第61話 空はなぜ青いのでしょう?







「ナギー…あんた、さっきからぼけーっとしてどないしたんや?」


「あ?ああ、ウィラ、空はなんで青いんだろう…」


「あんたなに言うとるんや?そら、大気中の微粒子が浮遊しとるやろ。その微粒子が太陽光を散乱されて向きが変わるんがな。そんときに太陽光の中で波長の短い青い光が散乱されてあれや、うちらの目に入ったもんを青と認識しとるのが空やで?」


「…ウィラ、そうじゃねーよ」


「「HAHAHA!」」


「ほんならあれや、あんた恋でもしたんとちゃうか?…せやな、さっき伊那 頼活(イナ ヨリカツ)先生に呼ばれて説教されてるんかと思ったら、なんかおもろそうな話しとるし、先生ええ男やし…そらな、於保小娘なあんたが落ちるのも無理ないんとちゃうか?」


「おいおい、そんなんじゃねーよ?ただ、あたしが伊那 頼活…先生のような奴にさ、もっと早く出会いたかったと思ってさ…」


「せやな。ナギ、先生のフルネーム、もう一度言うてみ?」


「あ?ああ、伊那…よ、頼…活…」


「こら重症やな、うちを妬かせるつもりとちゃうか?」


「…ああ、認めたくねえけど…こんな感覚、初めてかもな?…おいおい、小さい頃にさ、親父と結婚したいって言うような感覚と似たようなものだと思ったけどさ…それとは違ってさ…あー!やっぱりそう言うことなのか!?」


「ナギ、うっさいわ!少しは静かにしぃ?」


「悪い、どうも落ち着かなくてさ?…クソッタレ、これじゃあ何にも手が付かねえな。よし、ちょっと職員室行ってくる…」


「ナギ、あんた呼ばれてもおらんのに出頭してどないするんや?ん?なんか悪いことでもしたんか?うちに言うてみ?」


「…ああ、多分あたしは伊那 頼活 先生に恋した、惚れたかもしれないからさ、ちょっと試してくる。ウィラ、あたしを止めるなよ?」


「あっ、伊那先生や」


「えっ!?おい、マジかよ!?うわっ、どうしよう…まだご飯食べ終わってないのに!?クソッタレ、勿体ねえ!…あー!がっつくとこ見られたら…って、おい、何処にいるんだって?」


「ナギ、冗談や…ごめんなさい」


「全く、あたしをからかうのも大概にしな?はあー、本当あたし、どうしちまったんだよ…ま、カレー食い終わってから考えるか」


「切り替えはやっ」


「「HAHAHA!」」


「まあでもよ、先生と生徒の立場だしな…断られるのは承知だけどさ、連絡先ぐらいは交換…したいよな」


「せやな、ほんま言うたら…あんたが持っとるあれ、いつ使うかわからへん相模はんの出番に期待しとるんとちゃうか?」


「ああ、それやったら先生が懲戒免職食らうだろ?…それだけは望んでいない」


「ま、あれやな、理性的なあんたでよかったとうちは思うで?」


「こういうときこそ冷静にならないとな?…ところでさ、ウィラ」


「なんや?」


「…先生って、その…経験、あるのかな?」


「知らんがな!そんなん本人に聞けばええやろ!」


「だよなぁ~、ああ~…伊那先生かあ~…」


「おう香坂、俺がなんだって?」


「うわっ!てめえなんでここにいんだよ!?」


「噂をすれば…やな?」


「おいおい、先生はお化けかよ?」


「「「HAHAHA!」」」


「先生さ…よかったら連絡先、教えてくれないか?」


「いいぜ?…もしかして、その事で噂をしてたのか?」


「せやせや、ナギな、道理のわかる先生の事がお気に入りなんやで?」


「おいウィラ、そうじゃねーよ…そうじゃねーけど…」


「あー、香坂、俺も学生時代に似たような気持ちになったこと…あるよ。ま、香坂のそれとは違うかもしれないけどさ、悩むぐらいなら俺に言ってくれよ?はい、これ連絡先」


「お、サンキュー…おいおい、良いのか?」


「依怙贔屓じゃないかって?…俺はな、平等と言う理想は素晴らしいと思っているよ?」


「そらうちも同意や。せやけどそんなん言うても平等なんてまやかしや。本質知らんで自分の都合のええとこしか見とらんノータリンばっかやからな…面倒なことになるんや」


「ああ、平等と言う大義名分で型にはめられるなんてごめんだぜ?」


「本当、香坂とノイマンは面白いな。ああ、俺に出来るのは尊重、それが精一杯だ」


「ふっふっふっ、そらナギが惚れるわけやな?」


「ちょっ、ウィラ!ち、ちげーから!?」


「おう、青春しているな?」


「「「HAHAHA!」」」


「先生ありがとうな、これでナギも少しは落ち着くんとちゃうか?」


「う、うっせーよ!」


「「「HAHAHA!」」」───。






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