第42話 低温やけど注意
◇
「ウィラ、そっちはどうだ?」
「使わん備品の山やで?こんなん後生大事にとっといてどないするんや?いらんならほおらんかい!」
「だよな、生徒会室も酷いけどさ、家庭科部も大概だな…アトオマエノヘヤモナ…」
「せやせや、なんか最後聞こえたけど、そらええねん。生徒会室に比べたらかわええもんやろ? あっちはいちいち書類確認せなあかんしで大変やったわ…」
「それに比べてこっちは備品のチェック、在庫管理、あとは私物等の処分だけど…棚卸しかこれ?」
「それな。しっかしこれな、思ったより多すぎるんとちゃうか?なおすこっちのみぃなって欲しいわ」
「ああ、お前の部屋を片付けたあたしの身にもなって欲しいね?」
「ちゃ、ちゃうねん…そらあれや、いつかまとめてガーッとな、やろうとは思ってたんやで?」
「お前、部屋の中に何枚もパンツが転がっていたよな?」
「そ、そらちゃうねん…後で洗濯カゴに入れようと思って忘れておったんや…」
「忘れたまま洗濯カゴすらいれてねぇのによ、いつやるんだって?パンツをそこら中に脱ぎ散らかしてよ、現代アートか?」
「「HAHAHA!」」
「もう堪忍してや、あんたはうちのおかんか!…いや、おかんやったわ…」
「全く、あたしと出会わなかったらどうなっていたんだろうな?心配だぜ…」
「ほんまやで、いつもありがとな」
「いいって、お前も頑張っているの知ってるからさ…よし、再開するぞ」
「ナギナギナギ!」
「どうした?Gでも出たか?」
「ちゃうわ!」
「「HAHAHA!」」
「これみてみ?誰が置いたんか知らんけど、これいつのカイロや?使用期限とっくに過ぎとるがな!」
「本当だ、よくあるよなぁ~…ぶふっ!HAHAHA!」
「なんや?あんたいきなり吹き出してどないしたんや?うちなんかおもろいこと言うたか?」
「ごめんごめん、いやさ、今まで意識してなかったんだけどさ…『低温やけど』注意って書いてあるだろ?」
「せやな、『低温やけど』がどないしたんや?うちなんもおもろいこと言うてないで?」
「ぶふっ!HAHAHA!」
「せやからどないしたんや?ナギ、あんた暑さにやられて頭イカれたんとちゃうか?」
「…ああ、ある意味どうかしているかもな。お前と出会うまではさ、『低温やけど』注意って書いてあってもなにも思わなかったけど…」
「けどなんや?『低温やけど』注意がなんかおもろいんか?」
「やめろ、ウィラ…お前、なんも…しゃべるな…ぶっ、HAHAHA!」
「なにがおかしいんや?『低温やけど』…「HAHAHA!」…あんたうっさいわ!『低温やけど』「HAHAHA!」………注意書いてあるだけやろ?なにツボっているんや?あんたほんまおもろいな」
「…はぁ…はぁ…いや、悪い悪い。お前関西弁だろ?」
「せやで、そらうちの魂そのもんやからな?こっち来てから聞いた標準語なんてな、起源が明治時代からのぽっと出とちゃうか?そんなんうちにとって関西弁が標準語に決まっとるやろ?そら京言葉と同じであんなんと歴史がちゃうわ」
「そうだな、お前のおかげで『低温やけど』注意が関西弁にしか見えなくなったんだよ」
「…あー、そういうこと…って、それ関西弁ちゃうわ!」
「「HAHAHA!」」
「本当、お前と出会ったからなんでもないことでも楽しいよ」
「ふふっ、ありがとな…あかん、うちもこれ…関西弁に見えて…ぶっ!HAHAHA!」
「お前もツボに入ってるじゃねーかよ!」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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