第51話 委員長会議 保健委員会の場合
◇
「保健委員会、あたしからの提案だ。…ああ、そう構えなくていい、悪い話じゃないからさ?」
「は、はい…続きをお願いします」
「ああ、聞いて驚くなよ?…生徒会として、保健委員会に対し、臨時予算の追加を提案する」
「………はい?いまなんて言いました?」
「保健委員長はん、うちらは予算を増やす言うとるんや。これからスポーツ祭、学園祭があるやろ?他にもうちらの学園、年間行事が多いからな、ほんなら応急手当てやAEDの講習を受けてもらわなあかんし、なんなら外部に依頼せんとやろ?」
「いま挙げた例もそうだが、健全な学校教育を培う為、未成年の飲酒・喫煙に関する法規、およびリスクに関する啓発が必要だ。今までのように誰も見やしないポスターなんか貼っても変わらねえだろ?」
「ナギ、あんたが言うと…なんか妙な説得力があるんとちゃうか?」
「うるせーよ!」
「「「「「HAHAHA!」」」」」
「あの…生徒会の提案はとてもうれしいのですが…」
「あんたの言いたいこと、わかるで?委員会に人だけはおるんやけど、内実は烏合の集なんやろ?」
「担任によって半強制、ただ内申点の為、または部活優先したいからって委員会の集まりをフケるんだろ?」
「はい、日頃から協力するようお願いしているのですが…中々うまくいきません。私の力不足で…」
「別にあんたが悪いなんてうちら言うとらんで?真面目に考え過ぎるんとちゃうか?」
「…生徒会長の言うように保健委員長、お前は真面目だけどそれじゃあリーダーの器じゃねえな?」
「ユーモアセンスなんてあらへんやろ?自分で余裕無くしてどないすんねん?」
「「HAHAHA!」」
「ちょっと、言い過ぎじゃないですか!?真面目にやって何が「「黙れ!」」………」
「クソ真面目か!」
「真面目気取りもいい加減にしろよ、おい?」
「「HAHAHA!」」
「あんた、真面目ちゃんなのはええんやけど、それ…自分以外に求めすぎるんとちゃうか?」
「結果お前は孤立した、誰も協力してくれないと思い込み、全部自分でやろうとして破綻する訳だ。見えてねえし、気付けねえんだろ?よくあるクソ真面目だよ」
「…あんた達に何がわかるんですか?」
「そんなんうちにはわからんで?」
「はぁ!?」
「ああ、人の気持ちがわかるほどあたしら人間出来てねーんだよ…だけどお前とは違って己の力量は弁えているつもりさ?」
「せやけど保健委員長はん、うちらは生徒会やし、うちは生徒会長なんやで?」
「…だからなんですか?人の気持ちがわからないで何を偉そうに言ってるのよ!私よりも年下のあなた達が、私の事を馬鹿にしてるの!?」
「お前本当に頭でっかちだな?生徒会が何のためにあるのかわからねえのか?」
「せやで?うちら生徒会はな、生徒達の為にあるんや。あんたを含めた生徒達の代弁者たるうちがな、何とかしたる言うてもなんもわからへんのか?いっぺん頭冷やしとき?」
「まあウィラ、落ち着けよ…よしよし」
「ナギ、撫でられて嬉しいんやけどな…今、うちら人前やから…めっちゃ恥ずいんやけど?」
「お前に恥じらいなんてもの、あったんだな?」
「そらあるに決まっとるがな!」
「「「「HAHAHA!」」」」
「ま、そんな訳だ。こんなこともあろうかとさ、各委員会活動の協力要請ならよ、うちの小幡、土屋を中心に動かしているからさ、今日中には伝わるだろう。…それでも効果が不十分だったらさ、改めてあたしらが出るよ?」
「せやな、そこまでやってもあかんかったらな、部活の顧問をはじめとした一部の教員がな、生徒の自由を拘束して健全な学校教育を妨げているっちゅうことで、教育委員会に訴えたるから安心しぃ?」
「と言うことだ…保健委員会への臨時予算の追加に賛成の方は、挙手をお願いします………はい、可決」
「そう言うわけやから保健委員長はん、既に養護教諭はんの方に資料届けておいたからな、後で確認しぃ?」
「…は、はい…あ、ありがとう…ございます…コワカッタ…」
「そう怖がらんでもええんやで?うちらは鬼とちゃうねん」
「いや、さっきの体育祭と学園祭実行委員へのあれは?」
「…知らん、ほんなら次の方…」
「忘れろ、あたしら記憶の新陳代謝が活発でね?」
「「「「「HAHAHA!」」」」」
「と言うわけで詳細については確認後、またじっくり話そうか?…真面目ちゃん」───。
◇
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