第46話 お面を被ったら
◇
「ふっふっふっ、お面って便利やな。これナンパ予防に役立つんとちゃうか?」
「ああ、狐面を被ったキツネ顔美人ね…よく似合ってるよ」
「そらナギが選んでくれたんやから当然やろ」
「ああ、派手すぎず、それでいて奥ゆかしい感じで浴衣と調和している」
「ふっふっふっ、奥ゆかしい言うてうち、褒めごろしとちゃうか?そら、うちは気品に溢れておるからな」
「ああ、口を開けば性格悪くて厚かましいけどな」
「せやな!…って、なんでやねん!」
「「HAHAHA!」」
「お前が選んでくれた面、なかなか良いセンスだぜ?………般若面、よく似合うだろ?」
「そらあんた、鬼やから先祖帰りとちゃうか?」
「おう、ごらんの通り鬼は外だぜ?…おいウィラ、なんかお前の悪意を感じるんだけど?」
「豆投げたろか?」
「もう終わってる!」
「「HAHAHA!」」
「それ言うたらあんたもノリノリで被ってたんとちゃうか?お面屋のおばちゃん、めっちゃ笑っとったがな」
「ああ、今時古風なチョイスだからそりゃそうだ」
「なんならうちら、高身長やからか知らんけど、外人はんと勘違いされとったからな?日本語上手って褒められたの、うち初めてやで?」
「いや、お前、クォーターなの忘れてないか?」
「ほんまや!」
「「HAHAHA!」」
「おい、それより遊びの方はいいのか?」
「金魚すくいもええけどな、うちもって帰られへんで?飼えへんし、亀だってそうや。かわいそうと思うのは勝手やけど、そんなんとちゃうねん」
「ああ、それはわかる」
「遊ぶのはええけど、持ち帰れん、飼えへんからってな、その辺の池や川に放すわけにもいかんやろ?外来種放ったら在来種がどうなるかわからへんし、そうなったら生物多様性がめちゃくちゃになるんやから、そらあかんやろ?」
「外来種の駆除、根絶は簡単な問題じゃないからな…」
「ま、そんな真面目な話はええねん。ナギ、射的やらんか?」
「良いねえ、勝負でもする?」
「………そら遠慮するわ」
「おいおい、遠慮するなよ?」
「遠慮するで?あんたのリーチにうちが勝てる訳あらへんやろ!?」
「「HAHAHA!」」
「牛久大仏の不戦勝だな」
「それな!せやから適当に楽しむで。おっちゃーん!二人分な!」
「おっ、でっかい美人なねーちゃん達だな!?弾おまけしといてやるぜ!」
「おっちゃんありがとな!せやけどサービスし過ぎちゃうか?おっちゃんのタマが無くなってへんかうち心配やで?」
「ねーちゃん心配いらねえぜ?俺のじゃないからな!」
「「「HAHAHA!」」」
「全く、お前は絶好調だな…よし、これ狙うか」
「でっかいねーちゃん、それは勘弁してくれ…目玉商品が無くなったら商売あがったりだ」
「細工してあるから大丈夫だろ?」
「ねーちゃん、それ言っちゃおしまいよ?内緒だぞ?」
「「「HAHAHA!」」」
「ほんならうちは…エアガン狙ったろか?」
「捕ってどうするんだ?人に向けて撃つなよ?」
「そらあんたじゃあるまいし…あれや、装備をグレードアップするやろ?ほんでBB弾装填して撃つやろ?」
「ねーちゃん、それはおっちゃん商売あがったりだから勘弁してくれ」
「冗談や」
「「「HAHAHA!」」」───。
◇
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