第30話 生徒会室にて







 「ふっふっふっ、ナギ!」


「おう、ご機嫌だな?」


「当たり前や、うちが生徒会長になったんやから当然やろ?」


「ああ、生徒会長の椅子、座り心地はどうだい?」


「うーん、微妙やな…前任はんケツで磨きすぎとちゃうか?ツルッツルやで?」


「そりゃ大変だ、せいぜい滑り落ちないようにな?」


「「HAHAHA!」」


「ま、せっかくやし椅子ぐらい買ってもええやろ?」


「おいおい、まずやることあるだろ?…えっと、会計の飯富(オブ)さんからの資料を見る限りでは………おい、去年の学祭で素寒貧じゃねーかよ?」


「ほんまか?………うん、うち、ちょっとコピー取ってくるわ」


「ウィラ、頭が率先して動き過ぎるなよ?…庶務長の小山田さんに落とせ」


「ええんかな?そんなんうちが動いても変わらんとちゃうか?」


「いいんだよ、お前はいつでも動ける状態でどんと構えてろ?」


「あんたが言わんとしてるのもわかるわ。そらうちがな、チョロチョロ動いてばっかやとあれやもんな」


「ああ、他の役員を置く意味がないだろ?だが、最終的な決定権はお前のものだ」


「わかった、ほんなら生徒会内の仕事はみんなに割り振っとくで」


「そうしてくれ…さて、最初は引き継ぎだが、これはぐだぐだになるな…最初の定例会まで資料諸々間に合うか、これ?」


「資料も読み込まなあかんし、年度によってはただ予算食い潰したアホもおるし、まずは信用と財政回復に勤めんとあかんわ」


「ある意味であたしらが入ってよかったかもな」


「それな! あんたもあれや、普段は面倒くさがり屋のくせしてな、なんやかんやしっかりもので面倒見のええおかんやからな」


「なんかほっとけねーんだよ」


「それにあれやろ、あんたの演説もそうなんやけどな、そらおもろいし人気が出て当たり前やで?」


「ああ、おかげで家庭科部がいつも賑やかだよ。地味とか言ったの、どこのどいつだよ?」


「そらあんたもやろ?」


「「HAHAHA!」」


「ま、懲りねえ運動部もいるけどさ、おかげさまでようやく平穏な日々だよ」


「そらな、あまりの人気で書記を飛び越えて、書記長を譲られるって…あんた、そら忙しいし運動部も諦めるわ」


「ああ、それでも諦めない奴もいるけど」


「しゃーないしゃーない、そんなんオツムまで筋肉でわからんアホなんや」


「違いない」


「「HAHAHA!」」


「ま、うちらが生徒会役員なんやからな、この学園をようしとかんとあかんやろ?」


「ああ、このクソッタレな校則、生徒達の地位向上、そして判明した腐敗の大掃除…全く、忙しいったらありゃしないぜ?」


「せやせや、ナギがおらんかったらな…こらうちの心が折れてまうで?」


「おいおい、アソコにも心臓にも毛が生えてるお前がか?ご冗談を?」


「「HAHAHA!」」


「ちゃうねん、そらあれや…ナギ、あんたにしか見せてへんやろ?」


「あー、そう言えばそうだ、お前にも一応の恥じらいがあったのを忘れてたよ」


「忘れんといてな?」


「「HAHAHA!」」


「ま、それだけ信頼してくれるならさ、あたしだって悪い気はしないさ」


「ふっふっふっ、ナギも巻き込んで良かったわ」


「ああ、おかげてまっとうに楽しめるよ」───。




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