第16話 モンスターパニックは突然に?
◇
「ウィラ、やっぱりお前の言うとおりだったよ…」
「ん、なんの話や?うちなんか言うたっけ?…んーっ!日替わりのケツネ丼、最高やわ!」
「まさかキツネ丼があるとは思わなかったよ、確かにこれはありだ…」
「せやろせやろ!?うちが食堂のおっちゃんにリクエストした甲斐あったで!」
「お前のリクエストかよ!?図書館だけに飽きたらず食堂まで…すげえ行動力だな、おい」
「そらな、こっちじゃ馴染み無いかもしれへんけどな、めっちゃおいしくてコスパがええんやで?」
「確かに、道理で日替わりが安かったわけだ…おっ、なんだ?お前のリアクション見てか知らねえけど、日替わりに行列が出来てきたな」
「ふふふっ、ケツネの事やったらうちが広告塔やからな、任しとき?」
「ドイツクォーターの御狐様ね、さぞ珍妙な加護があらんこと」
「珍妙なってなんやねん、かわええうちのリクエストに答えてくれとるだけやから」
「ま、お前に頼まれたらそりゃな…とんだペ…天使だ」
「あんた今な、ペテン師言いかけたとちゃうか?」
「さあ…あ、話変わるけどいいか?」
「こらっ、話逸らさんといてな?」
「ペテン師がきっと驚くことだけどさ…」
「あんたペテン師言うとるやないかい!」
「「HAHAHA!」」
「ペテンはともかく、家庭科部があったから活動日に行ってみたんだよ」
「あ、その話かいな!いま思い出したわ、それでそれで?」
「本当にあるんだって驚いたけどさ…」
「そらうちも今知って驚いたで?ほんまにあったんかい」
「「HAHAHA!」」
「それでさ、絶対家庭科部に来なさそうなあたしが見学だろ?」
「そらモンスターパニックものやな」
「「HAHAHA!」」
「それはもう、まるで蛇に睨まれた蛙がいっぱいさ」
「B級映画のようにはならんのやな」
「ああ、反応はZ級映画だったよ」
「「HAHAHA!」」
「そんでサイレント映画の続きはどないなった?」
「ああ、見てられねえから見学を切り上げて参加さ。先輩や顧問よりも手際がよくて驚かれたよ」
「楽しんでおりますな」
「あたしを見て固まってた奴らが、今度はあたしの回りに固まってまじまじと眺めていたんだぜ?まるで親子の料理教室みたいだったぜ?」
「そらあんたと並んだら大概親子やろ?」
「「HAHAHA!」」
「まあな。家庭科部にとってはハプニングだっただろうけどよ、また来てくださいって言われると思わなかったし、今度はTHE・家庭的な肉じゃがだってよ?」
「せやせや、ほんならまたお土産頼んます」
「いいぜ、ちょっと帰り遅くなるけどいいか?」
「ええで、図書館で絵本読みながら勉強してはりますわ」
「殊勝な心掛けだ。それで続きなんだけどよ、その場で入部届けを書くって言ったらさ、部員と顧問が絶叫してたぜ?」
「そら運動部に引っ張りだこなあんたがなにを言うとるんや?って話やからな」
「違いない、そんな訳でお前の言う通りモンスターパニックだった訳さ」
「「HAHAHA!」」
「ま、あんたが部活決まったことやし、うちはうちで生徒会選挙のマニフェスト作らなあかんな」
「…それはあたしの分もか?」
「せやせや、あんたはかわええ未来の独裁者の懐刀やからな」
「全く、ようやく平穏になるかと思えば忙しないね」
「そらそうよ、無敵のJKの時間を無駄にしたらあかんからな」
「ああ、お前となら楽しめそうだ」
「ふふっ、そらうちを口説いてはるんか?」
「あれ、お前コスパのいい彼女って言ってなかったっけ?」
「ナギ、あんたもそのネタ引っ張っとるやないかーい!」
「「HAHAHA!」」
「ごちそうさま、キツネ丼…今度あたしも作ってみるかな」
「そらええな。ふふっ、ごちそうさまや。おっちゃーん!おばちゃーん!ケツネ丼最高やったで!ほんまおおきに!また頼んますわ!」
「元気なこった、食堂の人達…喜んでいるな」
「せやろせやろ?」
「お前、本当に天使なのかもな」
「ふふっ、ついに認めてくれたんやな。せや、うちはかわいい天使やで?」
「ペテンもやるけどな」
「"ぺ"は余計やわ!」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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