第33話 デーゲームのちドリーム







「ようウィラ…どうした?ずいぶんとご機嫌のようで?」


「…うちがご機嫌に見えるんか?…あんたの目は節穴とちゃうか?」


「ああ、まだ元気はあるね。ところで、どうやったらそんな隈が出来るんだよ?まるでデーゲームのメジャーリーガーだな?」


「「HAHAHA!」」


「…ちょっとアメーリカに渡ったんやで?」


「キャノンボールか?それとも、メジャーリーグ2のタカ・タナカにでも憧れたか?」


「あれ、なかなかええ男やな」


「ほう、お前のタイプ?」


「そらな、あんた程でも無いけど身長高くてな、破天荒やけど人柄がええってなれば…そら最高やろ?」


「なかなか良い分析だ、抱かれたい?」


「………今は考えられへん、うちまだ処女やし」


「うん、この先ダメ男に引っ掛かりそうで心配だ」


「そんなん先のことやからわからへんで?」


「ま、なんとかは盲目って言うからな」


「…せやな、おかんを心配させんようにせんとな…って、あんたも処女やろ!」


「そうだった」


「「HAHAHA!」」


「そんなんどうでもええねん、ナギ!」


「お、おう…なんだ?」


「あんた課題は進んだんか?」


「おう、亀の歩みだ…」


「夏休みボケすんの早すぎるんとちゃうか?そっちはウサギはんか?」


「「HAHAHA!」」


「まだ始まったばかりだろ、4日目だぞ?そういうお前は?」


「終わったで」


「…え?」


「終わったで?」


「…早過ぎないか?」


「そらうちはな、はよ課題終わらせたかったんや…」


「それで徹夜続き、詰め込みすぎてデーゲームのメジャーリーガーみたいな隈を作って、ご覧の通りご機嫌斜めって訳だ」


「せやで?うちが実家に帰る前にな、ナギの課題も見なあかんし、一緒に過ごしたいし、ほんならはよ終わらせたいし…」


「道理であたしんちに来ないと思ったら…三徹してたって訳か…。お疲れ様」


「ふっふっふっ、もっと褒めてもええんやで?」


「ああ、凄すぎて言葉を失うよ…よくやりきったな」


「ふふっ、嬉しいわ………あっ!」


「どうした?自家発電中みたいな声をあげて?」


「自家発電ってなんやねん?なんや、エロい話か?」


「想像に任せよう…で、どうした?」


「いや、あれや…美術以外は終わらせたで?」


「終わってねーじゃん、ウサギかお前?」


「「HAHAHA!」」


「いや、美術だけは考えすぎて筆が進まへんから後回しや」


「この状態じゃ頭が回らないだろうしな」


「せやせや…そんな訳でナギ、後で美術手伝ってな?」


「そっかそっか、わかった。ウィラ…こっちおいで?」


「おっ、頑張ったうちをいっぱい褒めてくれるんか?」


「そりゃ褒めるよ…ほら、どうして欲しい?」


「ふっふっふっ、抱き締めて欲しい…」


「ウィラちゃん頑張ったからね、よしよし…」


「ふっふっふっ………zzz………」


「おいおい、眠り姫か?本当にお疲れのようで…、寝るならベッドまで運ぶぞ?」


「………ウーン……」


「全く、あたしに気遣ったのか知らねーけどさ、お前は本当、頭がおかしいぐらいに努力するからな…そんなお前を尊敬しているし、大好きだよ…ウィラ」


「………フッフッフッ…zzz…」


「はあ…あたしも夢の世界に行くか……」───。




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