第47話 浴衣と線香花火と
◇
「ナギ、あんたどの花火が好きなん?」
「あたしか?そうだな…」
「そんなん悩むことちゃうやろ?あれか、やっぱロケット花火か?あんた元ヤンやし?」
「元ヤンだからって、ロケット花火が好きそうなのは安直すぎないか?」
「ちゃうんか?ほんなら爆竹か?人に向かって投げたらあかんで?」
「いや、投げ………うん、なんでもない」
「やってたんかーい!」
「「HAHAHA!」」
「そりゃさ、あたしも反抗期だったし、ちょっとイタズラ心はあったさ…職員トイレに爆竹とか…うん、流石にあれはやりすぎた」
「ちょっとイタズラが過ぎるんとちゃうか?」
「ああ、なんでかわからねえけど、すぐにバレてあたしだけ職員室に呼ばれたよ」
「そら…あんたみたいに牛久大仏でチョモランマ、他におるわけないやろ!目立たん訳あるか!」
「ああ、何故かスーツに着替えていたあの先公を見たら笑っちゃってさ…」
「そらびっくらこいて撒き散らしたんやろな」
「ああ、想像したらツボにはまってさ、言わなくても良いのに余計な事言ったら…親呼ばれたよ」
「そら一歩間違えたら大惨事やからな、そんだけで済んでよかったんとちゃうか?」
「ああ、流石に親にも怒られたよ」
「そらそうよ、せやからナギ…悪いことなんかしたらあかんで?うちと約束しぃ?」
「ああ、流石に懲りたし、そういう時期もあった…今はお前のおかげで真面目ちゃんだよ」
「ふふっ、うちはナギのことしっかり見張っとるから安心しぃ?」
「それはどうも、お前から目を離すと何が起きるか心配でね?」
「「HAHAHA!」」
「そらあんたはうちのおかんやからな。…ほんであんた、話の続きやけどなに言うたんや?」
「ああ、いつもあたしと変わんねえぞ?」
「いいから言うてみ?」
「お前、肝っ玉もキ〇タマも小さいんだな?おい粗〇ン、お前の大事なお粗末な息子ぐらいさ、マ〇かいた汚ねえ手でちゃんと握っとけ?なんだ、握るほどもねーってか?そりゃ撒き散らすよな、粗チ〇のポークピッツじゃ世話ねーな!使う相手を泣かせるなよ?…あ、泣くのは粗〇〇のお前もだったわ、恨むなら親でも恨みな?」
「「HAHAHA!」」
「そら下品過ぎるんとちゃうか?」
「お前も人のこと言えねーだろ?」
「「HAHAHA!」」
「せやけど親出したらあかんやろ?遺伝かもしれへんけど」
「ああ、そりゃあたしの親も出る羽目になったって訳さ」
「「HAHAHA!」」
「ほんでナギ、あんたはどの花火が好きなんや」
「なんだかんだ線香花火…かな?」
「似合わなっ!あれか、牛久大仏だけに線香…花火かいな?」
「おい!大仏関係ねーだろ!」
「「HAHAHA!」」
「ごめん、冗談や、そう怒らんといてな?」
「いいよ、ま、あたし意外とロマンチストなんだよ」
「せやな、それ言うたらうちもやけどな。線香花火ってな、もう夏終わるんやな…って感じるやろ?」
「ああ、なんでか知らねーけど、美しくも儚くてね…気に入っているんだ」
「夏は夜やからな、風流やろ?あんたと同いでおセンチに浸りたいんや…」
「そうだな…ところで、おセンチって古すぎないか?お前何歳だよ?」
「15の夜やで?うちのばーちゃんな、よう使っとったわ」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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