第43話 プール開放







「ふっふっふっ、ようやくうちらの水着、お披露目がかなったで」


「ああ、海は行けなかったけど、学校のプールを開放するのは良い手だ」


「せやせや、うちの学校な、せっかくプールが二つあるんやから使わんともったいないで?」


「ああ、屋内プールは部活専用に、野外は部活動の休みと相談するローテーションを組んで、空きがあれば有料で開放ね…いや、なに金取ってんだよ?」


「そらプール使っておいてロハはありえんやろ?うちら生徒会で部活動の活動日を把握せなあかんし、監視員の代わりにライフセイバー部の部員配置するやろ?ほんで使ったら誰が掃除するんや?使うだけ使ってほなさいなら…そんなんやったらな、閉鎖しといた方がマシやで?」


「確かにそうだな。使うだけで金がかかるし、維持するだけでも大変だからな」


「せやせや、水質維持だけでも一月で諭吉はんやろ?」


「意外と金がかかるんだな」


「受付担当やろ、監視員にライフセイバー部やろ、それと掃除に協力する有志やろ?ほんなら礼として部費の足しにしてもらわなバチ当たるで?…それにな、ロハにしてみ?変な客ばっか来て面倒なったら困るやろ?」


「ああ、確かにそうだ…本音は?」


「金取る言うたらケチンボが来やせん、せやから今はうちらで広々と貸し切りや」


「ああ、だからわざと面倒な手続きするようにしたのか…性格悪っ!」


「「HAHAHA!」」


「そらそうよ、生徒会が管理に関わるんやから当然やで?」


「夏休みのみ有効のチケット製ね。チケット買うのに購買部まで行かなきゃいけないし、学生証が必要だからセキュリティ面で安全だ。そして売上金の一部は生徒会のものね…」


「正確にはチケット製作に関わった部活動との山分けやで?」


「で、販売価格は一枚400円、三枚組で野口さんか」


「一人で三枚のお徳用買ってもええけど、有効期限内までやし、受付通るときも一人一人学生証を掲示せなあかんからな」


「面倒だけど、安全と安心の為ね…そろそろ他の連中も入ってくる頃か」


「騒がしくなってくるやろな…うちらを見て職権濫用言い出すんとちゃうか?」


「先行販売チケットを自腹切って買ったけどな…ま、役得だよ、役得」


「あと協力してくれた部活動にも先行販売したやろ?」


「ああ、三枚組一枚限定で500円ね…ま、良心設定だな」


「ま、転売防止にシリアルナンバーも振ってあるからな、足がつくやろし出来るだけの事はやったで?」


「全く、財政改革を含めてよく動くな。この分だと学祭、体育祭も同じこと考えているんだろ?」


「せやで?学園側でプロのカメラマン雇うのは別やけど、例えばな、ええ場所で写真取りたい言うんやったらな、そら有料にせんとトラブルの元やろ?マナー云々抜かすよかな、そもそも性善説なんか信じたらあかんで」


「性格の悪い生徒会長さんのおかげで学園は健全だね?」


「それ言うたら書記長が元ヤンなんやけどな?」


「「HAHAHA!」」


「おっ、なんかやって来たな?………おい、お前ら、水着はどうした?」


「あっ、大仏さんに生徒会長!写真部です!生徒会長からの依頼で撮影ですよ」


「おっ、写真部はん、今日はよろしくたのんます。うちらをかわいく撮ってな?」


「はい!よろしくお願いします!」


「おいおい、お前はグラビア撮影でもするつもりか?…おい、お前いまうちらって言ったよな?」


「せやで?もちろんナギも撮るんやで?」


「おい、あたしもかよ!聞いてねーぞ?」


「そらうちが許可したけどな、ナギには話しとらんかったわ…」


「おいっ!それ先に言えよ!」


「「HAHAHA!」」


「先に言うたらあんた絶対協力してくれへんやろ?」


「そりゃそうだろ?おいおい、お前ら正気か?」


「ええ、当然ですよ!大仏さんと生徒会長のように美人なモデルさんを被写体に出来るなんて…夢のようです!それに生徒会長がわざわざ僕達に声をかけてくれたものですから…写真部始まって以来の黄金期です!」


「ふっふっふっ、ナギ?」


「なんだ?」


「ここまで言われてあんたは何も思わんのか?」


「大仏さん、どうかお願いします!我々写真部が、最高に綺麗で美しく凛々しいあなたを収めたいんです!…どうか何卒!」


「わかったわかった、お前らがそこまで言うならあたしも一肌脱いでやる」


「なんや、あんたヌード撮影でもするんか?」


「いや、これ以上何も脱がなくて大丈夫です…」


「脱がねーよ!」


「「「「HAHAHA!」」」」


「ほんで写真集出来たらな、学園内で売って関係者で山分けするで?」


「諸経費を引いて…どうなるんだ?」


「モデルのうちらで半分、あとは写真部、新聞部、パソコン部等々で等分するんや」


「おいおい、ギャラ取りすぎじゃねーか?」


「それは当然ですよ、スーパーモデルにしては安すぎるぐらいですからね。むしろ、ブロマイドの方も生徒会と契約しましたので、良い写真撮って部費を調達出来ますからね」


「もちろん売った分はな、生徒会にロイヤリティが入るんやで?」


「よく出来てるな…経済ぶん回す生徒会って初めて聞いたぜ?」


「「「「HAHAHA!」」」」


「ほんじゃ早速…撮影始めましょか」


「おい…」


「なんや?ナギ、どないしたんや?」


「グラビア撮影初っぱなでずぶ濡れだけど…いいのか?」


「そらな、水着着とるんやから当然やろ?水の滴るええ女やで?」


「ああ…うん、とりあえず撮影そのものはノープランだったんだな」


「うっかりしてもうたわ…ってかナギ、あんた意外とノリノリやな?」


「うっ、うっせーよ!」


「「「「HAHAHA!」」」」───。




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