第38話 牛久大仏は、ちょっとヤンチャでした…
◇
「はあ…、夏休みだって言うのにさ、クソ真面目に生徒会、部活の集まりで登校か…。おいおい、本当にあたしかこれ?」
「そらナギはナギやろ?あんた中学時代はどないしとったんや?」
「ああ、そうだな…金髪が似合う程度?」
「ヤンチャしとったんか?…いや、そら今も変わらへんやろ?」
「違いない、朝から真面目に登校なんてしてなかったし、いつも自由登校だったよ?」
「夏休みとあんま変わりまへんな?」
「「HAHAHA!」」
「思えばあの時はさ、学校なんか真面目に行ってなかったな…。行ったら行ったでさ、暇をもて余してありがたい説教するおっさんにうんざりさ…」
「あんたただでさえ目立ちおるし、身体中に古傷だらけやし…ほんまにヤンチャやったんやな?」
「ああ、すぐに手が出るクソガキだったからな…おかげで舎弟には恵まれたよ…まるでカルガモの親子だぜ?」
「「HAHAHA!」」
「そら地元に戻りたがらんし、現住所も知られたくない訳やな?ほんまあんたの綺麗な顔がな、傷もんにならんかっただけ奇跡とちゃいますか?」
「ああ、ありがたいことにこの身長に助けられたよ」
「あんたの顔面まで届かんっちゅう訳やな?」
「そういうことさ」
「「HAHAHA!」」
「ふふっ、これからも傷もんにしたらあかんで?気ぃつけ?」
「わかったよ。それはそうとさ、今思えばよくここに入れたもんだよ」
「いや、あんた地頭ええんやからなんとかなったんやろ?」
「試験の結果が全てだからな、詳しくは知らないさ。ま、ここは面接だったら突出した一芸に秀でている事、平均点よりも個性・特性を評価してくれるからありがたいさ…おかげで受かったと思いたいね」
「個性言うても、今んとこ金髪に染めたらあかん校則なんやけどな」
「そうだった…」
「「HAHAHA!」」
「ま、校則はええねん。他にも思い当たるとしたらな、あんたの実家…お金持ちやろ?」
「ああ、広い平屋でさ、小さい頃は二階建て、三階建てに憧れたよ」
「あんたの小さい頃って…G〇DZILLAくらいのサイズとちゃうか?」
「いや、まあ言いたいことはわかる。牛久大仏はもっとデカイからな…って、おい!」
「「HAHAHA」」
「冗談や、そらナギの経済状況が不思議やったからな」
「ま、バイトのような事もしているけど、仕送りには困っていないさ」
「そら服を作ってオークションサイトで販売しとるし…、雑所得扱いの範囲でやってるんやな?」
「ああ…ま、あまり大きな声では言えない程度には潤っているさ」
「モグリのまんまやとあかんで?…あ、それ学園側として部費、生徒会費で扱えば問題にはならへんな?」
「ああ…なるほど、あたしは必要経費だけいただけば良いって訳か」
「そう言うことや、知らんけど」
「「HAHAHA!」」
「今度は法律の勉強かよ…ま、知らずにやらかしたくは無いからなぁ」
「せやせや、うちもよう知らんから一緒に勉強しましょか?」
「ああ…しかし、あたしが真面目に高校生やるなんてな、本当に驚くよ」
「そら校則違反はともかくな、自分思ってる以上に有能なんやからな?ほんなら学を身に付けなもったいないお化けが出てまうで?」
「そうだな。おかげ様であたしも一応だけど、優等生扱いだよ」
「昔を知るもんからしたら七不思議やろな?」
「妖怪一反木綿、動く牛久大仏、職員室の常連、更正した元ヤン…おい、もう折り返したぞ?」
「「HAHAHA!」」
「あんた、牛久大仏気に入っとるんかいな?」
「ああ、最初は嫌だったけどさ…今では親友のようなものさ?」
「…そらうちもやろ?」
「もちろんさ、天使を騙る性格の悪いペテン師だけどな?」
「誰が性格の悪いペテン師や!」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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