第42話 低温やけど注意







「ウィラ、そっちはどうだ?」


「使わん備品の山やで?こんなん後生大事にとっといてどないするんや?いらんならほおらんかい!」


「だよな、生徒会室も酷いけどさ、家庭科部も大概だな…アトオマエノヘヤモナ…」


「せやせや、なんか最後聞こえたけど、そらええねん。生徒会室に比べたらかわええもんやろ? あっちはいちいち書類確認せなあかんしで大変やったわ…」


「それに比べてこっちは備品のチェック、在庫管理、あとは私物等の処分だけど…棚卸しかこれ?」


「それな。しっかしこれな、思ったより多すぎるんとちゃうか?なおすこっちのみぃなって欲しいわ」


「ああ、お前の部屋を片付けたあたしの身にもなって欲しいね?」


「ちゃ、ちゃうねん…そらあれや、いつかまとめてガーッとな、やろうとは思ってたんやで?」


「お前、部屋の中に何枚もパンツが転がっていたよな?」


「そ、そらちゃうねん…後で洗濯カゴに入れようと思って忘れておったんや…」


「忘れたまま洗濯カゴすらいれてねぇのによ、いつやるんだって?パンツをそこら中に脱ぎ散らかしてよ、現代アートか?」


「「HAHAHA!」」


「もう堪忍してや、あんたはうちのおかんか!…いや、おかんやったわ…」


「全く、あたしと出会わなかったらどうなっていたんだろうな?心配だぜ…」


「ほんまやで、いつもありがとな」


「いいって、お前も頑張っているの知ってるからさ…よし、再開するぞ」


「ナギナギナギ!」


「どうした?Gでも出たか?」


「ちゃうわ!」


「「HAHAHA!」」


「これみてみ?誰が置いたんか知らんけど、これいつのカイロや?使用期限とっくに過ぎとるがな!」


「本当だ、よくあるよなぁ~…ぶふっ!HAHAHA!」


「なんや?あんたいきなり吹き出してどないしたんや?うちなんかおもろいこと言うたか?」


「ごめんごめん、いやさ、今まで意識してなかったんだけどさ…『低温やけど』注意って書いてあるだろ?」


「せやな、『低温やけど』がどないしたんや?うちなんもおもろいこと言うてないで?」


「ぶふっ!HAHAHA!」


「せやからどないしたんや?ナギ、あんた暑さにやられて頭イカれたんとちゃうか?」


「…ああ、ある意味どうかしているかもな。お前と出会うまではさ、『低温やけど』注意って書いてあってもなにも思わなかったけど…」


「けどなんや?『低温やけど』注意がなんかおもろいんか?」


「やめろ、ウィラ…お前、なんも…しゃべるな…ぶっ、HAHAHA!」


「なにがおかしいんや?『低温やけど』…「HAHAHA!」…あんたうっさいわ!『低温やけど』「HAHAHA!」………注意書いてあるだけやろ?なにツボっているんや?あんたほんまおもろいな」


「…はぁ…はぁ…いや、悪い悪い。お前関西弁だろ?」


「せやで、そらうちの魂そのもんやからな?こっち来てから聞いた標準語なんてな、起源が明治時代からのぽっと出とちゃうか?そんなんうちにとって関西弁が標準語に決まっとるやろ?そら京言葉と同じであんなんと歴史がちゃうわ」


「そうだな、お前のおかげで『低温やけど』注意が関西弁にしか見えなくなったんだよ」


「…あー、そういうこと…って、それ関西弁ちゃうわ!」


「「HAHAHA!」」


「本当、お前と出会ったからなんでもないことでも楽しいよ」


「ふふっ、ありがとな…あかん、うちもこれ…関西弁に見えて…ぶっ!HAHAHA!」


「お前もツボに入ってるじゃねーかよ!」


「「HAHAHA!」」───。





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