第55話 昼休憩とキツネうどん







「ふっふっふっ…午前中のうち、よう働いたわぁ!ケツネうどんが五臓六腑に染み渡りますな!」


「おう、お疲れ様。せっかくの休日を潰してまでやる委員長会議だからな、予算絡むから仕方ないけどさ…」


「ナギもええ働きやで?…あんたが仕切ってくれたおかげで進行も円滑やったし、ほんまに助かったわ!…流石元ヤンか?」


「ああ、どうやら経験が活きたようだ。それにあたしは意外と根が真面目らしいな」


「せやな、毎日おいしいご飯作ってくれるし、掃除洗濯もばっちりでええおかんや…せやけど真面目言うてもあんた、体育祭実行委員と文化祭実行委員に恫喝しとったやろ?」


「お前も人のこと言えねえだろ?」


「「HAHAHA!」」


「なんでか知らんけど、しょんぼりして目ぇ合わせてすらくれへんで…」


「そりゃそうだろ、あいつら…あんな隅っこで怯えてやがるぜ?………おいお前ら!なに隅っこでビクビク顔色伺ってんだ!?ビビってねえでこっち来いよ?…飯時ぐらい休戦しようぜ?」


「いや、それ余計に怖いんとちゃうか?」


「あ?すまん、さっきの熱が覚めてねえみたいだ」


「「HAHAHA!」」


「…あの…先程はどうも。…私も同席してもいい?」


「ええで。ナギ、保健委員長はん呼んでどないするんや?真面目やから自分やと思って来てまったで?」


「わりぃ、保健委員長さん、あたしはそういうつもりで呼び出した訳じゃねーんだけどさ…ま、歓迎するよ」


「いえ、さっきの事もありますし、あの…私で良かったら仲良くしてくれませんか?」


「おいおい、敬語なんて使わなくてもいいだろ? お前は先輩なんだからさ、もっとシャキッとしろ」


「せやで、うちらに啖呵きれるんやからな、ドンと構えてええんとちゃうか?」


「いや、あれは…つい…本当に怖かったんだからね?…ヤバ過ぎる後輩相手する私の身になってみてよ!」


「「「HAHAHA!」」」


「おいおい、砕けた途端なに先輩面してるんだよ?」


「…えっ、そのえっと…」


「そんなん怯えんでええんやで?ナギの挨拶代わりや…元ヤンやし」


「おい、それ言ったら保健委員長がビビるだろ?」


「あんたたち、生徒会長もそうだけど、そもそも書記長がデカ過ぎてビビらない訳ないでしょ!?」


「そらうちはクォーターやし、ナギは牛久大仏でチョモランマやからな」


「「「HAHAHA!」」」


「あんたたちって、本当…仲良いのね。…うらやましいわ」


「おい、仲良くしてくれって言ったのお前だろ?羨ましがってないで真面目ちゃんらしく考えてみな?」


「せやせや、あんたもビビっときたんやったらな、それ信じてもええんとちゃうか?」


「ああ、あたしもビビっときたからさ、話しかけてみたのがきっかけで仲良くなったんだ」


「ふっふっふっ、知り合って初日からお泊まり会やで?ほんま最高の出会いやったな」


「………いや、凄すぎて何て言ったらいいの?…ふふっ、ビビってる場合じゃないわ。私もビビっときたかもね?」


「「「HAHAHA!」」」


「あんたおもろいこと言いますな?…うちはウィラや。ウィラ・フォン=ノイマンや」


「お前が名乗るってことはさ、気に入ったようだな?…あたしは香坂 凪沙、ナギって呼んでくれ」


「ウィラとナギね…私は原 美守(ハラ ミモリ)。美しい守りと書いてミモリ」


「ええ名前やな、ミモリちゃんよろしゅうたのんます」


「ミモリね、オーライ、よろしくな」


「よろしく…って、私一応先輩だから!」


「「「HAHAHA!」」」


「ところでミモリはん、あんたもケツネうどんか?」


「ええ、ここのキツネ、結構好きなの…ウィラも?」


「そらお揚げがうちの好物なんやから当然やろ?あんたも好きなんか…ふっふっふっ、ケツネ好きに悪い人はおらんで!…知らんけど」


「お前、適当すぎるだろ?」


「「「HAHAHA!」」」


「会長!書記長!…ここにいましたか。例の件、完了しました事を報告します。また、土屋は生徒会室の飯富さんへ報告を上げ、現在まとめているところです」


「小幡か、ありがとう…お前も飯一緒するか?」


「はい、私もキツネにしましょう。会長がおいしそうに食べているので、お腹が減ってきましたよ?」


「そらうちがケツネの話をしとったから来よったんとちゃいますか?」


「…バレた?いや、会長…あれどう考えても飯テロっすよ?私がひとっ走りして交渉している間、ずっと頭のなかで会長がキツネうどん頬張った映像流れてたっすからね?CMっすか!?」


「また濃いのが来た…」


「「「「HAHAHA!」」」」


「そらあんたがうちのケツネの話に食いついたからやろ?真面目か!」


「真面目かって?当たり前っすよ!会長、とりあえずひとっ走りさせたんだから奢るっすよ?」


「ええで、これで食券買ってきぃ?」


「うっす、あざーす」


「ま、ミモリ、そう言うわけだ。約束通り生徒会として動いた。今後も何かあったらすぐ言ってくれよな?」


「ありがとう…ウィラ、ナギ。今度の生徒会、本当に学園のあり方を変えるのかもね?」


「せやせや、ミモリはんうちらに任しときぃ?」


「あと小幡にも礼を言っとけよ?ここにいない土屋にもな」


「うっす、小幡 上総(オバタ カズサ)っす」


「保健委員長の原 美守よ。カズサちゃんって呼んでいい?」


「いいっすよ、ミモリ先輩って呼べばいいっすか?」


「…ミモリ先輩…あぁ、なんて素敵な響きなの!カズサちゃん、ありがとう。よろしくね」


「よろしくっす、あ、会長。キツネうどん、キツネマシマシごっつぁんでーす」


「いや、あんたケツネ乗せすぎとちゃうか?バランス悪すぎやろ?うどんはどこいったんや?チャーシュー麺と間違えとるんとちゃうか!?ってかな、それ出来るんかい!?」


「会長が羨ましがると思ったんで。あ、釣りはないっすよ?いただきまーす」


「釣りはええねんけど、アホか!」


「「「「HAHAHA!」」」」───。





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