第50話 委員長会議 学園祭実行委員の場合
◇
「…学園祭実行委員、模擬店についてだが…生徒会としては現金の取り扱いを不可としたい」
「金銭トラブルを防ぐ意味合いもあるんや。ほんなら学園祭当日のみ有効の入場券やろ? 模擬店で現金代わりのバウチャーチケット制が無難やとちゃうか?」
「生徒会の提案には賛成です。入場者数の把握、整理、計算等管理しやすいですので。そう言えば生徒会は、プール開放のときに試したんですよね?」
「ああ、先行テストの結果は上々だ。学園祭について、生徒用の入場券は無料配布する。一般用とはデザインが違うから、譲渡は不可だ」
「バウチャーチケットも購買部にて先行販売するで。100円券11枚組を1000円で販売や」
「一般用の入場券は500円…ちょっと高いのでは?」
「そらな、セキュリティの観点から必要やろ?プール開放で試して結果は出とるんやし、生徒の安全・安心が最優先なんとちゃうんか?」
「で、この学祭の予算を使って誰を呼ぶんだ?今、旬の芸人呼びたい?アーティスト?………却下」
「いや、ちょっと待ってくださいよ!?学園祭実行委員の努力が水の泡に「「黙れ!」」………」
「あんたな、学園祭の目的はなんや?」
「それは…人間関係の形成と、集団生活とか学園にいる事による連帯感、達成感とか…」
「よくわかってねえのに会議に出席か?…舐めてんのか?」
「うちの素人意見であれやけど、学園祭っちゅうたらな、文科省の定める学習指導要項があるやろ? 一つ、人間関係を上手く形成する事。二つ、集団生活で、所属しているっちゅう実感や連帯感を深めること。三つ、公共の精神を培ってより良い学園生活を築くこと…おおよそこの3つの目的があるんとちゃいますか?」
「はい…そうです」
「で、旬の芸人やアーティストを呼びたい、それは良いとして…お前ら、どうやって入場者を管理するんだ?お前ら学園祭実行委員だけでは不可能じゃないか?」
「それは学園行事なので全校生徒一丸に…」
「あんた、なに勘違いしとるんや?あんたら学園祭実行委員のエゴとな、生徒の間でズレとるっちゅうのがまだわからんのか?」
「だから管理・運営上に生じるセキュリティの観点からある種の入場規制を兼ねた有料制、これだけは生徒会としては譲れねえぜ?」
「…わかりました、有料の入場券、バウチャーチケット導入の理由は理解できました」
「ほんであんたらが呼びたいっちゅう芸人?…あれ、どこがおもろいんや?…ほんまに呼ぶんやったらな…学園祭実行委員、あんたら金返せや!」
「そもそもそんな事やってクソみてえな出費で赤字だろ?…ここの学費さ、調べてみたら年々上がっているんだよ…おい、学園祭実行委員、なんか思い当たる節があるんじゃねーのか?」
「………それは、生徒の要望を…」
「うちも色々聞いて回ったんやけどな、あんたらな…こんなんヒアリングになっとらんやろ?アホか!」
「もういい、話にならねえな…採決とるぞ?…学園祭の入場券有料、およびバウチャーチケット制に賛成は手をあげろ………はい、可決」
「ほんじゃ学園祭実行委員の方、詳しいことはまた後で話そうな?…覚悟しときぃ?」───。
◇
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