様はマメ過ぎるんとちゃうか?」
「ああ、その通りだ…ウィラ、見てみろ?」
「ほな…どれどれ、『香坂、お前は本当に金髪が似合うから先生として心苦しいけれど…夏休みは終わった。今度はそうだな、冬休みを楽しみにしているよ』………伊那先生、中々ユーモアありますな」
「あたしらにはお似合いの先生かもな?」
「せやな、あんたら卒業まで我慢出来るんか?」
「ああ、自信はねえよ…って、そんなんじゃねーよ!?」
「「HAHAHA!」」
「うちを妬かせてどないするんや?ここにコスパのええ彼女おるやろ?ほんで頼れる年上の彼氏作って…欲張りも大概にしぃ!」
「おいおい、彼氏にしたら先生は懲戒免職、あたしは退学かもな?」
「せやな…ナギ、もうひとつ突っ込みどころあんねんけど?」
「あ?コスパのいい彼女か?…そこは退学にならないから大丈夫だろ」
「いや、そげな問題とちゃうやろ?」
「「HAHAHA!」」
「ま、お前がさ、キツネうどんを食べている姿を見るだけでさ、今日も幸せだって思えるのさ?」
「ふっふっふっ、そらうちはケツネの化身やからな?ナギの事、うちが護ったるで?」
「ああ、本当、最高にかわいい守り神だよ」
「せやけどナギと伊那先生の事は保証対象外やで?」
「いや、だからちげーから…」
「ふっふっふっ、とりあえず気持ちだけはよ伝えてもええんとちゃう?」
「ああ、白黒はっきりさせるか…」
「もうあんたはな、ルビコン川渡ったんと同いやろ?…ほんならな、投げたコインの裏表、二つの運命に任せてもええやろ」
「ウィラ、なかなかのロマンチストだね?」
「たまにはええやろ、うちのクォーター分の感性やで?」
「おい、そのクォーターの殆どがリアリストじゃねえかよ?」
「せやった、んな細かい事はええねん!」
「「HAHAHA!」」
「ま、話は逸れたけどさ、頭髪については来週までになんとかしろってさ?」
「そら残念やな、ナギの金髪…めっちゃ好きなんやけどな」
「さすがに伸びてきたからさ、この通りのプリンだろ?そりゃさ、このままじゃ見苦しいって事だから気持ちを切り替えろって事さ」
「ふふっ、あんた職員室に呼ばれたのになんも反省しとらんな?」
「ああ、あたしらと伊那先生が反省の色を見せると思うか?」
「「HAHAHA!」」
「それな。せやけど、あんたは頭髪で反省の色見せなあかんな」
「そう言えばそうだった…ウィラ、お前は相変わらずか?」
「触らぬ神に祟りなしやで?」
「ウィラ大明神かよ」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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