第26話 情報戦を制するもの
◇
「ウィラ、お前もよく考えたな。まるで政見放送みたいじゃないか」
「ええやろ?原稿の読み上げも真面目ちゃんとギャグの二本立てやで?」
「2パターンあるのがいいね。それでお前はギャグと言ったな?」
「せやせや、うちがお行儀よく、うわべばっか言うてもおもんないし、似たようなのばっかで聞き飽きてまうからな。そんなん何も伝わらへんやろ?」
「ああ、確かにすげえ横長の『ウィラ・フォン・ノイマン』って書いた、雑でわかりやすいネームプレートに目がいくな」
「「HAHAHA!」」
「そらうちぐらいやからな、カタカナ表記は。仮に『Willa Von Neuman』って書いてもな、誰やねん!?…ってなるやろ?」
「いや、面白いんじゃないか?アルファベット表記で普通に関西弁だから」
「「HAHAHA!」」
「そらありやな、来年の生徒会総選挙はそれで決まりや」
「気が早いね。それよりもな、ビデオカメラで録画、放送室ジャック、当選の暁には希望者に配布、または生徒会予算確保の為に販売…うん、いいね、良いアイディアだ」
「せやろ、せやろ!?…ナギ、もっとうちの事褒めてもええんやで?」
「ああ、美人で賢くてかわいいウィラちゃんだから当然だろ?」
「ふふっ、ありがとう…。そんでな、これならいつでもかわええうちに会えるし、なかなか突っ込んだ内容やからな、絶対にウケるで?」
「ああ、かわいい顔して下ネタやブラックユーモア、変な校則にFワードを交えた突っ込み…最高にロックだぜ。…ところでウィラ、これ誰が編集するんだ?」
「…知らん」
「おいっ!」
「「HAHAHA!」」
「あれや、これはノーカット版や…配布、販売用にええやろ?」
「ああ、最高だね。かわいいウィラちゃんのあんな姿までもが見れるからね…それで、政見放送用は?」
「「HAHAHA!」」
「安心してな、うちもちゃんと考えておるんやからな」
「ほう、ならまずはあたしを安心させてくれ」
「そう心配せんでもな、こんなこともあろうかと、映画研究愛好会、放送部、パソコン部あたりに片っ端から声かけたで?」
「ほう、当選の暁には予算の増額あたりで釣ったのか?…お主、なかなかの悪よのう?」
「ふっふっふ…せやからな、うちを応援しぃ?って訳や。みんなうちの政見放送を見て笑い転げてたで?」
「そりゃ真面目ちゃんと比較したらそうだろうな。むしろ引いてた奴もいただろ?」
「しゃーないしゃーない、そら何も考えず性善説を信じたらあかんで?」
「ああ、確かにそうだ。性格の悪いお前が言えば納得だ」
「そら言わんといてな?」
「「HAHAHA!」」
「ところでさ、なんで撮影場所を家庭科室にしたんだ?」
「そらナギが家庭科部に入ったなんて、誰も信じておらんやろ?画面にちょびっとでも映ればな、運動部の連中も諦めるかもしれへんやん?」
「なるほどね、それで背景がぐだぐだなホームビデオって訳か…情報量多いな、おい」
「「HAHAHA!」」
「賑やかな家庭科部の活動報告にもなってな、一石二鳥とちゃうか?」
「確かにそうだな………で、あたしはどこに映ってるんだ?」
「あんたなら…、画面からはみ出とるわ」
「ああ、なるほどね…、これなら一目であたしだとわかるな…っておいっ!」
「「HAHAHA!」」
「こらこれでおもろいやんか?」
「確かにそうだな…で、結局誰が編集するんだ?」
「………知らん」
「おいっ!」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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