第59話 チャイナタウンを満喫してから




「いやー、うまかったわ!ナギ、ほんまありがとな!」


「ああ、満足してくれて何よりだよ…本当、よく食ったもんだ」


「そらあんだけおいしいんやから当然やろ?ナギの作るご飯もめっちゃおいしいけどな、たまには外で食べるのもエエな!」


「ああ、青椒肉絲、酢豚、鶏肉のカシューナッツ炒めに麻婆豆腐…本当、この組み合わせが不味いわけねーよ。ところでお前、麻婆豆腐でひーひー言ってたよな?」


「…ちゃうねん、あれな、うちにはちょっぴり辛いだけや。せやけどな、辛いけどめっちゃうまかったわ!…うち、なんか目覚めてもうたかもしれへんで?」


「ようこそ、こちらがわへ…あまりハマり過ぎるなよ?…お尻痛くなるからさ?」


「…うーん、せやけどあのあれや、辛うまっちゅうんか?…あれええやん、なんならおかわりしたかったぐらいやで? ほんでうちのお尻があかんかったらな、そら気合いが足りんとちゃいますか?」


「おい、気合いだけでどうにもならねえよ、このドM」


「どっ、ドMとちゃうわ!」


「「HAHAHA!」」


「ま、あの後にカニチャーハンを追加で頼むし、デザートもペロッといっちゃったし…本当、JKの胃袋は宇宙だね?」


「それな!…せやけど、体重計だけは堪忍してや?」


「あたしもそれには同意する」


「「HAHAHA!」」


「お土産もぎょうさん買ってもうたし、うちらの財布がすっからかんやで?…いや、まだ余裕はあんねんけどな」


「ま、たまには豪勢にいきたかったんだ。ウィラ、あたしのワガママにさ、付き合ってくれてありがとうな」


「ええんやで、うちもワガママ放題やし、ナギに世話なりっぱなしやからな?」


「ワガママ放題と言う自覚はあったんだな」


「うっさいわ!」


「「HAHAHA!」」


「冗談だ、ま、今日はお前をチャイナタウンに連れてきて良かったよ…」


「ナギ、ほんまにありがとうな。…そらええんやけど、なんで急に行こ思ったんや?」


「…ああ、親父が好きでさ、よく連れてって貰ったんだよ。もちろん家族全員で行くこともあったけど、思えば随分と可愛がられたもんだよな…」


「そっか…ナギも家族に愛されとるんやな」


「ああ、あたしもちょっと悪さするクソガキだったけどさ、それでも家族は見捨てないし変わらず愛してくれたんだ…」


「ええね、せやけどな、なんであんたはグレとったんや?」


「あー、それだけどさ、あたしが反抗期だったのもあるけど、まあ学校では目の敵にされてたし、それならいっそ…ってね?」


「そっちの期待に応えてどないすんねん?」


「「HAHAHA!」」


「ま、天の邪鬼なんだよ。何て言うかさ、あたしがなんでそうなったかってさ…そりゃ行き場のねえ奴もいたんだよ。だからさ、あたしが面倒見たくなったのもあるけど、いざ抜けるって考えるのは良いけどさ、こいつらはどうなる?…そう難しく考えちゃっただけの事さ」


「そっか…やっぱあんたおかんやな」


「だろ?…ま、今でも舎弟達とは連絡取ってるよ。意外と言ったらあれだけど、あたしと同じであいつらも真面目にやってるみたいだぜ?」


「なんか突っ込みたいんやけど、あんた真面目なんは事実やからな…委員長会議は完全に元ヤンやったけどな?」


「そう言うお前は任侠映画かよ?」


「「HAHAHA!」」


「ま、なかなか関西弁も便利やろ?」


「ああ、お前が生徒会長やりたがった理由もわかった気がしたよ」


「ふっふっふっ、ほぼうちらの要求通りになったんやからな?…最高に気分ええやろ?」


「性格悪いこと言うね?…ま、あたしもだけどさ」


「「HAHAHA!」」───。





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