第22話 念願叶って







 「ようやく席替えが叶ったわ~。ほんで大仏はんは窓際族の一番後ろやな」


「ああ、これで後ろに気を遣わなくて済む…っておい、誰が窓際族の大仏だ?」


「「HAHAHA!」」


「そら民主主義の総意やろ。牛久大仏が目の前におったら黒板見えへんからな」


「ああ、とても民主的だね…、まるで旧共産圏の選挙だよ?」


「得票率9割越えなんてありえへんからな、そら疑って当然やろけどな、こらしゃーないしゃーない」


「それはそうとお前があたしの前か、日本語不自由扱いなのは相変わらずだな?」


「うっさいわー、もう堪忍してや」


「これも民主主義の総意だな」


「「HAHAHA!」」


「それよかな、うちの委員長はんと担任はん、なんで席替え一つでここまで引っ張るんやろな?頭固すぎるとちゃいますか?」


「そりゃな、クラスが馴染むまで席替えしたら授業とかで混乱する…、って言うのも一理あるからな」


「そらそうやけどな、そんなん初手でやっても同いとちゃうか?少しは合理化しいや」


「まあウィラ、ようやく席替えも叶ったから委員長、担任いじりも程々にしようぜ?」


「せやな、うちらにとっちゃ儲けやからな、ほんま」


「ああ、これであたしが突っ伏しても目立たねえ訳だ」


「そらありえへんで、牛久大仏でチョモランマなあんたと、かわええうちは目立ちっぱなしやからな」


「ああ、あたしらのようにうるさい奴らは隅に追いやられたわけだ」


「そら民主主義の総意やからな、しゃーないしゃーない」


「「HAHAHA!」」


「ま、目を離すと何するかわからない奴を監視するんだ、ウィラ、この特等席は譲らないぜ?」


「うちは遠慮しとくで、チョモランマが前やと見えへんからな」


「おいおい、隠れてサボれるって言うのにもったいない、遠慮するなよ?」


「なに言うとるんや、こんなんでもうちは真面目ちゃんやで?」


「ああ、頭の良い真面目ちゃんが前にいるならカンニングし放題だ。中間テストもこれで安心だよ」


「あんたの恵体を悪用したらあかんで?真面目なうちでもな、終わったら寝てまうからな、そら答案用紙が丸見えかもしれへんけど…」


「おーい真面目ちゃん、アシストする気満々じゃねーか」


「「HAHAHA!」」


「そらナギが追試になったらな、うちが暇で暇でしゃーないやろ?」


「そうならないようにあたしもちゃんと勉強しないとな…。ウィラ、ここがいまいちわからないんだけどさ…」


「おっ、早速席替え効果を利用してはりますな?ええで、ほんなら今日のお味噌汁、お揚げ絶対入れてな?」


「おう、いいぜ。お揚げの煮物も作っておくか」


「ふふっ、ほんまうちのおかんは最高や」


「ああ、本当かわいい育ち盛りの娘だよ」


「そらうちがかわいいのは当然やろ?ほんでナギと同いなご飯食べれば…ふっふっふっ、うちのお胸ちゃんも育つとちゃいますか?」


「いや、それは保証しない」


「なんでやー!」


「「HAHAHA!」」───。




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