第58話 たまには中華を







「ナギー!お疲れ様!乾杯!」


「お疲れ様、乾杯」


「ぷはー!…あかん、コーライッキすんのしんどっ!」


「気持ちはわかる、だけどたまにはいいよな?」


「せやせや…んっ…「おい、おっさん」…しゃーないやろ、下品なのわかっとっけど」


「「HAHAHA!」」


「全く、大人になったらこれがビールになっているんだろうな?」


「せやな、あっちのおっちゃんたちの宴会みてみ?あんな気持ちええ飲みっぷり、見てるこっちも楽しくなるで?」


「わかる、まあ大人になったらあたしらも楽しもうぜ?」


「ふっふっふっ、そん時はナギと一緒に楽しみたいわ」


「ああ、あたしもそう思うよ…よし、まずピータン豆腐か」


「いや、なかなか癖つよなん選んだな?うち、ピータンなんか初めてやで?」


「ああ、癖あるけど豆腐とお酢の効いた醤油だれとの組み合わせが乙だよ」


「あーむっ…んっ、あれや、アンモニア臭と温泉のにおいがするで?これ食べて平気なんか?食べ物なんやろうけど…ん、せやけど、この食感と奥行きのある旨味、ほんでこのクリーミーさがなかなか乙やな」


「うん、これが豆腐と合うからあたしは好きでさ、たまーに食べたくなるのさ」


「ナギの味覚、おっさんとちゃうか?」


「お前がお子ちゃま舌かと思ったら、案外あたしとあんま変わらねえだろ?」


「「HAHAHA!」」


「せやな。ふっふっふっ、ナギ、このよだれ鶏、うちめっちゃ好きやわ…せやけどこれ、油淋鶏や棒々鶏とはちゃうんか?」


「ああ、タレは似たようなもんだけど、油淋鶏は揚げた鶏肉、よだれ鶏は蒸した鶏肉って訳だ。棒々鶏は蒸し鶏にゴマだれかと思いきや、本来はカットの違いなんだってよ?」


「へえー、そうなんか、やっぱナギ凄いなあ…一緒にご飯いくといっつもおもろいわ」


「ああ、ラーメンも良いかなって思ったんだけどさ、今日は何となく中華って気分でね?」


「そらあんたな、ラーメン行こ言うて、なんでか知らんけどうちをチャイナタウンまで連れ回してな、何処のラーメン行くんやろな?と思ったら…全然ちゃうやん!そうはならんやろ!」


「「HAHAHA!」」


「いやさ、中華式の麺料理が食いたくなるじゃん?…色々あるんだぜ?あたしはかん水使ってない本来の中華麺が食いたくてさ」


「あんた、なに頼んだんやっけ?」


「麻婆豆腐と酢豚だな」


「いや、ラーメン頼んでないやん!」


「「HAHAHA!」」


「シェアするし、もしかしたらお前が頼むかもって思ってさ…ああ、ここの酢豚がうめえんだ…」


「そらわかる」


「で、肝心のお前はなに頼んだんだっけ?」


「青椒肉絲と鶏肉のカシューナッツ炒めやな。この彩りもええやん?」


「お前もラーメン気分はどこいったんだよ!」


「あんたが言うな!」


「「HAHAHA!」」


「ま、お前のチョイスもわかる」


「せやせや…おっ、うちの頼んだカシューナッツ炒め来たで…ナギ」


「なんだ?おっ、麻婆豆腐来たぞ」


「なんちゅーか…あれや」


「酢豚も、青椒肉絲も来たな。なんちゅーかって、中華だけに?」


「ちゃうわ!」


「「HAHAHA!」」


「ああ、お前の言いたいことはわかった」


「流石やで…そんなんええねん。これ…一皿一皿がデカイんとちゃうか?これ、うちら食いきれるんか?」


「ああ、あの時に小幡と飯富さん、あと土屋に声かけた方がよかったかもな」


「いっくらうちらが無敵のJKや言うてもな、所詮は小宇宙やで?」


「ま、確かにそうかもしれないが…案外いけちゃうもんだぜ?」


「せやな、悩んだってしゃーないしゃーない!…杏仁豆腐も食べたいんやけど、入るんかな?」


「あたしはマンゴープリンかな?」


「いや、デザートの話とちゃうねん」


「「HAHAHA!」」───。





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