第38話 牛久大仏は、ちょっとヤンチャでした…







 「はあ…、夏休みだって言うのにさ、クソ真面目に生徒会、部活の集まりで登校か…。おいおい、本当にあたしかこれ?」


「そらナギはナギやろ?あんた中学時代はどないしとったんや?」


「ああ、そうだな…金髪が似合う程度?」


「ヤンチャしとったんか?…いや、そら今も変わらへんやろ?」


「違いない、朝から真面目に登校なんてしてなかったし、いつも自由登校だったよ?」


「夏休みとあんま変わりまへんな?」


「「HAHAHA!」」


「思えばあの時はさ、学校なんか真面目に行ってなかったな…。行ったら行ったでさ、暇をもて余してありがたい説教するおっさんにうんざりさ…」


「あんたただでさえ目立ちおるし、身体中に古傷だらけやし…ほんまにヤンチャやったんやな?」


「ああ、すぐに手が出るクソガキだったからな…おかげで舎弟には恵まれたよ…まるでカルガモの親子だぜ?」


「「HAHAHA!」」


「そら地元に戻りたがらんし、現住所も知られたくない訳やな?ほんまあんたの綺麗な顔がな、傷もんにならんかっただけ奇跡とちゃいますか?」


「ああ、ありがたいことにこの身長に助けられたよ」


「あんたの顔面まで届かんっちゅう訳やな?」


「そういうことさ」


「「HAHAHA!」」


「ふふっ、これからも傷もんにしたらあかんで?気ぃつけ?」


「わかったよ。それはそうとさ、今思えばよくここに入れたもんだよ」


「いや、あんた地頭ええんやからなんとかなったんやろ?」


「試験の結果が全てだからな、詳しくは知らないさ。ま、ここは面接だったら突出した一芸に秀でている事、平均点よりも個性・特性を評価してくれるからありがたいさ…おかげで受かったと思いたいね」


「個性言うても、今んとこ金髪に染めたらあかん校則なんやけどな」


「そうだった…」


「「HAHAHA!」」


「ま、校則はええねん。他にも思い当たるとしたらな、あんたの実家…お金持ちやろ?」


「ああ、広い平屋でさ、小さい頃は二階建て、三階建てに憧れたよ」


「あんたの小さい頃って…G〇DZILLAくらいのサイズとちゃうか?」


「いや、まあ言いたいことはわかる。牛久大仏はもっとデカイからな…って、おい!」


「「HAHAHA」」


「冗談や、そらナギの経済状況が不思議やったからな」


「ま、バイトのような事もしているけど、仕送りには困っていないさ」


「そら服を作ってオークションサイトで販売しとるし…、雑所得扱いの範囲でやってるんやな?」


「ああ…ま、あまり大きな声では言えない程度には潤っているさ」


「モグリのまんまやとあかんで?…あ、それ学園側として部費、生徒会費で扱えば問題にはならへんな?」


「ああ…なるほど、あたしは必要経費だけいただけば良いって訳か」


「そう言うことや、知らんけど」


「「HAHAHA!」」


「今度は法律の勉強かよ…ま、知らずにやらかしたくは無いからなぁ」


「せやせや、うちもよう知らんから一緒に勉強しましょか?」


「ああ…しかし、あたしが真面目に高校生やるなんてな、本当に驚くよ」


「そら校則違反はともかくな、自分思ってる以上に有能なんやからな?ほんなら学を身に付けなもったいないお化けが出てまうで?」


「そうだな。おかげ様であたしも一応だけど、優等生扱いだよ」


「昔を知るもんからしたら七不思議やろな?」


「妖怪一反木綿、動く牛久大仏、職員室の常連、更正した元ヤン…おい、もう折り返したぞ?」


「「HAHAHA!」」


「あんた、牛久大仏気に入っとるんかいな?」


「ああ、最初は嫌だったけどさ…今では親友のようなものさ?」


「…そらうちもやろ?」


「もちろんさ、天使を騙る性格の悪いペテン師だけどな?」


「誰が性格の悪いペテン師や!」


「「HAHAHA!」」───。





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