第33話 デーゲームのちドリーム
◇
「ようウィラ…どうした?ずいぶんとご機嫌のようで?」
「…うちがご機嫌に見えるんか?…あんたの目は節穴とちゃうか?」
「ああ、まだ元気はあるね。ところで、どうやったらそんな隈が出来るんだよ?まるでデーゲームのメジャーリーガーだな?」
「「HAHAHA!」」
「…ちょっとアメーリカに渡ったんやで?」
「キャノンボールか?それとも、メジャーリーグ2のタカ・タナカにでも憧れたか?」
「あれ、なかなかええ男やな」
「ほう、お前のタイプ?」
「そらな、あんた程でも無いけど身長高くてな、破天荒やけど人柄がええってなれば…そら最高やろ?」
「なかなか良い分析だ、抱かれたい?」
「………今は考えられへん、うちまだ処女やし」
「うん、この先ダメ男に引っ掛かりそうで心配だ」
「そんなん先のことやからわからへんで?」
「ま、なんとかは盲目って言うからな」
「…せやな、おかんを心配させんようにせんとな…って、あんたも処女やろ!」
「そうだった」
「「HAHAHA!」」
「そんなんどうでもええねん、ナギ!」
「お、おう…なんだ?」
「あんた課題は進んだんか?」
「おう、亀の歩みだ…」
「夏休みボケすんの早すぎるんとちゃうか?そっちはウサギはんか?」
「「HAHAHA!」」
「まだ始まったばかりだろ、4日目だぞ?そういうお前は?」
「終わったで」
「…え?」
「終わったで?」
「…早過ぎないか?」
「そらうちはな、はよ課題終わらせたかったんや…」
「それで徹夜続き、詰め込みすぎてデーゲームのメジャーリーガーみたいな隈を作って、ご覧の通りご機嫌斜めって訳だ」
「せやで?うちが実家に帰る前にな、ナギの課題も見なあかんし、一緒に過ごしたいし、ほんならはよ終わらせたいし…」
「道理であたしんちに来ないと思ったら…三徹してたって訳か…。お疲れ様」
「ふっふっふっ、もっと褒めてもええんやで?」
「ああ、凄すぎて言葉を失うよ…よくやりきったな」
「ふふっ、嬉しいわ………あっ!」
「どうした?自家発電中みたいな声をあげて?」
「自家発電ってなんやねん?なんや、エロい話か?」
「想像に任せよう…で、どうした?」
「いや、あれや…美術以外は終わらせたで?」
「終わってねーじゃん、ウサギかお前?」
「「HAHAHA!」」
「いや、美術だけは考えすぎて筆が進まへんから後回しや」
「この状態じゃ頭が回らないだろうしな」
「せやせや…そんな訳でナギ、後で美術手伝ってな?」
「そっかそっか、わかった。ウィラ…こっちおいで?」
「おっ、頑張ったうちをいっぱい褒めてくれるんか?」
「そりゃ褒めるよ…ほら、どうして欲しい?」
「ふっふっふっ、抱き締めて欲しい…」
「ウィラちゃん頑張ったからね、よしよし…」
「ふっふっふっ………zzz………」
「おいおい、眠り姫か?本当にお疲れのようで…、寝るならベッドまで運ぶぞ?」
「………ウーン……」
「全く、あたしに気遣ったのか知らねーけどさ、お前は本当、頭がおかしいぐらいに努力するからな…そんなお前を尊敬しているし、大好きだよ…ウィラ」
「………フッフッフッ…zzz…」
「はあ…あたしも夢の世界に行くか……」───。
◇
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