第41話 若葉マーク
◇
「ナギ、また校則違反で呼ばれたんか?」
「ああ、今回は笑い半分、怒り半分と賛否両論さ」
「そらあんたな、免許取って嬉しいのはわかるんやけどな…」
「ああ、事前に申請しておくのを忘れていたよ」
「一応バイク通勤は許可制やからな…そらええねん。なんやこれ?」
「なかなかシブイだろ?」
「いや、めっちゃダサいわ」
「おいおい、ストレート過ぎるぜ?」
「「HAHAHA!」」
「そらな、三段シートにエビテールやろ?なんや、折角の旧車を冷凍エビフライみたいな見た目にしてかっこええってな…美的センスおかしいんとちゃいますか?」
「冷凍エビフライって…、お前のセンスもどうかしてるぜ?」
「「HAHAHA!」」
「せやろ?ほんでこのロケットカウル、これシュッとしててええな!イノウエか?」
「そっちはいいのかよ…」
「せやせや、昔のカフェレーサーっぽくてお洒落さんやろ?まるで映画の世界やで?…前だけな」
「ああ、なかなかシブイだろ?…ってかお前、なんでイノウエロケット知ってるんだよ?」
「そら乙女の秘密やで?」
「カマトトぶりやがって…」
「「HAHAHA!」」
「ほんでナギ、あんたの地元やとな、もっと高く積み上げるもんとちゃうか?」
「よく知ってるな…ま、そうだけどさ、カウルを上に高く伸ばし過ぎると風は切れねえし、ライトは意味ねえし、おまけに邪魔だし夜は暗いしで前がよく見えねえからさ、あたしはやってねえよ」
「そらゾッキーが蛇行運転する訳やな。あんたが単コロ転がして帰ってくるん言うからな、七夕祭りでもやってくれるんかと思ったで?…もう終わっとるけど」
「「HAHAHA!」」
「確かにそうだよな…いや、それよりさ…」
「なんや?」
「お前、なんで妙に詳しいんだよ?」
「「HAHAHA!」」
「そら乙女の秘密やからな?」
「はいはい…ま、あたしの予想だが、親戚にバイク好きでもいるのか?」
「せやで?ようわからんけどな、そらあのおっさん、あんな楽しそうに話すもんやからな、うちもちょびっと気になって色々調べてもうたんやで?」
「なるほどね、ようやく府に落ちたよ」
「それな。ほんであんた、単コロ転がして来たのはええ。申請しとらんあんたが悪いのはわかる。せやけどな、他に何があかんかったんや?吸排気はなんも弄っとらんやろ?見た目は冷凍エビフライやけど、真面目か!?」
「お前の突っ込みどころ、なんかおかしくないか?」
「「HAHAHA!」」
「ええねんええねん。あんたのセンスが冷凍エビフライなのはともかくな、騒音規制内やけど単コロに詳しくない石頭にマフラー外せ言われたんとちゃうか?」
「お前、エスパーか?」
「うちも流石にスーツケースは無理やな」
「お前もあたしと変わらねえな」
「「HAHAHA!」」
「ほんなら今から機械科のとこ、いこか?」
「何が始まるんだ?まさか…本当にマフラー外すのか?」
「なんか知らんけど、あんたの単コロ用のレーシングマフラーがあったで?合うか知らんけど」
「なんで知ってるんだよ…」
「そらうち、夏休み開けたら生徒会長やし、挨拶ついでに色々とヒアリングして回ったんやで?」
「お前のバイタリティーがすげえよ…」
「そういう訳や、あんたの単コロでニケツしてこか?」
「ウィラ、あたしはまだ免許取り立てなんだけど?」
「ここ学校関係者しか通らん敷地内やからな、道路扱いちゃうし問題あらへんとちゃいますか?…知らんけど」
「お前さ…」
「なんやなんや?」
「ただ合法的にニケツしたいだけだろ?」
「せやで?」
「「HAHAHA!」」
「全く、とんだ新生徒会長だぜ」
「そら新書記長があれやからちょうどええやろ?」
「違いない」
「ほんなら行きましょか?…この三段シートな、だっさいけど一度乗ってみたかったんや」
「ああ、気持ちはわかるが…あんまり寄りかかるなよ?…折れるから」
「危なっ!」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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