第34話 水着選び
◇
「ナギー!見てみぃ?このビキニスタイル、うちに似合っとるんちゃうか?」
「ああ、よく似合っている。美しいね全く、ベリーダンスでも始める?」
「「HAHAHA!」」
「なかなかエキゾチックやろ?うちナンパされ放題とちゃうか?」
「ああ、ビーチにたどり着く前に日が暮れるな」
「「HAHAHA!」」
「そら言い過ぎや、さっきのワンピーススタイルもええんやけど、どっちにしようか迷うな…」
「迷っている間に日が暮れそうだ」
「そら優柔不断過ぎるんとちゃうか?それ言うたらな、どっちも似合ううちが悪いんやけどな」
「ああ、そもそもの問題として、買うのはお前だ。さ、悩める戦犯よ、ビキニかワンピースか選ぶといい」
「うち戦犯かーい!」
「「HAHAHA!」」
「煩悩抱えてれば誰でも大罪さ」
「せやな、戦犯扱いにしちゃ優しすぎるんとちゃうか?また古都に行って煩悩消さなあかんな」
「ああ、ビーチからもそう遠くはないからな」
「水着のまま座禅組むんか?住職はんも大変やな。煩悩が向こうからやってくるんやから、悶々としてまうやろ?」
「ああ、仏も初回からブチギレだろうな」
「「HAHAHA!」」
「…うーん、やっぱさっきのワンピーススタイルにするわ!それで決まりや!」
「ビキニも似合っているけど、決め手は?」
「そらあれよ…お胸がチョモランマなあんたがおるやろ?」
「ああ、それで胸元を強調しようが、逆立ちしても勝てないって判断か?」
「せやで、ほんならお胸を強調せんでもええワンピーススタイルや。スカート付きでな、風でふわりと舞うのもオシャレでありやろ?」
「うん、とてもセンスのいいチョイスだ…じゃ、お買い上げだな」
「ふっふっふっ、かわええ水着姿のうち、お披露目はいつになるんかな?」
「さあ?それは天候に聞いてくれ」
「そらそうや…ところであんたは試着せんでええんか?」
「あ?あたしか…さっき店員さんに聞いたんだけどさ…」
「サイズの問題か、そら店員さんに聞かなあかんな。そんでどうなったんや?」
「ああ、チョモランマ対応もあるにはあった…」
「おっ、あるんか?そら女性の為のコーナーやから当然やな」
「ああ、ありがたいね。身長だけは弾かれたけど」
「「HAHAHA!」」
「牛久大仏はあかんかったんかい!」
「既製品じゃバランスがどうにもならねえ、特注だってさ…」
「そら…うん、そうなるやろな…」
「特注したところでいつ届くかはわからない。夏休みシーズンだし、出来上がったその頃にはクラゲとお友達か、シーズンオフかもな…」
「ナギ…そんなら水着はどないすんねん?…昔のスク水でも引っ張り出すんか?」
「成長しすぎてもう収まらねえよ?」
「そらあかんな…うーん、やっぱさっきの…」
「ウィラ、その気遣いは無用だ」
「ちゃうねん、ナギが水着あかん言うたらな…」
「慌てるな、お前はお気にのワンピスタイルの水着を会計しろ。話はそれからだ」
「う、うん、わかった…ほんまにええんか?」
「ああ、そしてこの話に続きがある…あたしの裁縫スキルを忘れたか?」
「あー!そういやナギ、あんたサイズが無い言うて自作しとるんやった!」
「そう言うことだ、次は手芸屋さんに付き合えよ?」
「Jawohl!」───。
◇
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