第22話 念願叶って
◇
「ようやく席替えが叶ったわ~。ほんで大仏はんは窓際族の一番後ろやな」
「ああ、これで後ろに気を遣わなくて済む…っておい、誰が窓際族の大仏だ?」
「「HAHAHA!」」
「そら民主主義の総意やろ。牛久大仏が目の前におったら黒板見えへんからな」
「ああ、とても民主的だね…、まるで旧共産圏の選挙だよ?」
「得票率9割越えなんてありえへんからな、そら疑って当然やろけどな、こらしゃーないしゃーない」
「それはそうとお前があたしの前か、日本語不自由扱いなのは相変わらずだな?」
「うっさいわー、もう堪忍してや」
「これも民主主義の総意だな」
「「HAHAHA!」」
「それよかな、うちの委員長はんと担任はん、なんで席替え一つでここまで引っ張るんやろな?頭固すぎるとちゃいますか?」
「そりゃな、クラスが馴染むまで席替えしたら授業とかで混乱する…、って言うのも一理あるからな」
「そらそうやけどな、そんなん初手でやっても同いとちゃうか?少しは合理化しいや」
「まあウィラ、ようやく席替えも叶ったから委員長、担任いじりも程々にしようぜ?」
「せやな、うちらにとっちゃ儲けやからな、ほんま」
「ああ、これであたしが突っ伏しても目立たねえ訳だ」
「そらありえへんで、牛久大仏でチョモランマなあんたと、かわええうちは目立ちっぱなしやからな」
「ああ、あたしらのようにうるさい奴らは隅に追いやられたわけだ」
「そら民主主義の総意やからな、しゃーないしゃーない」
「「HAHAHA!」」
「ま、目を離すと何するかわからない奴を監視するんだ、ウィラ、この特等席は譲らないぜ?」
「うちは遠慮しとくで、チョモランマが前やと見えへんからな」
「おいおい、隠れてサボれるって言うのにもったいない、遠慮するなよ?」
「なに言うとるんや、こんなんでもうちは真面目ちゃんやで?」
「ああ、頭の良い真面目ちゃんが前にいるならカンニングし放題だ。中間テストもこれで安心だよ」
「あんたの恵体を悪用したらあかんで?真面目なうちでもな、終わったら寝てまうからな、そら答案用紙が丸見えかもしれへんけど…」
「おーい真面目ちゃん、アシストする気満々じゃねーか」
「「HAHAHA!」」
「そらナギが追試になったらな、うちが暇で暇でしゃーないやろ?」
「そうならないようにあたしもちゃんと勉強しないとな…。ウィラ、ここがいまいちわからないんだけどさ…」
「おっ、早速席替え効果を利用してはりますな?ええで、ほんなら今日のお味噌汁、お揚げ絶対入れてな?」
「おう、いいぜ。お揚げの煮物も作っておくか」
「ふふっ、ほんまうちのおかんは最高や」
「ああ、本当かわいい育ち盛りの娘だよ」
「そらうちがかわいいのは当然やろ?ほんでナギと同いなご飯食べれば…ふっふっふっ、うちのお胸ちゃんも育つとちゃいますか?」
「いや、それは保証しない」
「なんでやー!」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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