第16話 モンスターパニックは突然に?







「ウィラ、やっぱりお前の言うとおりだったよ…」


「ん、なんの話や?うちなんか言うたっけ?…んーっ!日替わりのケツネ丼、最高やわ!」


「まさかキツネ丼があるとは思わなかったよ、確かにこれはありだ…」


「せやろせやろ!?うちが食堂のおっちゃんにリクエストした甲斐あったで!」


「お前のリクエストかよ!?図書館だけに飽きたらず食堂まで…すげえ行動力だな、おい」


「そらな、こっちじゃ馴染み無いかもしれへんけどな、めっちゃおいしくてコスパがええんやで?」


「確かに、道理で日替わりが安かったわけだ…おっ、なんだ?お前のリアクション見てか知らねえけど、日替わりに行列が出来てきたな」


「ふふふっ、ケツネの事やったらうちが広告塔やからな、任しとき?」


「ドイツクォーターの御狐様ね、さぞ珍妙な加護があらんこと」


「珍妙なってなんやねん、かわええうちのリクエストに答えてくれとるだけやから」


「ま、お前に頼まれたらそりゃな…とんだペ…天使だ」


「あんた今な、ペテン師言いかけたとちゃうか?」


「さあ…あ、話変わるけどいいか?」


「こらっ、話逸らさんといてな?」


「ペテン師がきっと驚くことだけどさ…」


「あんたペテン師言うとるやないかい!」


「「HAHAHA!」」


「ペテンはともかく、家庭科部があったから活動日に行ってみたんだよ」


「あ、その話かいな!いま思い出したわ、それでそれで?」


「本当にあるんだって驚いたけどさ…」


「そらうちも今知って驚いたで?ほんまにあったんかい」


「「HAHAHA!」」


「それでさ、絶対家庭科部に来なさそうなあたしが見学だろ?」


「そらモンスターパニックものやな」


「「HAHAHA!」」


「それはもう、まるで蛇に睨まれた蛙がいっぱいさ」


「B級映画のようにはならんのやな」


「ああ、反応はZ級映画だったよ」


「「HAHAHA!」」


「そんでサイレント映画の続きはどないなった?」


「ああ、見てられねえから見学を切り上げて参加さ。先輩や顧問よりも手際がよくて驚かれたよ」


「楽しんでおりますな」


「あたしを見て固まってた奴らが、今度はあたしの回りに固まってまじまじと眺めていたんだぜ?まるで親子の料理教室みたいだったぜ?」


「そらあんたと並んだら大概親子やろ?」


「「HAHAHA!」」


「まあな。家庭科部にとってはハプニングだっただろうけどよ、また来てくださいって言われると思わなかったし、今度はTHE・家庭的な肉じゃがだってよ?」


「せやせや、ほんならまたお土産頼んます」


「いいぜ、ちょっと帰り遅くなるけどいいか?」


「ええで、図書館で絵本読みながら勉強してはりますわ」


「殊勝な心掛けだ。それで続きなんだけどよ、その場で入部届けを書くって言ったらさ、部員と顧問が絶叫してたぜ?」


「そら運動部に引っ張りだこなあんたがなにを言うとるんや?って話やからな」


「違いない、そんな訳でお前の言う通りモンスターパニックだった訳さ」


「「HAHAHA!」」


「ま、あんたが部活決まったことやし、うちはうちで生徒会選挙のマニフェスト作らなあかんな」


「…それはあたしの分もか?」


「せやせや、あんたはかわええ未来の独裁者の懐刀やからな」


「全く、ようやく平穏になるかと思えば忙しないね」


「そらそうよ、無敵のJKの時間を無駄にしたらあかんからな」


「ああ、お前となら楽しめそうだ」


「ふふっ、そらうちを口説いてはるんか?」


「あれ、お前コスパのいい彼女って言ってなかったっけ?」


「ナギ、あんたもそのネタ引っ張っとるやないかーい!」


「「HAHAHA!」」


「ごちそうさま、キツネ丼…今度あたしも作ってみるかな」


「そらええな。ふふっ、ごちそうさまや。おっちゃーん!おばちゃーん!ケツネ丼最高やったで!ほんまおおきに!また頼んますわ!」


「元気なこった、食堂の人達…喜んでいるな」


「せやろせやろ?」


「お前、本当に天使なのかもな」


「ふふっ、ついに認めてくれたんやな。せや、うちはかわいい天使やで?」


「ペテンもやるけどな」


「"ぺ"は余計やわ!」


「「HAHAHA!」」───。





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