第34話 水着選び







「ナギー!見てみぃ?このビキニスタイル、うちに似合っとるんちゃうか?」


「ああ、よく似合っている。美しいね全く、ベリーダンスでも始める?」


「「HAHAHA!」」


「なかなかエキゾチックやろ?うちナンパされ放題とちゃうか?」


「ああ、ビーチにたどり着く前に日が暮れるな」


「「HAHAHA!」」


「そら言い過ぎや、さっきのワンピーススタイルもええんやけど、どっちにしようか迷うな…」


「迷っている間に日が暮れそうだ」


「そら優柔不断過ぎるんとちゃうか?それ言うたらな、どっちも似合ううちが悪いんやけどな」


「ああ、そもそもの問題として、買うのはお前だ。さ、悩める戦犯よ、ビキニかワンピースか選ぶといい」


「うち戦犯かーい!」


「「HAHAHA!」」


「煩悩抱えてれば誰でも大罪さ」


「せやな、戦犯扱いにしちゃ優しすぎるんとちゃうか?また古都に行って煩悩消さなあかんな」


「ああ、ビーチからもそう遠くはないからな」


「水着のまま座禅組むんか?住職はんも大変やな。煩悩が向こうからやってくるんやから、悶々としてまうやろ?」


「ああ、仏も初回からブチギレだろうな」


「「HAHAHA!」」


「…うーん、やっぱさっきのワンピーススタイルにするわ!それで決まりや!」


「ビキニも似合っているけど、決め手は?」


「そらあれよ…お胸がチョモランマなあんたがおるやろ?」


「ああ、それで胸元を強調しようが、逆立ちしても勝てないって判断か?」


「せやで、ほんならお胸を強調せんでもええワンピーススタイルや。スカート付きでな、風でふわりと舞うのもオシャレでありやろ?」


「うん、とてもセンスのいいチョイスだ…じゃ、お買い上げだな」


「ふっふっふっ、かわええ水着姿のうち、お披露目はいつになるんかな?」


「さあ?それは天候に聞いてくれ」


「そらそうや…ところであんたは試着せんでええんか?」


「あ?あたしか…さっき店員さんに聞いたんだけどさ…」


「サイズの問題か、そら店員さんに聞かなあかんな。そんでどうなったんや?」


「ああ、チョモランマ対応もあるにはあった…」


「おっ、あるんか?そら女性の為のコーナーやから当然やな」


「ああ、ありがたいね。身長だけは弾かれたけど」


「「HAHAHA!」」


「牛久大仏はあかんかったんかい!」


「既製品じゃバランスがどうにもならねえ、特注だってさ…」


「そら…うん、そうなるやろな…」


「特注したところでいつ届くかはわからない。夏休みシーズンだし、出来上がったその頃にはクラゲとお友達か、シーズンオフかもな…」


「ナギ…そんなら水着はどないすんねん?…昔のスク水でも引っ張り出すんか?」


「成長しすぎてもう収まらねえよ?」


「そらあかんな…うーん、やっぱさっきの…」


「ウィラ、その気遣いは無用だ」


「ちゃうねん、ナギが水着あかん言うたらな…」


「慌てるな、お前はお気にのワンピスタイルの水着を会計しろ。話はそれからだ」


「う、うん、わかった…ほんまにええんか?」


「ああ、そしてこの話に続きがある…あたしの裁縫スキルを忘れたか?」


「あー!そういやナギ、あんたサイズが無い言うて自作しとるんやった!」


「そう言うことだ、次は手芸屋さんに付き合えよ?」


「Jawohl!」───。




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